ルドルフ | ナノ



ぐっと飲み干して、サメラは行ってくる。と地面を踏み出した。足音に気づいてかエッジがこちらを向いて手を組んで構えている。サメラは遠慮なく、その組まれた手を足掛かりに肩を踏んで空に飛ぶ。夜の色した機械たちを一瞥して作り上げた魔法を唱える。

「サンダガ」

手のひらから打ち出された魔法の雷は、夜闇の小さな機械に直撃する。フースーヤがサメラと同じ魔法を準備しだしたので、サメラはそのままもう片方の小さな機械にずぶりとやいばをねじ込む。ぐっと差し入れて、距離を開ける頃にリディアが唱えている雷撃がまっすぐ飛んでいく、すんでのところで雷撃を交わして、片方の足を軸にして方向転換して雷を追うような形となる、そのまま遠慮もなくねじ込んだやいばがもっと刺さるようにそこを足場として踏んで上空に逃げると、セシルが走って大きな機械に傷をつける。落下の速度を利用して、もう一度ねじ込んだやいばを踏んで、雷撃を流す。くすぶっていない小さな機械の銃口がサメラを向いて、青白い光を作り出す。リディアがサメラの名前を呼んだ。それを聞いて、距離を図れば雷を操る翁を召喚していて、サメラやフースーヤが呼び出したよりも大きな雷が小さな機械に向かってまっすぐ飛んでいく。そのタイミングでサメラは一旦離れ、回復魔法の口上を唱える。淡い光が飛んでいって、セシルたちにもその光が降り注ぐ。無論サメラにも淡い癒しの光がおりて、傷を治していく。攻撃の届かない場所で一旦エーテルをまた一気に飲む。青臭い草の臭いに眉を一瞬しかめてから、また戦場に走り戻る。
駆け込むと同時に、セシルが口を開いて「サメラ、行こう」と誘う。それに頷いて、背後でフースーヤの呪文があと何れぐらいで放てるか考える。セシルが走り出すのを見てから、それを追うように走る。
こうやって、セシルと戦闘する事はいままでたくさんあった。なぜだか不思議と何がしたいとかどうしたいとかわかるときああったけれど、こういうことなんだろうな。とセシルの背を見ながら、サメラがふっと思う。きっと彼は、これからもっと大きな事をやるのだろう。やさしい彼は、きっともっと遠い場所までいってしまうのだろうか。そう、考えたら背筋が冷たい汗が流れる。それらを無視して、今は目の前の戦闘に集中しなければ。と息を吐き出して、一気に距離を積めるために、走り出すと、ごとり、と鈍い音がして球体の機械が息を止めた。残りは大きなひとつの機械だけになった。沈黙する機械から武器をエッジが取り出して、サメラに投げ手渡す。

「ルドルフ!」
「おう。」

ありがとう全員離れろ。そう言葉を投げてから、本気を出すぞ。と、息を吐き出して、武器を構える。その視界に大きな球体の機械がひとつ浮いている。荷物袋から、小さな瓶をひとつ取り出して、やいばにまとわせてから、サメラが大きく横に凪いだ。刃は風を切って勢いを増して、音もなく最後の球体が二つに別れて地に落ちた。ぷすぷすと音を鳴らして、しばらくして沈黙。

「やった…のか?」
「俺たちが巨人を止めれたのか…?」
「こいつが、心臓ならな。」
「やったぁ!巨人を止めれたんだよ!」

リディアが喜んで、そう声をあげると同時に背後のドアが開いて、緩みかけていた空気が一瞬にして殺気立つ。ひんやりとした魔力を流しながら、それは怒気を混ぜて、ゴルベーザがやってきたのだ。




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