ルドルフ | ナノ


「サメラ!?」

隣のローザが背後に消えるサメラを見たら、受け身をとって態勢を取り直してぐっと土を蹴って、武器を持たずサメラは拳を振りかぶった。が空をきり地面に費えた。

「ちょっとサメラ!」
「まだまだひょろっちいな!サメラ」

男は傍らに寄り、優しく頭を叩いた。ぺちん。と鳴ったタイミングで男の周りに水の玉が湧いた。

「!」
「隙あり。」

意識を反らしてサメラは男の頬を一発叩き込んだ。

「サメラやりやがったな!」
「ローザ。うちの団長だ。」
「おん?お嬢ちゃん、サメラのツレか!アレぐらいしか連れてこなかったのにな!」
「団長。」

ゲラゲラ笑う男にローザはそっと一歩引いたのを見て、サメラは小さくため息をついた。

「襲撃が有ったって聞いたが」
「あぁ。バロンから爆撃を受けたさ。はぐれちまったが、大体生きてるだろ。」

巡業してまた集結させる。と言い切る。それだけ聞いてサメラは良かったと呟いた。

「無事もわかったし、後でまた来る」
「ん?他にツレいるのか?なんなら一緒に飯やらしようや。」
「わかった。」

探してくる。ローザ。どうする?と聞けば、疲れたから休んでおくわ。と返事を聞いてサメラは町の雑踏に走っていった。

人混みをかき分けてあたりを見回せば、セシル達も到着したらしく、すぐに見つかった。が、セシルがちょっと怖い。

「ローザは?」
「今、休憩してる。」
「可愛いローザをそのあたりの茶屋に放り込んで来たなら怒るよ」
「うちのところで休んでる。問題ない」

うちの?とシドが首を傾げた。
うちのキャラバン。と答えてサメラは来た道を歩き出した。
ローザ置いてきたのは失敗だったかもしれない。と思いつつキャラバンへのテントに向かう、通りすがらに、馬車馬の鼻っ頭を撫でて、団長とローザがいたテントに向かう。入り口を開くと団員二人とローザが談笑していた。

「遅かったなサメラ」
「材料たる?」
「サメラ、ついでだテメェ等の分の材料も買ってこい」
「後で請求する」

またサメラは全員を部屋に入れて、荷物を隅に置いて、まぁゆっくりしてくれと残しテントから出て行った。ついでに薬も買い足すから遅くなる。と告げて今度こそ消えた。


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