ルドルフ | ナノ



ゆれる感覚は馬車のそれと違うから直ぐに舟だと理解した。ファブールはどうなった!?慌てて飛び起きれば、腹に刺さるような痛みがすぐに刺さった。

「う…ぐぅ…っ…」
「サメラ!?まだ寝てなきゃ。」

すぐにベッドに押し戻されて、サメラは当たりを見回した。まとめて押し込まれたようなベッドにリディアが使う武器やサメラの荷物や鎧が置かれてた。

「とりあえず、みんなに言ってくるね。サメラはあれから二日も寝てたんだから。」

絶対安全ね。と釘を刺されてサメラは縦に頷いて、手をひらひらさせてギルバートを見送った。
上体だけを起こして、ひとりになった部屋で、考える事は色々あった、意識をなくす前に見えたローザについて。白魔法ならば多少の医学を持ち合わせるであろう可能性が横に居ない現実で、検討ついた。

「サメラ。入るよ。」

控えめなノックの後にセシルが顔を出した。先ほどまでギルバートが座っていた席に腰を落として、ギルバートから。と手渡されたのはファブールで託した荷物袋はとても軽かった。

「ほとんどサメラの傷をなおすのに使ったから。」
「…そうか」

ならよかった、怪我は少ない方がいい。袋を受け取り、サメラは視線を下げた。

「そういえば、あのゴルベーザの横に立った男は、何者だったんだ。」
「カインは…僕とローザの昔からの幼なじみなんだ」

それだけ聞いてサメラは納得した。だから、ローザを見てから様子がおかしかったのかと。
洗脳にはいくつかのパターンがあるとキャラバンで聞いたな。と思考を巡らせた。
疲労による洗脳、心理による洗脳、そして痛みによる洗脳と催眠による洗脳。解く方法は色々あるが、心理的な攻撃による洗脳にはまともな解決法がないと団長が言った。
粗方、ローザに恋慕しセシルに嫉妬し、その北を突かれたのだろう。同情もするが、サメラの口出しするものじゃないと、ため息一つついて、話の先を促した。

「ローザも守れなかった。僕らはバロンに行って飛空挺技師に会いに行く最中なんだけど、サメラはどうしたい?」
「どうしたいもこうしたいも」

船にまで突っ込まれて、はいお疲れさん。なんて言うと思ったか?守れなかったのは私の責任でもある。気にするな、責任は平等だ。




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