春風 アイコニックなブックフェアと俺-3

打ち合わせを済ませて当日現地に集合。俺は早い目に現地に入って店に入るといつものようにぐるりと一周めぐって今度のオーディションの事前知識用に事務所に本を買って送る。お会計をしていると、朱桜くんが俺に気づいて寄ってきた。

「保村先輩、おはようございます。」
「おはよう。早いね」
「先輩に比べたら私なんて未熟者です。」

ゆるゆる首を振られたがそんなことないよ。と俺は言っておく。お会計の人にここに送っておいてください。と事務所の名刺を渡しておく。必要な物を買い終えたので二人で、指定された場所に行くと、広がった展示ブースが見えた。転校生が立っているところが集合場所なんだろう。青葉から衣装を受け取って、転校生に飛びつく朱桜くんの首根っこを掴んで俺は更衣室に入る。着替えを想定していない部屋なので8人ぐらいの会議する用の部屋をあてがわれたらしい。荷物置きも兼ねてると言ってたのを聞いてたので、何人か分の荷物が置いている。鳴上くんや弟くんはもう着替えも終わっているらしい。置いてる鞄を見ながら、先に出て行った人に思いをはせていると手が止まっていることに気が付いたのか朱桜くんが俺に声をかける。

「保村先輩は今楽しんでいますか?」
「……楽しい?……」
「最近笑われていないようですから。」

一年に言われるんだから、俺も重傷だ。まぁ、仮面をもっと深くかぶりなおさないとな、思いつつため息を吐く。今日はため息ついてばかりだな。とりあえず仕事用の仮面をかぶらなきゃ。と思いつつ、鞄の中に仕込ませていたゼリーを一気に吸い込む。味も感じないし、とりあえず食べてることさえアピールできたら何でもいい。朱桜くん経由でセナにでも話は行くだろう。うん、いいよそれで。さっさと着替えて俺は先に出るよと伝えて先に部屋を出る。後ろ手で扉を閉めて、俺はスイッチを切り替えるように人格を変更する。
「さ、仕事仕事。」そう零してから軽い足取りで、階下に降りる。さっさと講演してさっさと帰れたらいいんだけどな。ぼんやり欠伸をして階段を下りれば、セナは2年のゆうくんにべたべたで、俺はあきらめてそっちに寄る。

「あら、文哉ちゃん、おはよう。」
「おはよう。鳴上くん。」

何か言いたげにこっちを見た。俺の顔に何かついてる?ううん、ちょっと驚いちゃった。と返事をもらって、俺はふぅん。と返事をしながら、周りを見回す。瀬名は2年と戯れてるのを見ていると、朱桜くんが下りてきて、鳴上くんに挨拶をしている。嬉しそうにしているがネクタイの結びが俺が気に食わないので朱桜くんを呼びつける。なんですか?と言うので、さっさとすませるために「朱桜くん、気をつけ。」「はい!」背筋をただしたので、俺はさっさとネクタイの結び目に指を突っ込んで解く。結び目が汚い後向け!とくるりと体を回す。ネクタイを襟を通しなおして、手早くいつもの結び方を仕上げる。タイピンを付けてブレザーの中に押し込む。出来上がり。と肩を叩くと、ありがとうございます。と礼を言われる。はいはい。次今と同じ結び方したら怒るからね。と念を押す。プレーンノットは見栄えが悪いの。だから次そんなことしたらわかるよね。とにっこり脅しておく。ふと顔を上げれば、すやすや寝息を立てる弟くんが居て、ほらほら起きると促す。

「ふ〜ちゃん、むりー。着替えさせてー」
「ちょっと凛月先輩!隙あらば寝ようとしないでください!っていうか、まだ着替えてないんですかっ?」

日が高い時刻ですしね。ちゃんと集合場所に間に合っただけ奇跡と言えるかもしれませんが。寝ていられても困ります。起きて、着替えてくださいね?と朱桜くんが弟くんに寄って。揺さぶり起こす。安眠妨害だから揺らさないで〜。眠気が勝ってて着替えられそうにないから、と俺に手を伸ばす。仕方ないと俺は判断して弟くんの手を掴んで背負い込む。着替え持って来て、これ連れて行くから。と鳴上君に手伝ってと声をかけて、フロアをあがる。

「大丈夫なの?ふ〜ちゃん。」
「何が大丈夫かわかりかねるよ。」
「ありゃりゃ、重症〜」
「煩いよ、弟くん。」

軽口をたたきながら、部屋についたのでソファーに投げ込む。痛い。と言う主張を無視して俺は弟くんの馬乗りになって手早くブレザーを脱がす。ちょっと!と言われたが、効率重視。ブレザーとセーターを脱がせて、シャツのボタンを一つずつ外していく。そんな時に丁度鳴上君がやってきて、あらあら。と言いつつ衣装を広げていく。はい、と一つずつ手渡されるので、俺ははいばんざーいと言いながら、弟くんの補助ように指示を出すと素直に両腕を伸ばしてくれるので俺はそのままはいはい。と鳴上君から受け取って弟くんを着せ替える。ちゃっちゃか終わらせて、はいおわりー。と最後にネクタイをしめあげる。よくできました。と言わんばかりに頭を撫でつけて、俺に下は自分で立って指示を出す。手を伸ばされたので、立たすために強く引く。下をボタンを開けて、はい、片足上げる―。と声を上げると、俺の肩に手をついて、片足を上げたのでそのまますっと通す。はい、反対―。と促して反対側の足にも通す。最後は自分でやって、と言うと、自分でベルトを締めだした。ハイえらいえらいー。と棒読みで進めて弟くんを背負う。

「ありがとね。文哉ちゃん」
「ほら、降りるぞ」

再度弟くんを背負って降りると、ちょうど役割分担の話がしていた。時計を確認をするとそろそろ登壇の時間が近い。テーマ確認と水だけ確保してそろそろ行かねば。下のフロアの椅子に弟くんを下ろすと青葉に呼び止められた。

「講演が終わった後に、客引きをお願いしたいんですけど。」
「講演終わって、その後ちょっとファンサービス入ると思うけどその後でもいい?」
「勿論。」

これ、今日のテーマです。と受け取って俺はしたり顔で青葉を見る。ま、これぐらいなら軽いね。と返して、俺はじゃ行ってくるから、鳴上くん。あとよろしくね。と伝えて俺はさっさと仕事に赴く。ブースの一角でテントの最奥で俺は30分程度のしゃべり倒す講演会が始まったのだ。


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