宿を取り、飯をとり、そしてセシルの武器やらを一新する。暗黒騎士の装備は世間にはなかったが、一般の兵士装備が着用できるのは財布にも何にも有り難い事だとサメラは感慨深く頷いた。 「サメラ、これでいい?」 「問題ない。店主、とりあえず彼が着てるのをそのまま買う。からこれぐらいにならないか?」 カウンターに身を持たれ、金額を示唆する。首を傾けながら、店主の反応を待った。あまり反応がよろしくない、サメラは眉根を寄せて店主を射抜いて、仕方がないとカウンターに荷物を一つ置いた。ダムシアンでしか採れない薬の元だ。風邪や発熱や怪我の腫れにきき、ダムシアン砂漠での高熱病に対しての特効薬でもある。これを一つ譲る。これで手を打たないか?。 ニヤリと問いかけると、仕方ねぇなぁ。と提示した金額で妥協した様子で、店主は笑いながら、会話を広げた。話題にあがるのは行商人達の情報と世界の情勢について。セシルはその光景わ視界の隅に追いやりながら、、 「サメラ、有難う」 「なにがだ?」 「金銭面とか…ご飯とか…」 「できる奴がやる。それだけだ、毎日ローザの飯を食いたいか、食いたくないか、だ。」 飯を上手く作れる奴が作るし、戦える奴が先頭に立つ。換算できる奴が商いを営む。それだけだ。 しれっと言い放ちながらお釣りを受け取り、サメラは財布の中に入れて、これからの旅に必要のある道具を思い浮かべる。 そんな姿を見て、セシルもぼんやりサメラについて考えていた。 真っ直ぐ伸びる銀の髪と、空にも海にも似た青。育った場所も境遇も違うのにこんなにも似てるんだなぁ。としみじみ思う。 もしかしたら。彼女は生き分かれた家族だったりして。と一瞬思考が走ったが、違いすぎるか。とセシルは人知れず笑ったのであった。 「セシル、行くぞ」 ぼんやりしてたらあなたは入り口に立っていて、迷う事すらなさそうな青がセシルを射る。ごめんと適当に相槌を打ってから追いかけるように店から出た。 やはり彼女は強い彼女の強さとは何だろうとか他愛もないことを思いながら、彼女の後ろを歩いていった。 そんな答えは彼女のみが知る事であり、そして彼女は酷く弱いと言うことを彼はまだ知らない。 「サメラ」 「なんだ」 「なんでもない」 「そうか。」 青の中にある戸惑いもまだ、彼も知らない。 前 戻 次 ×
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