ルドルフ | ナノ



山を下った一向は、そのまま南下してチョコボの森に向かった。
ルートが違うと言われてサメラはこれで有ってると、質問を突っぱねた。
歩くよりもこちらの方が早いからな。と最後の藪を開いたら、チョコボの目がこちらを向いた。双子はわぁ。と声を上げるのにもサメラは気にすること無く、一匹のチョコボを捉えた。

ピイピイ鳴いているのも期にせずサメラはチョコボの背にパロムポロムを乗せて、あと二匹だな。と手近にいたチョコボをたやすく捕まえる。

「サメラってなんでも出来るんだね」
「…なんでもなんて出来ないさ。早く、乗れセシル。」

すこし尖ったような声色のサメラは、眉を潜め、ただ殿を走り、前のチョコボ達をせっついた。
双子たちはチョコボで走る事に喜ぶ声が聞こえる。魔物もやってくる前にチョコボの足ならばすぐに振り切れるので問題ないか。と判断し何も言わずにいた。

「もうすぐ夜が来る。野営の支度をしないからな!夜が来ても走らせるぞっ!」

サメラはなんとなく気がついた。誰かに見られるような嫌な視線が。気味が悪いからサメラは野営を盾にしてみれば急かすのであった。不自然さがないようにあたりを伺って、空を見上げれば。
夕方の橙に、小さな肉眼でも見えにくい小さな陰が見えた。夜に混じりかけたのその色はサメラもよく目をこらさないと見えないくらいだ。きっと向こうは目の良い魔物がいるのだろう。判断してもうすぐで突入する森はミシディア近くまである。まぁ、これで大丈夫だろうと、判断して殿は漸く森に隠れた。

「動向がバレてなきゃ、いいんだがな」

木々の隙間から見うるそれを睨みながら、一人呟く。
バロンに誰か流れ着いていたらいいんだが。とぼんやりサメラは考えながらチョコボの首根に捕まる。

「クエー?」
「はいはい。ミシディアについたら飯食わしてやるからな。」

噛み合ってるかもわからない会話をしながら、サメラはチョコボのモコモコした毛並みをに顔を埋めて、太陽の匂いを目一杯楽しんだ。

「久々のベッドだなぁ。」

ぼんやり呟いて、頭の中でしばらく先について考えてみるのであった。野営は疲れる。見張りに飯に、雑務もろもろ。それをしなくていいのはサメラにとっても嬉しい事だ。それを考えると少し気分が上向いてサメラはチョコボの腹を蹴った。


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