しばらく歩くとミシディアの街中に入ったなと言うのがひしひしとサメラは感じた。その原因でもある後ろの男は、申し訳なさそうに頭を垂れて歩いてるのが、雰囲気で、そして足音で伝わるからだ。黙々と歩き二人は館についた。 中に入れば両隣に魔導師をつれて、長老ミンウが現れた。一瞬、ムッとした表情をサメラは見逃さなかった。その原因もまた、後ろのセシルが原因なんだろう。と考えると、また、どんよりした感じになった。 「サメラ、よく来られましたな。」 「話がある。」 「後ろの方の話なら聞きませんが。」 サメラは噛みつこうと長老。と言いかけてセシルがそれを諫めた。僕がきちんとしなきゃ駄目みたいだから。と肩を叩きセシルは、ミンウと向き合った。 「あの時はすみませんでした。」 「謝っても死んだものは帰らぬ。」 私は、あなたが憎くて仕方がない。野次り、罵ったとしても、死んだ仲間が帰っては来ぬ、ただ、あなたの中に違う光が見える。少し、聞いてみる価値は有るかも知れぬ。 ミンウはなんてもいえない表情をして、セシルを見つめた。その目はサメラには、悲しみに暮れてるようにも、コイツをどうしてくれようとも語っている様な気がしてただミンウを見つめた。 「今は、バロンを操るゴルベーザという男と戦ってます、が、ゴルベーザに仲間が捕らわれ、海でリヴァイアサンに襲われ、離れ離れに…」 それも与えられた試練じゃろう。そなたが、闇に勝つには光しかない、闇を捨て、善良の心を持ちたいならば、東の試練の山に登られるとよい。光の力と心で聖なる騎士、パラディンになれるとも聞く。 「待て、そうしてる間にも、別の国が。」 「サメラ、人生に近道なんてはないんじゃぞ?。」 「解ってはいるが…」 「闇を捨てれば儂の仲間もまだ浮かばれる、」 「おい。」 「全ての山を登りなさい。」 それもまた贖罪の一つであるから。 ギリリとサメラは奥歯を噛んだ。急いでる時こそ、回り道が必要なのは、昔からキャラバンで説きふせられている。が、なによりも悔しいのはこの長老の上手な説き方である。 こう聞かされたら、言うべき答えなんて決まっているのだから、仕方ないか。とサメラは一人息ついた。 「行きます、山に。」 「そうか」 あの山では闇の力も辛かろう。魔導師をつけようではないか。 前 戻 次 ×
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