ルドルフ | ナノ



「久しぶりだな」

もうメテオの使い手も居ない。メテオの礼に私が何故クリスタルを集めているか教えてやろう。

それを言って彼は笑う。すでに手に入る算段になってるのは不服だが聞いておいて損はないとサメラは判断して、ゴルベーザを睨んだ。

光と闇。あわせて八つのクリスタルを集めると、それは封印されし月の道へと姿を変える。その月には巨大なこの青き地を焼く兵器がそこにあるらしい。それを使い呼ぶためにクリスタルを集めていると彼は言う。

「残るところあと一つになったわけだ。すべては君達のおかげだ。礼はせねばならん。これは私からの礼だ」

ゴルベーザの手に闇が広がる。魔法で出来たそれは、瞬く間に大きくなって、するするとゴルベーザの身に絡みつき、先端が尖り一対の光が宿る。サメラは身の危険を感じて直ぐに距離を取り、気をつけろと声を出す。

いつものところから使い慣れたダガーを出すために握るが無いことに気づく。よく使い慣れたそれは荷物の奥底に眠らせたのを忘れていた。切り替えて背中の大刀を構えた。

「いくぞ、黒竜。」

ぎゅるりと鳴く竜を無視してサメラは、一気に距離を詰めて大刀を振り下ろす。ひらりと交わされ、竜が鳴いて闇を吐き出す。それは瞬く間に広がりサメラ達の視界を奪った。隣にいたローザの姿も見えない闇の中に仲間の声三つと地に伏せる音を聞く。サメラの脳裏にキャラバンの仲間の死にゆく姿が浮かび上がって、武器を堅く握り締めた。

「…みんな、無事か?」
「サメラ。」

遠くでセシルの声がした。一撃で意識を失う程の攻撃を残りは食らったらしく、声は聞こえない。そばに歩み立つ闇がそっと囁くように聞こえる。

「お前は惜しい人材だったな」
「…ハン」

花で笑って、武器を構える。どこからでもかかってこい。闇に目を凝らすように見つめて、その先に居るであろうモノに向けて耳を澄ます。ヒールで走るような音とどこかから風が動いた。

声高な音が聞こえて、闇が幻で有ったかのように消えた。霧が晴れたかのように視界は綺麗にゴルベーザを捉え、それと睨み合うようにに白い竜が一鳴き。

「ありがとう」

白き竜に礼を述べると白き竜は霞のように消えて、緑の女がやってきた。

「大丈夫?サメラ…それと…。」

サメラに手を伸ばす緑に見覚えは有った。が、いまいち理解が追いつかない。


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