ルドルフ | ナノ


バルバシリアと一二度遭遇しかけたが、辛うじて回避して、小さな通路を見つけた。人一人が通れそうなぐらいの通気口に似たそれだった。
その通路をじりじりと進めば、一つの穴から仲間の顔が伺えた。こんな所にいたのかと、安心して、、サメラは息を吐いた。
すかさずその格子を蹴り開け着地する。肌着の裾がひらめくも気にせず一気に駆け寄る。

「サメラ!」
「ローザ、怪我はないか?」

ローザは柱に括られて、その頭上に大きな断首の刃が光を放ち主張していた。サメラは刃を睨み、その仕掛けわ軽く目を通した。時間により落ちるものか動作を基準にしたものか、はっきりとは解らないので、サメラは腰元に手を伸ばして気付く。。

「…アイテムやら鎧や武器もどこにあるかわからないんだった…」

ダメ元でいい、やってみるしかない。
サメラは、一言謝罪を入れて、言葉を紡いだ。

「ストップ!」

淡い白い光が周りを包む。眼前のローザも周りで動いていた歯車のお友達聞こえなくって、サメラは普通の魔導師が使うような魔法が使えた事に胸を下ろして、、拘束具の解除に勤めた。キャラバンの興行で使ったこんな能力がこんな所に生きてくるなんて、と思いながら、手近にあった金具で拘束具の金具を叩きつけた。

カァンと鳴っただけで、金具もなにも変化はない。負けてたまるかと二三度打ちつけてもやはり変化はない。打ちつけると手の方が痛む。叩きつけていたら手が切れたらしく血で滑り金具を落とす。落としたのに気がついても急に止める事も出来ず、その手をぶつけて新たな傷が出来上がってしまった。
痛みに声をあげることも出来ず、だらだらと赤が垂れる、治す道具も何もないので諦めて、そのまま作業を続ける。

魔法の効果が薄くなってまた部屋に音が聞こえだした頃、通路からバタバタと足音を聞こえた。魔物かと身を固まらせたが、開いた扉を見てサメラはホッとした。

「サメラ、どうしてこんな所まで」
「セシル、話は後だ、刃物を貸せ。時間がない。」

セシルから奪うように小さな刃物を手にして、ローザを捉えてる拘束具と肌の間に差し込み、一つ目を壊した刹那激しい音を鳴らして、刃が落ちた。魔法が切れて、重力に従いそれは落ちた。
息が飲む音を聞いてサメラは反射的に体が動いた。刃を捨て、防具もつけてない腕でそれを止めた。


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