インナーにセシルのを着用し、鎧を身にまとうころにはセシルが回復し、パロムの手を引いて、歩き出した。 「セシル、宿で一旦荷物を解いて対策を練ろう。濡れたものをいつまでも持ち歩きたくない」 「そうだね、そうしよう」 一向の動向が決まって、サメラはふとなにかしらあったなぁ。と思考を巡らせた。なにをだったか。と全く持って思い出せず、首を傾げて宿に入ると同時に思い出した。 「あ。ヤンを見かけたの思い出した。」 なんて声をあげる頃には、飯どころから引き上げて来たヤンとばったり出会したのであった。 「ヤン!無事だったんだね!」 セシルの空気に対してヤンの纏う空気が違う。嗅いだことのある臭い、気持ち悪いぐらい甘い臭いをどこで嗅いだだろう。とサメラが頭を抱えていたら、腹に拳を叩き込まれ暖炉までぶっ飛ばされた。痛い、頭から血が流れ出る感じもする。 「サメラ、大丈夫かの?」 「魔法は私にはかけないでください、よ…っと。」 追撃を寸で交わして、突き出された腕を中心に鉄棒の容量で周り、ヤンの顎を蹴り上げる。 「サメラ」 「殺すか!」 かつて仲間だった奴を簡単に殺せるか。それに相手がファブールの次期国王候補だろうが。怒鳴りつけて、瞬く間に追撃をかけてきたバロン兵を蹴散らして、セシルを見た。相変わらず見合いながら、説得しようと口を開く。 「ヤン、僕だ!」 「甘っちょろい。セシル!」 「バロンに逆らう犬めが!」 鋭いけりが飛んできた。サメラは捌き背後から間接技を決め込む。腰につけた薬を一つ取り出して、パロムに嗅がせろと声を張る。 気を抜けば間接技を交わされるかも知れないので、動作は極最小に薬を投げ出し。 「離せ!バロンから逃げ出した犬がっ」 「パ、パロム早くしろ!」 「…あ、うん」 パロムが薬を嗅がせると、ゆっくりとヤンの意識かなくなった。ぐっと力が抜けたのを確認してサメラが軽々とヤンを持ち上げる。 「セシル、手伝え!パロム、宿屋で三部屋借りてこい!ポロム、非常時のホールド準備!」 「サメラ、お主」 「一度呪術の浄化してみます。やったことはないですが、何度かは見てました。」 「わしも手伝おうかの」 「助かります。老師」 店主、すまなかった。と支払いを机の上に置いて、行動は迅速であった。 前 戻 次 ×
|