「姉ちゃん下がって!」 「行きますわよ!」 「コメット!」 パロムとポロムの魔法を降りかかる星を、降りかかるのを払う為、基、バロン王だった魔物に当てるための起動修正に星をバットよろしく打てば、ガツンと鈍い音を立てて槍が折れた。弓は、セシルとヤンを巻き込む可能性があるから使わず、サメラは、槍を捨てて背中の大刀を取り出した。堅く長い刃こぼれもしにくい大刀は叩く、切る、刺すと便利な勝手のよい武器となっていた。 「サメラ!」 「応。」 呼びに答え走り、セシルの組まれた手を足がかりに肩を踏み、天井近くに飛ぶ。大刀をバロン王だった魔物に投げた。勢いついた刃は、威勢良い音を立てて刺さる。それを確認するまうにサメラは天井を蹴り手に氷魔法を呼び出した。 「クカカカ、温い。温い!カイナッツオにとって、温すぎて欠伸がでるわ」 「フリザガ!!二連発!オマケに神々の怒り!」 サメラの存在を見失っていたらしく、高笑いして顔を上げた瞬間。その顔に向かってサメラは叩きつけるように氷魔法の塊をぶつけた。 「熱湯より冷やす方が簡単そうだったから冷ましてやったが?ついでにお前、亀だろ。さっさと冬眠しろ。」 「お主、ティンクトゥラに似た思い切りの良さよのぉ。」 肝は据わっておるのぉ。とカイナッツオ――と名乗る魔物に負けないぐらい高らかにテラが笑っている。そんなことにも耳を貸さずサメラはカイナッツオと対面する。 大刀を軸に体全体で蹴りを繰り出し、ダメージを与え、大刀を掴み腕の力だけで自分の体を回しカイナッツオと距離を空けた。サメラと入れ替わりにヤンとセシルがカイナッツオに攻撃をしかけている。 そんな中でカイナッツオが高笑いをして、水を身に纏いだした。 「…ヤン!セシル」 叫んだ瞬間に襲う水の塊と首もとに固い衝撃。 受け身を取れども意味が無く。 吐き出した酸素が無くなっていく。 上か下かも解らないほどの回る世界と暗くなる視界。 聞こえなくなる音を聞きながら。 意識は暗い底に沈む。 久々に呼ばれる 誰かの声がする。気がした。 意識がなくなるまえに聞いたのは。 我が名を、呼べ。ゼムス。と 闇に招かれる様にサメラの意識は沈む。 青い亀はやはりニタニタ笑ったままだった。 前 戻 次 ×
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