-セナとレオと俺。

「レオー」

そう俺は声をかけるが、彼は動く気配すらない。ふんふん言いながら、地面に五線譜を書きなぐっている。一通り書いたら満足するだろうと思ってほったらかしにしてたがいい加減寒くなってきた。

「もうちょっとで出来上がるぞー!待ってろ!文哉」
「さっきセナに連絡入れたよ。もうすぐで来るからそれまでねー」
「そんな霊感を消すような事やめてくれよ〜!文哉」
「じゃあそれまでにおらわせようよ」

俺はベンチから腰を上げてレオが書き上げていたものを順番に携帯に収めていく。あと5分でいくから。とセナの連絡が来て、後5分切ったよーと声をかけておく。嘘だろ!と叫ぶレオに俺はほんとだよ。と笑う。遠くからバイクの音がして、ほらもうすぐだよー!と笑うと、正面からバイクの光が俺を照らす。

「やーっと見つけた!王様、文哉連れてなにしてんの!」
「ほらーレオ、セナが来たから帰るよー」
「解った!わかったから!俺の作品を消さないでくれ!」
「大丈夫ー全部収めてるからセナやっちゃってー。ほらールカたん待ってるんでしょー?」

レオの悲鳴を聞きながらも俺はケラケラ笑ってセナがぷりぷりしてるのが俺の日常。で大好きな日々。こんな日が戻ってくるのだから日常なんて信じられないよね。

「文哉が何でルカたんを知ってるんだよ!もしかしてお前ルカたんを!」
「いや、レオを連行するときに会ったり話したりはしてるけど?」

狙いませーん。と返事をしながらもレオを立たせて、背中を叩く。しぶしぶの顔をしつつも、俺はバイクを押すセナの隣を陣取り反対側にレオを立たせる。

「財布は?」
「持った」
「携帯」
「持った」
「鞄!」
「持った!セナまでがみがみ言うなよ〜!文哉かー?」

ふふん。と俺は笑う。王様送ったら文哉も送るから、なんて言われて俺もラッキー!とセナに飛びつく。熱いからは離れろっての!と怒られたけど、嬉しくなってレオと一緒にセナにとびかかると、セナはバイクを落とすからやめてとめちゃくちゃ怒られる。

「やっぱり、セナもレオもいると俺は嬉しい!怒られてもなんでもね!」

満面の笑みだったからか、レオとセナがお互いの顔を見合わせてそれから毒気のなくなるようにふっと息を吐いて笑う。明日もみんなで会うのだから、きっと明日もいい日になると思ってる。ナルくんもすーちゃんもりっちゃんも明日おはようって言えるのが俺がとんでもなくうれしい。

「文哉、明日8時半ね」
「おっけー、あざまっす!あ、今ナルくんから連絡来た!明日時間変更かかったって!30分遅れだって!明日早く起きてガッコ行ってセナハウスで仕事一本すませちゃおーッと!迎えいらないー!」
「まだあんた仕事してんの?」

そーコラムのねー!来週頭締切だからそろそろ書き上げなきゃいけないしー。文字も楽しいよ、セナとかセンスあるからできそうだけど?と言うと、セナが真っ赤になってそっぽ向いた。

「せーなー?どーしたの?」
「なんでもない!!」
「へんなのー」

ね、レオー。セナが変なんだけどー?と反対側を見ると、ニヤニヤして笑うレオがいたので、俺はただ首を傾げるだけだった。やっぱり変だってセナ!!


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