慌て飛び起きたセシルは睨む。いつもの説教じゃないのは、ちょっと恐ろしくものはある。 「なんども警告したが、起きなかったのはセシル。お前だぞ」 「もっと、まともな起こし方してよ!」 頬膨らますセシルて自身の生命の危機にたよる起こし方をしたサメラと、シドは中立に立たずサメラの肩を持った。 次から起きなかったらこうする。と告げる頃に飛空挺は着陸姿勢を取り出した。さんさんとふる太陽光を体全体で浴びながら、ひだまりの匂いを思い浮かべながら小さな伸びをした。 簡単な荷物支度をしていたら、ずっと鳴っていた音はなくなり、羽も動かなくなっていた。空もはるか遠くにある。 「サメラ。降りるよ」 「あぁ。アガルトだな」 空気と海が澄んだ綺麗な島だ。とサメラは記憶してる。山と海に挟まれた町に真っ先に向かってから支度をすればいい。と全員の共通意識である。 セシルやシドから、どんな所かと聞かれて、サメラは適当についたらわかるだろと投げやりながら、三人はタラップのある方向に向かうと、仲間はすでに支度を済まして、そこにいた。 「セシル。きちんと持ってきてる?」 「もちろん。」 ローザとのやりとりに首を傾げたが、サメラとりあえず町に入るぞと、迷うことなく歩き出した。少し前に雨が降ったらしく道がぬかるんでいたがサメラは気にせず歩き出した、そのぬかるみの中に一つの轍が残っていた。 その轍に添いながら二つの足跡があった。右側の足が義足みたいに等間隔に点在しているのと、左側に重心が乗った足跡。 見覚えのある足跡を見つめてどこかのキャラバンだろうか。昔の記憶の中にある懐かしい記憶に目を細めながらサメラはその轍の先を見つめながら、世界から消えたキャラバンに思い馳せた。 足を持たぬ者。腕を持たぬ者。心を持たぬ者。刃を持たぬ者。 様々な持たぬ者で結成された異端児ばかりを集めたキャラバン。 三番目の魔術師。 そのキャラバンにサメラはいた。団長とその右腕として育てられたサメラ・ルドルフが。 懐かしい記憶が轍に添って歩いていた。 あの日埋葬の為に、動いたが。そこには人か何か解らない骨が一つ二つあっただけであった。だからそれを仲間の者と信じてその骨を埋めたが、どうだったのだろうとぼんやり思い馳せた。 前 戻 次 ×
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