でてきなさい。そこに居るのは知っておるぞ。パロムポロム。 ミンウは手を叩き人を読んだ。パタパタという足音がサメラの横で止まり、こんにちわ!と挨拶が聞こえた。 「ポロム」 「サメラさん。お久しぶりですね、お変わりありませんか?」 「まぁな…」 パロムはどうした?とミンウが声をあげたその時、サメラの隣から煙が立ち上げサメラは背後からの衝撃を喰って地面に崩れた。 「へん、パロム様登場だぜ」 「……あの…」 「どうしたんだよ、あんちゃん」 「そこ退いたほうがいいよ」 煙が消えて、セシルはパロムに注意を促す。足元を指さされて、パロムは足元をそって見たら、不機嫌そうに寝転ぶサメラがそこにいた。 「おい、パロム。」 「っのバカ。サメラさんになにするのよ!」 幼女は、サメラの上から引っ張り降ろし、拳骨を振り上げた。勢いのよい音がして、サメラは鼻で笑いながらようやくその身を起こした。 「いってぇ!なにすんだよポロム」 「サメラ、あのこ達は?」 「パロムとポロム。ミシディアの双子の魔導師だ」 「ミシディアの天才児の俺。パロム様がお供してやるんだからありがたく思うんだな。」 「じゃあ結構だ、帰れ。」 「ねぇちゃん!」 「かと、いって、あのあたりにアンデットが多いと聞くからな、仕方ない。連れてってやる」 薄く、してやったりな表情をしてサメラは楽しそうだな。とセシルは感じながら、ここでリディアぐらいの子供を相手してたから、手慣れてたのかと、感心しながらパロムとサメラのやりとりを眺めた。…だが、まだ、知り合って数日の無表情の彼女が嬉しいそうだと解ったのだろうかと、人知れずセシルは首を傾げた。 「二人とも。旅支度をしてこい。今日中に半分ぐらい進むぞ。」 双子の姿を見送って、サメラはふっと息を吐いて支度をしに行ってくる。と歩き出した。 「サメラ。ぼくも行くよ」 「ここにいろ、めんどくさい。」 いるものがあれば、言え。買ってくる。端的には無しを知るサメラに、何もないよ。とだけ伝えサメラは祈りの館から出て行った。ミンウは、職務が残っているからとサメラの後を追いかけるかのように出て行った。 「……みんな無事だといいんだけど」 ぽつりと呟いた。窓の外には登りかけの二つの月が、かすかにうかがえたのであった。 前 戻 次 ×
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