村に入り旅支度補給班と地底への道の探索班に別れたが、振り分けに偏りが生じた。旅支度をやってきたサメラと装備が足りないからと買い足しがいるローザとの二人とそれ以外。全く持って理不尽だとぷりぷり怒りながらローザの装備を品定めしていた。 装備を一通り新調を済ませてセシルと合流地点として指定した場所で、人の集りを見つつローザが口を開いた。 「そういえばバロンにも昔来てたわ。行商人とかサーカスとか。」 「もしかしたらうちだったかもな。」 「サメラに似てたかも。あの時の人。」 さぁな。色んな町を行ったからよく解らないがな。とサメラは壁にもたれてその行商人や人を見つめた。独特な語りに、首を傾げていたふと気がつく。 「ローザ、ちょっといってくる」 「え?サメラ?」 「うちのだ。一緒に行くか?」 人山の中心からすこし離れた所で店を構えた男がいた。それをサメラは指差してそう言った。あれはうちのだ。と指を指した。 向こうもこちらに気付いたらしく、サメラを見て手を振った。それに答えサメラも適当に手を振り歩み寄った。 「サメラ無事だったのか!」 「ドンターのオッサンも無事だったか。」 ローザ、うちのお抱え鍛冶屋のドンター。こっちは今の連れ合いのローザだ。適当な挨拶もそこそこにサメラは会話を続けた。 「カイポ付近で襲撃にあったらしいが。みんなは?」 「みんなはぐれちまってな。俺と団長で昨日から来てんだ」 みんな無事だといいんだがな。と言って、団長んとこでも行って挨拶して来いよ。とサメラとローザを人山のなかを指差して俺は仕事に戻る。と奥に消えていった。 「良かったわね、サメラ。この調子ならみんな生きてるわよい?」 「無事だといいな。」 サメラの表情は、暗いように見えてローザは仲間が見つかったのに、どうして喜びが薄いのだろうかと、首を傾げた。 「……魔物の匂いがする。」 「何か言った?」 「…何もなければいいな。」 「そうね」 迷うことなく人ごみのなかに入れば、サメラとそれとはバッチリ視線が重なった。反らせば負けると判断しとてサメラは身構えた。 「オヒサシブリデス、団長。」「ん?誰かと思ったら、ちんくしゃのサメラか!」 そんな音と同時に、サメラが宙にぶっ飛んだ。 前 戻 次 ×
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