ルドルフ | ナノ



我が儘なパロムを肩に乗せ、その片割れを抱いて山を登る羽目になったのかと問い合わせたい。体力はあるが、スタミナは無いサメラにとって二人とも、は重労働で、絶えず抱えるのに苦労し、これも訓練だ、体力作りと無理やり言い聞かせながら、ひたすら山を歩く。
ふと山登り先を見てみると、道中、何かがそこに見えた。最中に見た魔物と違う色合いに、はて、と思っていたら、背後を歩くセシルが勢いよくそれに駆け寄った。違和感の色の正体が紫と桃色の混ざったローブを纏った老人だと気がついた。

「おいセシルっ」
「テラっ」
「セシルか!?。お主もメテオを求めてか?」

めてお?とセシルが、はて。と言わんばかりに首を傾げたので、「黒魔法の最高等魔法だ」と横から口を挟むと、老人と目が合い、お?と首を傾げた。

「じいちゃん、あのテラか?」
「テラ様とおっしゃい!馬鹿パロムっ」
「年上は敬えと言ってるだろうが」

殴りかからんとサメラの腕の中で暴れるポロムを押さえつけるのも面倒になって抱えていた二人を下ろせば、一目散にテラへ駆け寄った。

「初めてお目にかかりますわ、私達、ミシディアの長老の言いつけで「みh…げふっ」…なんでもありませんの、気にしないでくださいな。」

ホホホとごまかす中サメラは見張りと言う単語を聞き逃しはしなかった。まぁ、そうだろう。ある程度、セシルから聞いて、そうなってるだろうという予測が確定した。

「ミシディアの子どもか…セシル、リディア達は…それから、お主は?」
「サメラです。」

軽く頭を下げると、テラは口の中でもごもごとサメラの名前を呟く。あぁそうじゃと、口にして言葉を放つ。

「ダムシアンとトロイアの狭間に住む森の賢者エリクシールの娘か?」
「…森の賢者、ティンクトゥラなら、私の母ですが…」

トロイア方面で爆発が有ったから儂はすっ飛んでったが、あの地は人が住めなくなってしもうたわ。しかして、ティンクトゥラは…

「解りません。幼い頃をほぼ覚えてないので。恐らくはその時に…」
「そうじゃったか…」
「とりあえず、登りませんか?」

ふぉふぉふぉ。と髭をなでつけて、じゃあ行くぞい。とテラが先頭を歩き出した。サメラは、テラの背中を見つめながら、一向はただ黙々と山を登りだした。



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