ふと声をかけられて、そこで要約自分がぼんやりしていることに気がついた。 「どうしたパロム」 「あんちゃんが呼んでる」 「そうか…わかった」 「なぁ…」 「どうした?」 「…なんでもない」 「そうか」 パロム行こうか。すっと拾い上げて肩に乗せる。二人の間に沈黙が降りて、パロムはサメラを盗み見た。良かった、いつもと同じ顔だと胸をなで下ろした。呼びかける前の声は酷く恐ろしい顔付きで虚空を見ていた。まるで誰かがとりついたようなそんな様子だったのだから、もしかして見間違いかもな。まぁ、ポロムと相談だけどな。と思考を巡らせた。 「な、バロンってさ。あんまり人の匂いがしないんだな、姉ちゃん」 「…わかった。その鼻は期待しておく。」 関節的に伝えた真意を捉えて、何かあったら言え。できる限りは守ってやる。吐き出すように言った言葉は、誰かに言い聞かすようにもパロムには聞こえた。 「そう言えば、パロム、食いたいもん考えておけよ。」 「なにするんだ?」 セシルが回復したら宿に向かう。と付け加えると、やりぃ飯だ!なんてパロムが喜びサメラをせかす。 「おい暴れるな…イテッ」 「飯!飯!飯!」 「パロム!おいこらっ」 頭がぐらぐら揺れてサメラのバランスが崩れる。足元を踏み外して水路の中に真っ逆様。ヤバいととっさに判断して形に乗せてたパロムを放り投げる。教えたとおりに受け身を取る姿を確認してサメラは頭から水の中に突っ込んだ。 「姉ちゃん!」 「無事が?」 「受け身とったから無事だけど」 「セシルが回復したら、とりあえず宿で着替えるさ」 濡れ鼠サメラは仕方ないとため息ついて、水路からあがる水を吸った鎧は重いが、宿についたら着替えるし、それ我慢だと言い聞かせたがる、残念なのは着替えも濡れ鼠のせいで全滅しパロムもポロムに拳骨を食らうのであり、サメラもまたセシルから叱られるのであった。 「サメラ、聞いてる?」 「…聞いてる」 「じゃあ、僕はなんて言った?」 「…ぐっ…」 「サメラ?」 「悪かった。」 「着替え全滅だっけ?とりあえず僕の着替えでも?」 「あぁ…」 「ヒューヒュー」 「こらパロム!」 「すまない、セシル。それからパロム、お前はあとで覚えてろ」 前 戻 次 ×
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