スカウト ブライダルと俺。-3e

「はい10分たったよぉ!」

膝から叩き落とされて、痛さで目が覚めた。いや、コーヒーのお陰か3本飲んだエナドリのお陰か。正味わかんないけど。イテテ。と上体を起こすと、転校生も羽風もいない。二人は?と聞くと、羽風を探しに転校生がでていったようだ。俺は、ふーんと返事をしながら、新しいコーヒーを開ける。飲み過ぎだって、と言われるが、今日も完徹になりそうだし書籍作業が終わんないー。パソコン家だし、成分足りてない〜。と俺はセナに飛び付く。

「熱い!」
「もーちょっとだけこーさせて。」
「羽風たち帰って来る前に離れてよぇ。」

わかってるわかってる。といいつつセナに引っ付く、横の暖かな熱が、きちんと隣にいるという証明の気がして、仕方ない。レオに会いたいな〜。会えたらいいんだけど、どこにいるんだろう?とどこにいるかもわからないレオに思いを馳せていると。ねえ。と隣から声をかけられた。なにー?と間延びした声をあげてると、文哉って、家で俺のことなんて呼んでるの?と聞かれる。

「セナのこと?」
「そう、俺のこと。」

ちらりとセナをみると、いびる相手を見つけたように、目をキラキラしている。やっべ、さっきなんか寝ぼけながら、言ったきがするえど。俺、なに言った?家では泉がねー今日はピリピリしてた。とか言ったりすることもよくあるけど、え?俺もしかして、言ってた?まさか、まさか。そんなこと。

「さっき、寝ぼけてか、名前で呼ばれたんだけど。」
「ひえっ!」

ひえっ、じゃない!と言われるが、なんで怒られてんだ?首をかしげてセナをみると、なんであんたは家と外で呼び方変えてんのさ。と…どうやら、家で名前呼びしてるのが不満だそうです。かわいいかよ。ほんとにもう。なんだよ、このツンデレ。とか思いつつ、俺はそのままなんでもない振りを続けようとしたが、セナが爆弾を放り込んで来る。

「家では名前で呼んでるの?呼べばいいじゃん。」
「せ、セナ?」
「泉、」
「いや、無理!」

もう顔文字でるぐらいむりだわ。(ヾノ・∀・`)こういうやつ。恥ずかしくて顔から火がでる。っていうか、なんだよこの羞恥ぷれい。思春期の高校生か!っていうか今だけどさ。なにこれ、学校で先生をお母さん!って呼ぶぐらいちょっと恥ずかしいんだけど。なにこれ、大パニックだよ!顔面偏差値の暴力!逃がさないよぉ、と楽しそうに歪むセナが、早く呼べばいいじゃん。って俺に言うが、ほら、心の準備が!無理!!!マジ無理!助けてと魂から出そう。横に逃げてたら、追い詰められて逃げ場ないし。どこに逃げよう。とかセナをどうすればいいんだ、アブダクション来いとか大地震来て!と他力本願の願いが炸裂しそうになったとき、え?みたいな顔した羽風と転校生が帰ってきた。

「あ…お邪魔?」
「全然!」

むしろ助かった!もう家でもセナって呼ぶ!と俺は心に硬く決めて、セナを横に退ける。ちょっとつまんない。みたいな顔されたので、たまに呼び捨てにしよう。とひっそり思う、ごめんってイケメンに俺耐性あるとかおもってたけど、ねえわ。セナもなんか怖い形相だし。どしようかねぇ、と思いつつ乾いた笑いを俺は張り付けて空元気を出す。

「ええっと、瀬名くん、保村くん、遅くなっちゃってごめんね。今度はちゃんとやるからさ、見捨てず付き合ってくれると嬉しいんだけど?」
「髪。」
「えっ?髪?どういうこと?」
「髪が乱れてる。」

それじゃ伝わんないって。と言いかけたが、ほらそこ座って。文哉場所変わって。モタモタしない!といつもの瀬名節。呼吸音。平常運転。俺がここまでしてやるなんて滅多に無いんだからね。感謝してよ。といいつつ、メイク箱を開けだす。俺は、椅子から動いて、転校生に海でも行ってた?と聞くと、海まで探しにいきました。と言うから、へぇ。と返事をしつつ、、目元腫れてるし。タオルでも作ってこよっか?泉。と言うと、セナにぎょっとされた。んで一瞬僅かにちょっと嬉しそうな表情をしてから、俺から目を離した。

「すぐ出来そうなら、お願い。」
「セナのお願いならなーんだって聞いちゃうって。」
「あ、文哉!」

呼び止められたけど、どうせお小言だと思うので、俺は逃げるように蒸しタオルを作りに部屋を抜け出した。たまーに、名前で呼んでやろう。そして、ちょっとの驚いた顔をみてやりたい。俺はそうおもいながら、浮かれ足でサッサとタオルを作って持って帰ると遅いと怒られたので、俺は作ったタオルで自分の顔のケアをするのでした。

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