意識が浮き上がるのがよく自分でもわかった。 「姉ちゃん。」 目の前にいたパロムを見て、夢を見ていたんだなと思うと、すこし切なくなった。母と会ったのは覚えている。それ以後はうっすらとしか覚えていなかった。 「寝てた。」 「姉ちゃんって妙に潔いよな。」 まるでなにかをあきらめてるみたいだ。とつつかれサメラは、煩い。とパロムを投げた。くるりと受け身をとり、すたりと地面に立っていた。教えた甲斐があったなぁ。と満足そうに頷いて、サメラの目はパロムを捉えた。 「姉ちゃん、おーぼーだっ」 「はいはい悪かった」 頭を撫でて適当にあしらいながら、サメラはふと祠の方を見た。テラの横を連れ立つ白がそこにいた。 「サメラ。ただいま」 なんと声かけるべきかサメラ迷い、とりあえず、お帰り。と声をかけて、セシルと目があった。 同じ色した髪と目に、サメラは畏怖する恐怖と懐古感を悟った。まるで自分をみてるみたいな何かがそこに残った。 月光にも似た白の髪。 空の青とも海の青とも違う瞳。 似ているけれど違う例えようのない何か。 同じ白銀を持つ人間なんていなかった。 こうして兜の下を見るのは初めてだとサメラは気がついた。 「こうやってみると姉ちゃんと兄ちゃん、俺とポロムみてーに似てるよな。」 なんかきいたようなある言葉に、既視感を覚えサメラは首を傾けた。何か言ってたような気もするが思い出せず諦めた。 「さぁな。育った場所が違いすぎるから何も言えん。」 足元の石を蹴り飛ばして、サメラは崖の下を見た。眼前に広がる世界を見つめれば、これから行く大陸がうっすらと伺えた。 「…バロンか…」 あそこに、ゴルベーザがいる。そう思えば背筋が、ピンと背中が伸びた。 「姉ちゃん、今、なんかいった?」 「何もいってないが。空耳だろ。」 そうだよな。とパロムもすっきりした表情をしてサメラの隣を歩く。先頭をサメラ、パロムポロム、テラ、殿をセシルに任せて一向は黙々て山を下り続けるのであった。 ミシディアにいないとなると、トロイアかエブラーナか…。海路的にファブールにもバロンにも流れ着くのは難しい。…どこに行ったのやら。サメラは深いため息をつきながら、その足を止めることなく進む。 前 戻 次 ×
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