寝る前にふむ。とサメラは世界地図の前で頭を抱えた。 バロンの宿で一泊取る。という方向で進んだが、セシルもローザもカインもシドも揃いも揃ってバロンに籍を置く者ばかりで、ヤンと二人部屋をとるか。と行き着いた結論を止める者がいた。 「駄目よサメラ。年頃の女の子が、そう簡単に二人きりになっちゃ!」 「…じゃあ。一人部屋二つにするか…」 「そんなの高いから、うちに来たらいいじゃない!サメラもヤンも!」 いい考えだ。と、セシルが頷いてるが、若干嘘臭い笑みを張り付けている。お前らクルだろ。なんて口が裂けてでもって言えないので、曖昧に流した。 「ヤンは客間で、サメラは私と一緒ね!」 …今日を無事で過ごせる気がしない。ゴルベーザと戦うよりも難しい気がする。 騎士二人分の睨みを受けてサメラは視線から逃げるように動いたのは三時間前だ。 そして、頁頭に戻る。ローザのベッドにサメラは胡座をかいてすわり、世界地図と睨み合いを続けていた。 「あら、まだにらめっこしてたの?」 風呂上がりらしいローザがサメラの正面に腰掛ける。 「一番地底に近い場所。なぁ」 今後はそこに行きたい。サメラ知らないか?と聞かれたのであった。サメラからしたら、ローザと同じベッドで寝るサメラに対しての嫌がらせに感じてきた。記憶上、それらしいところは一カ所るが、違えた時の報復される姿は安易に想像できた。説教も小言も見えた。 「地底なぁ。」 ダメだ駄目だ。考えても答えは出ない。 ベッドに寝ころび天井を見る。確証はないが行ってみる価値はあるだろう。 「ね、サメラ。」 「…ん?」 ゆるゆると視線をローザに向ける。花が咲いたような笑みをたたえた彼女は、サメラの隣に横たわる。 「お泊まりって初めてなの!」 「…あ…あぁ…」 あの野郎共ふたりの恨めしげな目は強力な牽制となるだろうな。と思いサメラは適当に相槌を打った。 「…そういえば、お前たち三人は昔からの仲だって言ってたな?」 「えぇ、小さな頃から。そしてカインのお姉さんに良くしてもらったわ。サメラにはいないの?」 生まれ育った経歴上そんなのはいないが、エブラーナに弟子ならいるぞ?馬鹿だが。 「弟子ねぇ。素敵じゃない、そういうの。」 「そうか?」 前 戻 次 ×
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