リディア。お前か。サメラの言葉に迷いはない。頷くのだけを見てサメラは判断を下す。 「リディア。ケアル重ねがけするぞ」 「サメラ、ゴルベーザを止めよう!」 ちぐはぐな二人が出来上がった。 二人でお互いに顔を見合わせて、オヅロキヲ隠さず、どうして?と声を揃えた。 「サメラもリディアもいったんのかわりに落ち着いて。とりあえず僕が皆の回復をするから。サメラは魔法で、リディアが武器でゴルベーザを牽制させて」 一番真面目な顔した騎士が一番最適じゃない答えを出してきてサメラは呆れながら、セシルの頭を叩いた。 お前自分のケアルの回復量を把握して言ってるのか?と吐き出せば、リディアは笑いとりあえず最優先は決まったね。と言い、セシルが号令をかけた。 「最優先はローザの復帰だ。」 フェニックスの尾をリディアに投げてからサメラはセシルの後を追う。ローザを回復させたらあとは自分でも回復出来るだろう。の判断から全員共通の見解に入った。 「サメラ」 「応。」 セシルを足場にして踏み込みゴルベーザの頭上に飛ぶ。大刀を振り上げて重力に沿わせて落ちれば、ゴルベーザの甲冑の一部が飛び散った。一瞬サメラとゴルベーザの視線が重なる。その一瞬にサメラは巨大な何かを感じ、背筋にひんやりとした空気を感じた。が、その感覚も捨てて間髪入れずに大刀の柄でゴルベーザの頭を叩いて、崩れ落とす。 「ホールド!」 光の輪がきらきらと光を放ちゴルベーザを血に縫い付ける。それでもサメラは手を抜かず、ゴルベーザの首もとを地面に刺そうとしたがセシルに静止の声をかけられた。 「サメラ、君が手を染める必要はない!」 「止めねばまた新たな命が消えるぞ!テラやパロム達のように!」 「それでもだ。」 「偽善的なお言葉だな」 やめましょうよ。そう言ったのはローザだった。しばらくサメラはローザを見つめてから、ホールドを重ねがけさてサメラはゴルベーザから離れ、傍らに立つ。俯きがちで髪の間から見える青は鋭く闇夜を駆ける狼のようだとリディアは思った。 「見張っている」 だから、報告に行ってこい。と送り出しその背を見送る。地に伏せたゴルベーザを見ながら、サメラはふっと息を吐き出した。 前 戻 次 ×
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