呆れたような声を出してサメラは、枕に頭を乗せた。それにならってローザも枕に頭を載せる。 視線が重なって何ともないのに二人でクスクス笑う。 「ちょっと期待したの。」 「なにを?」 「ほら、城下でまともに遊んでたのって、セシルとカインだけでね。」 女の友達は私が初めて。か?聞けば、彼女は花のような笑みを浮かべ頷く。あ。今ちょっと、カインやセシルのあの視線の意味が納得できたかもしれない。が、あんまり受けたくない。と同時に二つ思った。恨めしげでいつかやるような視線なんて喰らいたくはない。 「私もだ。」 基本は根無し草だからな、チビの寝かしつけぐらいでしか一つの寝具を共に使うなんて…。そこでサメラは切った。否、切らされた 「私嬉しい!」 「…ローザ。気道!気道!ギブギブッ」 言い切る前に弓術によって育まれた腕力と、豊満なる胸に挟まれてサメラは一瞬違う世界が見えた気がした。 解放されて、一言が「うれしくて、つい。ね!」だったのでサメラは呆れて、何も言えなくなった。 「サメラ、ごめんね」 「死地が見えたが、問題はない。」 それからまた他愛ない話を二三交わして欠伸が零れ落ちた。時刻はすっかり真夜中になり、草木も眠るそんな時間であった。 「…寝るか」 「えーっ」 まだ話したりない。と訴えるローザは、キラキラした目で此方を訴える。やめろ、女子どものその目に弱いんだと、サメラは首を振った。 明日からまた旅があってどこに向かうかもわからないんだ。しっかり寝るのも一つの勤め。さ。と諫めて、サメラは布団をかぶる。 過去は変わらないし変えれない。 だから、過去を見るのは止めよう。 「過去は変わらないから、前だけ見る。か。」 「どうかした?」 「なにもないさ、ただの訓辞さ。」 深いため息をついてサメラは目を瞑る。安全を優先しない睡眠なんていつぶりだろうな。と浮かんだ疑問を掻き消してサメラは眠る。 ローザは首を傾げながら隣で眠る銀を見つめる。 眉間のシワない顔初めてみたかも。なんて思いながらローザも安らかな寝息を聞きつつ夢への扉を開くのであった。 翌日、サメラはセシルやカインから小言を言われ、大変疲れた1日を迎えるのであった。 「…リディア…お前はどこにいるんだ?…」 サメラの願いはまだまだ叶いそうにない。 前 戻 次 ×
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