20180712 ないつの日(君のために5題)-君の唇を奪う 鳴上嵐 昼飯を食べに食堂に来たらナルくんが居た。俺と目線があって、片手を振ってくれるのでそっちに寄ると前あいてるわよ。と言ってくれるので相席することになる。一人だったの?と問えば、みかちゃんにふられちゃった。とのこと。みかちゃん?って思っていると、『Valkyrie』のぴーちくぱーちくする斎宮の子らしい。俺を雛鳥先輩だとか呼ぶのを思い出して、ちょっといらってした。 「文哉ちゃん、笑ってちょうだい。お肌に悪いわよぉ。」 「煩いよ、ナルくん〜。」 「そんなところまで泉ちゃんに似せなくていいの。おいしそうね、文哉ちゃんの今日のメニューは何かしら?」 「辛口かれーうどん。ナルくんは?」 嬉しそうにみてみて、と相槌を打ちながらナルくんは俺に見せてくる。いろんな野菜を細かく刻んだサラダらしいが、直訳すぎて怖い。チョップドサラダ。っていうか学院のご飯って、なんでも対応してくれすぎじゃないか?食圏で帰るとか、帰還限定で対応してくれるとからしい。へぇ、と思いながら、カレールーとだしを絡める。ずずっ、とすすればお口の中が火傷しそうなほど熱かった。 「文哉ちゃんって意外とおっちょこちょいよね。はい、お水」 「ありがと、んー仕事中以外はスイッチ切っておきたいし、そんなに緊張してもいいものできないし。」 常に緊張する業界に居続けるのにもたまには緩めておかなきゃねぇ。だいたい王さまと泉ちゃんといるとゆるゆるの顔してるのに、なにをいってるんだか。と呆れられた。そりゃあ学校にいる意味なんてレオとセナが居るから。っていうぐらいのレベルになってる俺に、それを言われても。学校が息抜きの場となってる節もあるので否定はしないが、肯定はしたくない。 「プライベートぐらいゆっくりしたいじゃん。」 「それもそうよねぇ。文哉ちゃんなんて特にいろいろ仕事してるんだから休養はとったほうがいいわよ」 「……休み、ねぇ。」 いつとったっけな。と思考をしてると、無意識に眉間に皺が入ってたようでもう、とナルくんの怒られる。俺は最後に休んだのはいつだったkと記憶を掘り起こそうとするがない。さて、最後に休んだという記憶があるのは、『Knights』に入る前だったと思う。というか開店休業に近いあの頃はほぼほぼ休みみたいなものだったが。まぁ、書きものの仕事をしたり資料集めたりいろいろやってたなぁ。と零せば、文哉ちゃん。と角のある声が俺を呼ぶ。 「もうちょっと休んで頂戴よ。仕事のしすぎはよくないわよ。」 「わかってるけど、どうもなんだかなぁ。休止もしたくなかったからねぇ。」 「もうちょっとちゃんとお休みぐらい管理しなさいよね。」 呆れたように青紫の瞳が俺をまっすぐ見た。じーっと見つめられて俺はその瞳を見つめ返す。意思の持った真っ直ぐな瞳は俺を見つめている。文哉ちゃん。と呼ばれて、なにだろう?と首を傾げていると隙あり!と言わんばかりにスプーンでサラダを掬って俺の口に突っ込んだ。文字的に唇をふさいだ。とかっていう言葉はあるけど、唇を奪うというか、口を奪うみたいな感じでそのまま俺の口の中にサラダを落としてスプーンを抜く。 「たまには自分を甘やかさないとだめよぉ。お姉ちゃんが甘やかせてあげましょうか。」 「いや自分に甘やかせるって、難しいよね。抜くとこ抜くなんてできないよね。」 「ストイックなのまで泉ちゃんに似せないでよ。アタシが甘やかせてあげましょうか。」 「甘やかしすぎたら、俺中毒死しそう。」 首を緩やかに横に振って呆れていると、俺の手からかれーうどんを奪って、ほら、あーん。とやりだすので丁寧にご遠慮しておくことにした。 31D 君のために5題 君の唇を奪う 鳴上嵐 ←/back/→ ×
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