ミシディアにたどり着いて空を見上げると、見られてる感じもなく、空にいたアレは、居ないことを悟る。チョコボに長を与えてから帰るように促せば、双子はチョコボが見えなくなるまで手を振っていた。見えなくなってから、街に入るぞ。と促して、やれば。みんな吃驚するんだろうな!と顔を見合わせて笑っていた。 サメラが先頭を歩く。ミシディアの魔導師たちが、こちらに目を向けているのがすぐに解った。昔の記憶に似た憎しみやらそういう負の感情が集まった視線。不愉快そうに顔をしかめて、サメラは息を吐いた。 「姉ちゃん?」 「こういう目線は嫌いなだけだ。」 苦々しげに吐き出して、祈りの館の扉を叩く。入り口近くの白魔導師が、サメラたちに気がついて慌てて、長老!と声を上げて奥に走っていった。サメラは臆することなく、奥に奥にと進む。 「サメラ殿。そして、聖なる騎士になられたようですな。」 パロムもポロムもご苦労じゃったな。 ねぎらいの言葉をかけて、やはりな。とサメラは頷いた。 この双子たちは、見張りも兼ねていたのかと、人知れずため息をついた。 「兄ちゃん。姉ちゃん」 「ごめんなさいね、そういう事ですの」 「こればかりは、仕方がないだろう。」 それからぼんやりとその光景を眺めながら、連れ去られた仲間の安否と、流された仲間の行き先を思い浮かべた。陸路は記憶にあれど、潮の流れは手付かずで、よくはわからない。彼女が知ってることは2つ。潮にさえ乗ればどこまでても運んでくれる事と、乗らなければ元居た場所に押し返されること。 ファブールに戻されたなら待遇は良いだろう。だが、他に関してはよくはわからない。 「サメラ?」 ふと呼ばれてた事に気がついて、思考の海から意識が引き上げられた。青い目が音の主セシルを見つめた。話が終わったみたいで、セシルが館の出入り口からサメラを伺っている。 「あぁ。今行く。」 長老に目礼一つして、サメラはセシルの後を追いかけた。残された長老はただサメラたちが消えた扉を眺めて穏やかに笑っていた長老は一人言葉を漏らす。 彼らはよく似た光を宿しておるな。 その言葉は誰にもかかわらず聞こえず、寂しく消えた。誰の耳にも残らず消えた。その意味は長老のみが知るだろう。 前 戻 次 ×
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