スカウト ブライダルと俺。-2

セナの参考を見て、羽風の態度が変わった。どーだ、うちのセナは凄んだぞ。とか思いつつ、はしっこで眠気覚ましのコーヒー片手に二人のやり取りをみる。

「実践あるのみだよ。解んないことがあるなら教えてあげるけど。だからってあれもこれもって聞かれるのは困るから、本当にわかんなかったことだけ質問してよ。」
「優しいんだか、厳しいんだか、じゃあもう一度やるから見てて。」

さっきまでと表情が違うな。と呟けば、転校生も頷いている。が、セナチェックは恐ろしく手厳しい。さっきより酷くなってるわけ?俺と文哉と見て少しは理解したんじゃなかったの?レンズの向こうに花嫁がいると思えって言ったよねぇ?何で撮るときに一瞬、悲しそうな顔になっちゃうの?あんたは花婿で花嫁さんを迎え入れる立場あんだからさ、と摘めるようにいうから、俺は二人の間に入って、一旦休憩しなよ。と進める。スイッチ入ったセナを止めるのも一苦労だわ。鳴上くん。

「俺にもそうなるのかは解んないけど、このままやったって、いいことないと思うし、お互いろくなもん出来ないと思うよぉ。」
「俺に寄せないで!こんな状況で休憩出きるわけないでしょ」

俺が指導したのに、中途半端な出来映えで雑誌撮影に挑まれても困るし。明日も明後日も時間を裂いてあれないんだから、今日中に感覚を掴んでもわらないと。ほら、もう一度やるよ。とセナが強く言うので、俺もどうにもできない。鳴上くん、俺なんでよこしたのさ。と仕事だから仕方ないけど、度が過ぎるようだったら再度割ってはいるから、転校生。お前は落ち着け。二人をみてソワソワしてるのは解るが、それでもまだ悲しそうな顔をする羽風に思いきった転校生が、保村先輩の言う通り休憩しましょう!と強く出た。俺が止める間もなかったので、セナも渋々とした感じが出てる。あぁあ、セナが拗ねちゃったよ。とか思いつつ俺も羽風に温くなった缶コーヒー押し付けて、ほら外の空気でも吸ってこい。と部屋から追い出す。保村くん、ごめんね、と一声残して羽風はどっかに行った。
足音だけが遠くに消えていくのを聞きながら、俺はどうやってセナを落ち着けさせるか考える。どうしようかねぇ。と考えつつ、たぶん要らないって言われるだろうけれど、飲み物買いすぎたからいる?聞いてみたが予想通りの反応ありがとうございました。はい、存じてましたっ。

「何なのあいつ、あんず、何か知ってる?この間ゲーセンに行ったときもちょっと様子がおかしかったし…」
「どうなんでしょう?あんまり…よくわからないです」
「まぁ、あいつが何に悩んでるとか俺には関係ないしどうでもいいけどね」

これじゃ、いつになったら帰れるか、わかんないじゃん。なるくんには時間外労働手当ても含めて請求した方がいいよ、文哉。俺は別になんもしてないし、そんな請求するほどでもないかな。とあくびを殺しながら言う。転校生はすこしもじもじしてから、瀬名先輩も保村先輩もさっきは凄かったです!と鼻息荒く言われた。俺はブラックコーヒーも飲み終わり次の缶を開ける。セナに飲み過ぎ。とか言われるけど、寝ない方が今いいだろう。たぶん、今寝たら朝までおやすみコースまっしぐらな気がする。

「モデルの仕事に復帰しないんですか?」
「そうだねぇ、まさにどうしようか悩んでる最中ではあるけど、なるくんもね、俺を復帰させたがってる、再起n何だかんだ理由をつけてそっち系の仕事をさせようとしてくくるし、今回、羽風の指導をしてくれって頼んだのも、モデルの楽しさを思い出させるためだったんじゃないかなって。」

まぁ本当に急な用事が入って、俺以外に頼む人が居なかった岳なのかも、知れないけど。な〜んか、まんまと策略に嵌まった気分。口ではゆうくんと一緒じゃないと復帰しないとか言っちゃってるけど。やっぱりさ、カメラの前に立つと楽しくなっちゃうんだよねぇ。
さっきのサンプルで撮ったセナの写真はとても輝いてた。ずっとやってた人だからこその見せ方だろうと思うし、俺だってドラマだったらとかなら、そうやってるんだとおもう。寝ないように足をぱたつかせてみるが、うとうとしそう。っていうか、してる。なんも考えたくない。

「まぁ、文哉が『Knights』を守ろうとしてるし、今はそっちが優先…っていうか、何で俺がこんな話をあんたにしなくちゃいけないわけぇ?」
「んー、いずみ、よんだ?」
「目を擦るんじゃないの。」

んー。と返事をしても頭はぐらぐらしてくる。こら、寝るな。と怒られるが、羽風が帰ってくるまで休憩だし、やっぱ仮眠する。いずみ、肩か膝かして。と許可を得る前に俺はいずみの膝を借りて10分。と呟くかぐらいにもう俺はそこから覚えてない。うっすら見えた泉が嬉しそうに笑ってた気がした。

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