「試練の山で聞こえた声は…。」 試練の山の山頂で、何もない部屋に声が聞こえたんです。僕を息子とその声は言ったのです。 そんなことがあったのか。と思いながら聞いていると、「ティンクトゥラの手によって残されたものかもしれぬの。」と言葉を出した。 あれは、記憶をとどめるのが得意だったのでの。その部屋に術式を用いて、魂を残したのだろう。その部屋に行ってから、何か変化があったかの? 「僕は聖騎士に。サメラはたぶん」 「魔法が使えるようになりました。」 「おぬしたちは、クルーヤの若いころによく似ておる。」 「あの声が…父さん!」 なら、きっと。私に魔法を使えるようにしたのもきっと父なのだろう。と勝手に憶測をつけて、サメラは息を吐いた。良かった、とりあえず言いたかった事が一つ消えた。 おそらくは、ゼムスの策略を食い止めるために、ティンクトゥラとクルーヤはその力を、そなたたちに託したのじゃろう。ゼムスを止めなければならぬ。青き星と、月の民のためにも、バブイルの塔へわしも参ろう。 私と共にいけば、入れるはず!バブイルの巨人を青き星に下ろしてはならぬ!私も共に行こう……! そうしてくれると、助かるよ、フースーヤ。急ごう、あの星へ。 場が和みかけた。刹那、サメラが割って入るようにフースーヤに質問を投げた。 「フースーヤ。ひとつ聞きたい。クルーヤの息子、わたし、達・・・の兄に当たるセオドールが今、生きているか、知らないか?」 勢いだけで聞いてみたが、帰ってきた答えは否。じゃあ仕方ない。と諦めた。礼を言って、思考にくれようと、したが、それをローザが遮った。 「ねぇ、サメラ。あなた、いつセシルと兄弟だという夢を見たの?」 「…バブイルにとらわれて…そうだ、言い忘れていた。四天王が、生き返っていた。時間的なものを踏まえて、ルビカンテやマラコーダが生き返ってる可能性はある。」 あなたねぇ!どうして、そう大事なことを! ローザの指摘で、自分で言ってから気がついた。ヤバい墓穴ほった!。ローザ、セシルから聞かれたことに対していい思い出はない。後悔してから、視線を動かせばニンマリと笑うローザが一人。 「サメラ?」 有無を言わさぬ絶対零度の瞳が、サメラを射抜いた。抵抗しても無駄よ。と言わんばかりのリディアが隣にいる。これはだめだ。と思慮して、サメラはため息を一つついた。 前 戻 次 ×
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