思えば、誰かと二人で歩く。というの事態がすごく久々な気がする。思い返せば、リディアとカイポからダムシアン砂漠を抜けるとき以来だろうか。少人数で歩くのもなんだか不思議な気がする。 こう、ぼんやり考える時間もなかったのだ。と自分がどれだけ駆け足で走ってきたことなのかを今更ながらに実感し、そういえばと昔##name_1##と話したときに言われたことを思い出した。 「対なす者を探し得よ。こういうもの知らない?」 「対…ですか?」 対。と言われると、二つ一組。ですから、双子とか、靴とか。ですか?双剣とか、あと夫婦。とか、でしょうか?者と言われてるので、人。が正しいのでしょう。ただ、つい。と言われるならば対向するもの。としても考えられますね。ゴルベーザとかですか? 「どうなんだろうね。」 セシルは曖昧に笑って、はぐらかす。 あんまりよくわからなくてね。どうなんだろう。旅ゆく途中で得た言葉なんだけれど。そのあと対なす者の目を覚ませ。ともいわれてるんだよね。この言葉は誰のものかもわからないし、本当にあれは##name_1##だったのだろうか。 「##name_1##さんが言われたのですか?」 プロムは首をかしげて、んー。あんまり##name_1##さんらしくないですね。言葉使いとか。そういうなんだか難しい言えないですが。すんなりと腑には落ちませんね。ジッとした目でプロムはセシルを見る。 「なんだか、サメラが乗り移られたような。感じだったけれどね。」 「乗り移り…ですか?」 真名の掌握をして魔力を流せばなんとかなる。とも聞いてはいますが、乗り移りだなんて。そんな高度の魔法の使い方なんて賢者のようなレベルでないと。おそらくは使えませんよ。 「そっか。」 へぇ。と帰しつつ、二人は祈りの館に入る。 セシルはプロムのせなかを見ながら、あの時サメラらしくない、その言葉の内容をぼんやり思い返しながら考えるのであった。 一方変わり、女子部屋では、リディアが町の外を眺めていた。ぼんやりと遠くに人の走り回る姿が見えて、人の多さを知る。 「ミシディアって、綺麗なところね。」 「サメラが言ってたわ。ミシディアは夏の緑が綺麗なところだって。」 夏になれば、もっと綺麗なところなんでしょうね。とローザが微笑む。そんな話を聞いて、リディアはサメラの話ってあんまり聞いたことないな。と緩く頭の中を走った。 よくよく考えれば、幼い頃旅したときも傍らにはリディアがいて、サメラはただ話を聞いて相槌を打つだけであった。 「ほんと、私たち。サメラの事、知らないよな。」 あ。エッジなら、知ってるかな?どうなんでしょうね。クスクス笑いながら話をする。他愛もないを繰り広げながら、きっとサメラはこういう楽しみはないんだろうね。というのが結論ついて、起きたらみんなでこういう話したいね。できるといいよね。と、笑う。 サメラはいつもの顔して、回りを見てるんだろうね。とリディアがいえば、そうでしょうね。とローザがまた笑う。そんな笑い声につられてエッジがノックもなく入ってくる。ローザが嗜めたが、エッジは、それを受け流しつつ自分の問いかけを投げる。 「セシル知らねー?」 「こっちには来てないよ。」 「また、ルドルフのことでも考えてんのかねぇ。」 手近の椅子に身を投げてから、掌を頭の後ろで組んで、ま、ミシディアからはでねーよな。と結論つけた。あれは死んでもしなねーってのによ。と吐き出して、天井を見上げる。 「セシルも気にしてるのよ。」 「セシルもなんだかんだいって、サメラを大切にしてるもんね。」 「あいつら、ほんと似てるよな。」 実はーとかってねーのかよ。と悪態ついて、さぁね。とローザも投げ捨てた。幼馴染だけれど、セシルは元バロン王が拾ってきた子だから、よくわからないのよね。とサメラもだっけ?とぼんやり思考を巡らせる。 「おう。赤華の集まりの団長が、昔拾ったって言ってけどな。」 あんまり俺の口から言うのもあれだから、サメラが起きたらきいてくれよ。と片手をひらひらさせて、だれた口調でそういった。確かに、そうだ、とも思いつつ、ぼんやりと仲間が目を覚ますことを祈るのであった。 前 戻 次 ×
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