それはまるで雷光のように、眩い光を放ちサメラの回りを回り牽制しつつ、なにもないところから炎が湧いてマラコーダの動きを征した。 「魔法、カ?」 「まだまだ、いくぞ。」 爆発する氷をまた空気の水を集めて、氷の矢として飛ばしマラコーダに傷をつけていく。 サメラの回りはバチバチと激しい音をたてて、炎を灯し、天高くに舞い上がり、目映く光を放ち、地を切り裂いて、マラコーダを貫いた。 「…フン…メテオの使い手が居なくなってスぐに、ホーリーの使い手か…面白い…成長したナ。」 益々欲しくなったガ、今日は一先ず撤退すル。次、会う時に、志をまた砕く。覚悟しロ。 白魔法唯一の攻撃手段であり最上位の魔法ホーリーを食らっても尚マラコーダは飄々と、ダメージもないく、ニヤニヤ笑って立っていた。小さな炎により姿を消そうとするマラコーダに一撃食らわせようと飛び込めば、 容易く弾き飛ばされ、最後に「君の仲間は一晩眠ればすぐに毒はとれるサ」と残して、マラコーダは消えた。 消えたあとには、そこには魔物も何もない小さな町の安らかな夜だけがあった。 「………畜生。」 小さくサメラはそう呟いて、カインに投げ出した武器を拾い上げる。 「竜騎士。すまなかったな、加勢しようとしたのに止めて。」 武器を持ち運びしやすい形に変えて、腰のベルトにひっかけて、歩き出した。その顔に、喜びも悲しみも籠もらない無表情であった。 「悪かったな、こっちこそ。」 カインは、サメラの隣を歩き、テントで眠る仲間を思った。苦しみを和らげる為に薬を撒いたのだろうか。 カインは思案し、口を開きかけたが、かける言葉が見つからず口を閉じた。 家族だったものに裏切られ、家族を魔物にされ、反応の薄い彼女のが一瞬反応を示した線の細い男と何があったんだろうか。事情も何も知らないカインが問いかける訳にも行かない。 「……きっと、私を拾ってくれたのは、全てマラコーダが仕組んだ事。か。」 小さく呟いたがカインは聞き取れず、首を傾げるだけであった。 夜闇で、あれを喰らったのも。すべてマラコーダだったんだ。と理解したら、手のひらで踊らされていたんだとすんなり把握して、やりきれなくなった。 「生きるための目的も、無くなったな…」 「お前はもっと自分の為に生きろ」 前 戻 次 ×
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