ほかが心配だな。と深いため息をついてサメラは町の輪郭を探す。視線につられてセシルはサメラの見つめた方を見つめる。遠くに霞む朧気な輪郭はセシルが何日か前に見た景色であった。 「あれは…」 「…行くか。」 ある程度情報も入るだろう。とサメラは判断して、サメラは歩き出した。数歩歩いて振り返れば、セシルはそこで立ち止まっていた。どうした?と聞けばセシルが言いにくそうに言葉を選んだ。 …あの町は、僕が襲った町だ。 罪もない人を僕が…殺した…。 だから…。 そこからの言葉を切ったのはサメラであった。 「なら、言ってやる。」 罪は背負うもんだが、背負いすぎるのもまた、一つの罪だ。人間何かを殺めないと生きていけないんだぞ。知ってたか?あと、負う負わないは自由だが、言うぞセシル。殺めたやつの分もお前は生きろ。人間は命を貰って生きてるんだからな。 言い切ってサメラは、先を歩き出した。その背中に懐かしい影を重ねて、ふっと笑い、その背中を追った。 「サメラってやっぱり似てるよ。」 「…そうか。お人好し。」 どうせファブールで刃を交えた戦友と似てる。とか言い出すんだろ。呆れたように吐き出せば、セシルが驚いた顔をしてる。どうして解ったの?と聞かれたが、よくは解らない。サメラは、ただ、なんとなく思ったことを口にしただけだった。と言って、平然としていた。 「とにかく、悲しみはそのあたりの魔物にでも食わせとけ。お前の力は、そういう力だろう?」 よく知らないけどな。と枕を置いて言葉を選択するサメラはゆっくり歩き出す。セシルもサメラに歩幅を合わせて、歩き出す。 「そうだね。」 「それともなんだ。ローザが居なくては何も出来なかいのか?」 サメラっ。と征されて、サメラは笑った。それだけ元気があればミシディアにも行けるな。1人が不安なら、手でも繋いでやろうか?とからかいながら二人の足跡はミシディアに向く。 「不安なら手ぐらいなら貸すが?」 「大丈夫だよ。」 「はいはい。じゃあ、後ろ着いてこい。」 それと。私は全く強くないからな。人と折れる場所が違うんだ。解ったかセシル?。 はっきりと言ったサメラは、いつもの大刀を背負いなおしてサメラは、ただ歩く。その背中を見て、やっぱりサメラは強いよ。とぼんやり思うのであった。 前 戻 次 ×
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