ふと気づけば青い空があった。体が重いような僅かなだるさを覚えながら、その青が落ちてきているように見えてそこでサメラは座ったまま眠ってしまった事に気がついた。 左にかかるすこし冷たい感じのぬくもりと重みに視線を動かした。暖かいひだまりの民匂いが花をくすぐった。同じ色を持つ旅の仲間がもたれ掛かって寝ていた。安らかな寝息を聞いてると、また寝そうになって、サメラは頭を振った。 「やっとこさ、起きたか!」 「…あなたは…?」 空中要塞の中で会ったのは記憶しているが、よくは知らないので、問いかけた。 「セシルから聞いてないのか?バロンで飛空挺の技師をやっとるシド。シド・ポレンディーナじゃい」 「サメラ・ルドルフです。」 「セシルやローザたちが世話になったとな」 どっちも、旅慣れてないから苦労をかけたじゃろ。カカカと笑うシドにサメラは、確かに。と思った。旅は出来ても、飯炊き金繰り。はサメラが加わってからサメラがずっとやってきた。加入初日に食べたあの味をリディアが食べてたのかと思うと、サメラがやって良かった。とひとりごちる。 「世話かけたな」 「こういうことは、わりと慣れてるので。まぁ…」 キャラバンには小さな子もいましたし。セシルもローザも大人ですから、面倒見るなんて…ねぇ。まぁ気にしないでください。と付け加えると同時にセシルが鼾をかきはじめた。サメラとシドは呆れて笑い、セシルを叩き起こすために、サメラは声をかけた。が、反応はない。 「昔からセシルはなかなか起きないのー。」 起きんか。とシドが起こす為に肩を揺さぶる。が、それでも起きなく、むにゃむにゃと寝言をこぼすだけだった。 「す。すまんの!」 「シド。離れて。」 セシルがもたれ掛かってない側に逃げて、支えの無くなったセシルはそのまま甲板で眠る。サメラはため息ついてから、またセシルに声をかけた。三回。声をかけたが反応はなく、意を決してサメラが呪文を唱えた。 「…忠告は三回した。エアロ!」 風の玉がグッと大きくなり顔と同じぐらいになってからセシルの顔を覆った。金魚鉢に頭を突っ込んだように球体が張り付く。息を吸ったが空気が吸えずにバサリと飛び起きて、口を動かしたのを見てサメラは風を空中に散らせた。 前 戻 次 ×
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