「そっちに取りこぼしが行ったぞ!」 「任せろ」 背中から弓を取り出してすぐさま矢を討ち、別の武器に持ち替えて、魔物の山に潜り込む。体のバネを使って、下からうえに大きく切りかかって、魔物の体を足場にして隣の魔物に飛び乗って、魔物の翼を切り裂く。悲鳴と共地面につき、喧騒は消える。 「走るぞ、支度しろ!!」 そんな言葉と共に急に体が軽くなったような、浮いてるような感覚を覚える。それでも、確認する暇が惜しいと判断して全部後にしようと結論付けて、また魔物の山に飛び込んで、回し蹴りを決めて道を作って、そこを全員がかけていく。 「エアロガ!!」 大きな風の弾で魔物をすべて払いのけ次のフロアへと駆け込む。いつの間にか土でできていた床が、クリスタルになっていて、足元の遠くでかすかにきらりと光ったり、爆ぜたりしているのがうかがえる。 「あれ、きっとフースーヤたちなのかな?」 「追いつける距離だな。急ぐぞ」 「##name_1##、さっきから魔法つかいっぱなしでしょ」 「まだ、いける。それに、今は時間が惜しい、休憩所を見つけるまでひたすら走るぞ。」 次の休憩所で半日休みを入れよう。と告げて荷物からエーテルを取り出し飲み干す。だんだん近づいていくごとに聞こえてる声は、大きくなってきている。そろそろ危ないか?と一人ぼやきながら、長い階段を下る。道中、その辺りにいるような魔物と違い段違いに力の強い魔物と、それに値する武器を手には居れたせいでか、魔力の減りが著しく体力も減ってきている。握りしめていた武器も握る体力も無駄にしたくなく、分厚いダガーのストラップを指に引っ掻けて息を整える。 「休憩所ついたら飯作ってねる」 「サメラ。頼むよ。」 「…しかたがない。しんがりをつとめる。みちは開ける。はしれ。いけ」 「ルドルフ、てめぇ疲れすぎて「はやくいけばかでし」」 エッジを蹴って急かし、風の魔法を放ってそこを一気にかけていくことを繰返し、フロアを一つ二つと降りていく最中、疲労による判断力が鈍ったのか体力の限界か、足元が縺れてサメラが膝から崩れ落ちた。土埃を微かにあげて視界が滲む。殿は魔法が切れかけて魔物たちが、咆哮をあげてサメラに飛びかかるのが伺える。 視線を上げれば先行く彼らはこちらを見ていなく、遠くにいる。魔法を練る時間もなく、避ける体力のない。せめてもと、刃だけを上に向けて先行く彼らの時間を稼ごうと決めて、ゼムスの元に着くまで気付くなと祈り、最後だと腹を決める。 終わりだ、この聞こえる声も、仲間を見るのも。 そう、終わりだと仲間の背中を見ることをやめて息ついた瞬間。 「サメラ!!」 名前を呼ぶ声が聴覚を叩いて、それから魔物が咆哮をあげて、沈黙が降る。 「無事か!」誰かが言葉を放ってぐっと腕を掴みあげ、腕のしたに手を滑り込ませて、ぼやけた視界に青が映る。捕まってろ。と声を聞いて、サメラは大人しく従った。 「カイン、ルドルフ無事か?」 異変に気づいたのかエッジがやってきて、その後ろからセシルたちが魔物たちを牽制している。 「魔法の使いすぎだろう」 「昔っからテメェは、無茶ばかりしやがって、今まで頑張ったんだから、しばらく大人しくしてカインに面倒見てもらってろ。」 サメラの額をつつきながら、ここらで一掃してからでも、休憩入れねーかってセシルたちにも伝えてくるぜ。 カラカラ笑って、エッジが走っていく。サメラは、ぼんやりとそれを見送りながら 小さく吐き捨てた。 どうして、すておかない。と。 前 戻 次 ×
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