近くに寄れと、ジオットが言い一同は今よりも近寄り立ち話をするよいな距離間で 「安心なされ。城にあるクリスタルはこの後ろにある隠し通路の後ろにあり人っ子一人と通りはせんよ」 胸を張っていった瞬間、その背後から物音が聞こえて顔をそちらに向ける。誰も通れないと行った先にある物音を考えると答えはすぐに出た。 「王よ!先の道で、誰かが盗み聞きをしておられる」 ヤンの声に反応して、セシルがそちらを向いた。そこをじっと見つめたが、誰も居ないじゃないか。と怪訝な顔をする。 「私も物音を聞いた。ジオット王。無礼を承知ですが、念のために先の道を開けてもらっても?」 問いかければ、ジオットはすぐさま兵に声を開けて、ヤンとサメラは堰を切ったように走り出した。水晶作りの部屋の中央に置かれた石の前に、小さな人形が一つ。 「人形…?…」 「キャハハハ」 僕らは可愛くて怖いカルコブリーナ! 人形たちが一々ポーズをとって挨拶する。一々聞いてやるのもしゃくなので、とりあえず。 「ぎゃん!」 「よくも可愛い僕達を!」 自分たちで可愛いとか言うあたり最高にうざい。サメラは表情も変えずにそれらの一つを踏み潰した。 「小さいからよく聞こえんな。」 「くっそー!よくも仲間をっ!」 「卑怯だぞでかいの!」 「踏み潰せばいいとか思ってんだろー!」 「…燃やすぞ」 「でかいやつのおーぼーだっ!」 「……ヤン。」 「えぇ」 近くの奴をすくい上げる様に蹴り上げ水晶作りの壁に叩きつける。それは粉々になり小さく呻いた。 「サメラ、ヤン!」 「敵襲だ!」 背中から剣を抜いて、噛みつかんとするそれを貫いて砕く。バタバタと足音が止まる頃には、小さな人形の形をしたそれも最後の一つにまでなっていた。 「…ぐっ…仲間をみんな粉々にして!人でなし!」 「悪いな。魔物に育てられたんでな。」 ハンと鼻で笑い、一歩一歩と歩を進めると喚いていた最後の一つが、もっと叫んだ。 「…ゴルベーザ様には報告済みだもんね!みんなゴルベーザ様にやられちゃえばいいんだ!」 …子どもの強がりみたいなそれにサメラは反応すらとなく壊した。カシャンと磁器が壊れた音を放ち、黒い靄を産む。 すべて潰すと発動する類の魔術みたいで、靄は形をつくり、瞬く間に実態をなして、その鎧の男が現れた。 「…ゴルベーザ…!」 前 戻 次 ×
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