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店員をある程度捌いて俺が一番最後の着替えになった。一番最後までアクロバットをしていたので、半ば氷鷹につれられる形ではけた。そのままずるずると更衣室に叩き込まれて、おれはさっさと着替えをする。ブレザータイプのものにチョーカーにベストを着こんで俺は更衣室とあてがわれた2階を飛び出す。そのままステージ脇まで、ショートカットもかねて窓から飛び降りると、観客席は沸いたがめちゃくちゃ氷鷹に怒られた。破けてないか!って……俺の心配じゃない。いいけど。
何とも言えない顔して、と遊木と乙狩にどうしたと言われるので適当にはぐらかす。
榛らしさをイメージしたらしい服は、俺は黄色で緑と赤が要所要所にちりばめられている。なんだよ俺、こんなところもお誕生日席かよ。っていうと夏目は7がバランスが悪いかラ。と言われる。うん、俺あんずから年上いびりされてるかもしれない。とかこっそり肩を落とす。そんなことをしていると、明星がステージを動かし始めて、各々の紹介をはじめだしている。

「あっくんあっくん、」ほら自己紹介!」
「あー自己紹介?白い炎はー祈りの……うそです。一之瀬 有です。来てくれてありがとー」

いつものくせで、流星隊の口上を言いかけて自分でとどまる。半分ぐらい言ってるじゃん。明星に言われて、適当に流してほら次いけ次。なんてせっついて手で俺は追い払う。もう!とか呆れられつつあんずの紹介へと移る。そのままゆるゆるとげっと隣から声が聞こえた。

「あのモジャ公メ。」
「青葉来てるのか、そかそか。その調子なら瀬名も来てそうだな…………」
「あれ、君のところの1年じゃない?」
「……なんで来てるの?」

マイクを落としかけたが、逆先がそれを凪がれるようにキャッチする。俺の視線の先にうちのこトリオ1年生がそろっているのを見て、俺はあきらめて出力上げるかー。と軽く床用の技予定だったのをジーザスフリップに変えて、練習よりも大目に飛ぶ。高い目に跳躍すれば、驚くような感嘆とした声が聞こえて、近くの明星の肩を借りて最後に宙返り。すまんね、と言いつつ肩を叩いて、俺のフォーメーション位置につく。乙狩がすごく高く飛ぶのだな。と言われて、乙狩とかも練習したらうまいこといけるぞ。俺の子にでも聞いてみなよ。とそそのかしてみる。話を逸らす、視界の中で神崎が楽しそうに踊っているので、終わったら打ち上げの飯なんだろうなー、と乙狩に問いかければ、肉。……そうだな、肉だな。今日の打ち上げ飯肉だな。焼肉食べたいなーでも一年と飯いかねばなぁ。
どうでもいい思考をしてると振りをとちりかけたので、あわてて軌道修正をかける。

「一之瀬殿、あどにすどの!我、はしゃぎすぎであろうか?」
「乙狩も、神崎も楽しそうだよな、」
「そもそも『UNDEAD』の仕事でこういう衣装をきることはないから、とても新鮮だ」
「『紅月』もないからめずらしいんじゃない?」
「そうであるな、合同『らいぶ』などであどにすどのと一緒に歌った経験はあるが、『くらすめいと』としては初めてであるしな。」

『ユニット』がばらばらで、『ステージ』で『パフォーマンス』して大丈夫かと少し不安であったらしい、神崎に後で後悔しろ、今は目の前のライブを楽しめと指摘をする。神崎の顔が一瞬、はっとしてそうだったと言わんばかりの顔をする。ライブ中だばかもん、ぽけっとすんな、と俺はフォーメーションのために離れる。間奏中に俺が横断するようにのアクロバットをもう一度入れてラストサビだったと記憶しているので、俺は練習の倍以上飛ぶ。

後日あんずからもらったビデオを見ると、俺がぴょんぴょん飛びすぎてまったくアクロバット部分が上手に撮影できてないので別日に再度取り直す。という失態をやってるのは俺の内緒の話だったりする。…俺のアクロバットいるほんとに?いりますよー!ですからこの間の衣装きて早く跳ねてください!いやはねてくださいって、あんずよぉ。ちなみに後日流星隊内でそのビデオを見せられて俺は忍にほいほいコピーされて俺はショックで、千秋に解放されるのであった。男の膝で。俺うれしくないって!この野郎。




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