ルドルフ | ナノ


相変わらずだな。あいつも。そう呟いた男がセシルを見て、歯を出してスマイル一つ。

「赤華の集まり、団長のルドルフってんだ。よろしくな」
「世界を渡り歩く戦闘集団…」
「まぁ、うちでまともに戦えるのはサメラを入れて4人だがな。」

サメラと俺とヴィクセンとあー居ねー奴ばっかだから戦闘集団ではないな。ガハハハと笑った。サメラと共に歩んだ人。テラの知らないサメラを知る人。ふと幼い頃のサメラが気になって、問いかけようと口を開いた。

「ルドルフさん」
「さん。なんて痒くなるから止めろって。団長とか、ルドルフでいいんだって」

えっと。じゃあ団長。サメラって。どうだったの?
ふっと聞いたのに対して、ルドルフは、「昔からあんなのだし、昔は今よりも無口だったなぁ。まぁそれはサメラに聞けや。俺から聞くのはフェアじゃないぜ。」

付け加えて、あぁそうだ。次の仕事の時間だっけなぁ。サメラを借りるぜ。お前さんら。うちの公演見たこたぁねーだろ。見てけよ。特等席で見させてやるさ。

そしてルドルフは立ち上がり、時間になったら呼んでやるからゆったりしてろよ。後で茶と菓子もってくっから。と残して、テントから、出て行った。

「まるで嵐みたいなオッサンじゃな」
「でもサメラにも似てるわね。」

彼が大荒れの嵐だとしたらサメラは嵐の前触れみたいな感じかしらね?。と放てば、あぁ確かに。とちらほら。口々に色々な議論をしていると一際目立つ怒声が聞こえて来た、

「…放せって言ってるだろうが!団長!」
「ほら、サメラ。なっ」
「なっ?じゃなくて、ギャアアア、触るなぁあ!」
「はいはい。沈黙かけるぞ!」

無表情で笑うことも少ない彼女がこうも声高に拒絶を叫ぶ珍しいねぇと顔を見合わせて、首を傾げた。それからテントの周りを目映い光や滝のような水量が振り落ちて北側、あぁサメラかと納得して、アガルトの娘らしい姿をした女が持って来た茶をみんなですする。アガルトで作られたらしい茶葉は、香り高い茶葉で、スッとした香りが特徴的との説明を受けて、ふんふん聞いたがセシルにはよく解らなかった。に対してカインは未だに飲まず、その香りを堪能して、さて飲むか、と言う頃にサメラが出るから来いと、嵐の男ルドルフにより引っ張り出されたのであった。


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