太陽に翳せば赤い石がキラキラ光を放つ。 飛空挺の甲板に寝そべり、サメラは太陽の間に石を入れその石垣放つ不思議な輝きを見ていた。サメラの推測する地底と関連のある最有力候補地アガルト。地底の伝承があったと記憶を思い出して一向はその地に向かうのであった。 「…おかあさんと同じ色…」とひとりつぶやく。視界に自分と違う銀が顔を覗き込んだ。 「もしかして。ねてたかい?」 「いや。石を見ていた」 「テラからの?」 そう聞かれてサメラは、そうだと答える。手元の赤い石を小さな袋に入れてからサメラは荷物の中に入れた。 森の賢者がいなくなり、その地は焦土てなった。おそらく、その地は二度と緑になることはない。 「…私のせいだ。」 村まで水を酌みに出ているときに、間7のが出たて聞いて、家まで走って帰る最中に、その魔物と母が戦っていた。 私が母を殺した。 「サメラ?。」 母の存在とその最後。町での扱い。キャラバンに入ってしばらくしてから。それぐらいしか覚えてないんだ。 世界がひどく歪んで見える。水に入ったみたいだと、ぼんやりと思った。 「サメラ?。大丈夫?泣いてるけど」 懐かしい母の顔が浮かんだ。元気だった頃の優しい笑みが。赤い目が柔らかな弧を描く。 昔と変わらないからいつもの口調で。 母は笑ってそう言う。 「…全ての山に登りなさい。歩むべく道を目指して。」 サメラの周りを取り巻いた風が光を帯びて優しく包む。セシルは周りを見回したが、風により音が途切れ、外の音が聞こえない。目も辛うじて開けれる風が一瞬だけ弱まった。弱まった中でサメラはぼんやりと一点を見つめ、いつもと違う口調で違う声色で、口を開いた。その背後に何か乗り移ったようにも見えた。 よく、お聞きなさい。 月の子、私の娘たち。 血は呪いより強い術。 臆せず屈せず挑む事。 必要なのは光であり。 闇は闇では止めれぬ。 対なす者を探し得よ。 対なす者の目を覚せ。 闇に染まる光を掬え。 闇に染まる光を導け。 光は闇であり闇は光。 身近な闇が光になる。 然れば光は闇になる。 急ぎなさい月の子よ。 夢覚めて写し世へと。 「あなたは、一体?」 母なる赤の全ての者。 英知を得た理の赤石。 天上の石、第五実体。 赤きティンクトゥラ。 前 戻 次 ×
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