ルドルフ | ナノ


事切れたバルバシリアの声と同じタイミングで、浮ついてる感覚が来る。バルバシリアの言葉通りだったらしく、頭上から金属が落ちて来た。

「ここも危ない。」
「みんな集まって!」

テレポで行くわよ。と聞いて、フッと頭の中に魔法の聞きにくい体を思い出した。慌てて行動を止めて事情を話せばそうだったという口振りで非常口を一つ手渡してくれた。
最悪自力で抜けてやる。とか頭によぎったが、荒いことはあまりやりたくない。ファブールで高高度からの着水は。少なくとも水でよかったものの、陸地なら肉団子よろしくとか想像したくもない。
頭から雑念を払いのけてから心に決めて目を瞑る。きっとうまく行く。

ふわってした感覚が来て、人の気配が減る。ちらりと目を開けたら。

景色は変わらないままだった。

現状を把握しながら、非常口を使う。知ってる場所に出れたらいいなぁ。と思いながら、非常口をくぐり抜けようとしたがその口は酷く堅い。堅くてうんとも言わない。

「非常の時に使えない口かよ!お前名前変えろよ?」

開かない非常口を殴りとばして、一旦考える。テレポは効かなかった。非常口も駄目ならデジョンも効果はないだろう。…念のためにやっておこう。
理論はあまり解ってないが座標の指定は大事かな。と思いバロンを思い浮かべた。

「テレポ!」

光が溢れてサメラは目を閉じた。足場が一瞬無くなってまた新たに足場を感じた。光が収まってよく見える頃には、サメラは移動していた。バロンで意識を無くして、目覚めた飛空挺の中だった。
目覚めた時とは違う一方に引かれているような感覚が常にある。浮遊間は感じないので、落ちてることはないのだろう助かった。と思うと同時に高高度着水をしなくていい安堵が得る。

…バロンに向かっていてくれればいいんだが。期待を口に出して甲板に向かう。瓦礫の合間をすり抜けていく飛空挺に、身をふるわせたりなんやりを繰り返して空中要塞を抜け出した。
崩れ行く要塞を見つめバルバリシアの凄さを感じた。巨大な鉄の塊をかんりする力を持ちながら戦ったからある程度本来の力を発揮出来なかったのだろうと考え、空中要塞で戦えて良かったて思いながら、進み行く船の行き先をサメラはぼんやり船首に座り込み見つめた。

数十分後無事バロンについて説教を受けるのは別の話。


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