対決 華麗なる怪盗VS探偵団と俺-1

かなり文字をこねくり回してるけど、妙案が浮かばない。するめ用のポッドが二つ目に入ってセナに取り上げられたので、作業が進まない。セナ―!返してってばー。なんて訴えても、文哉は食べ過ぎだから、一問できたらねぇ。と言われて必死に考えるのだが、かたっぱしから没を喰らって俺は一人咆哮を上げる。やけっぱちになりながら一枚紙を書き上げてセナに渡す。

「セナ―これはー?」
「ふぅん。いいんじゃない?ちょっと見てこれ、どう思う?」

俺からセナ、セナからナルくんに渡った紙は、薄い紙独特の音を鳴らして、背筋をよくする。俺の手書きの文字を指で辿りながら、難しすぎじゃないかしら?『謎解き』をするのは『Ra*bits』なんでしょ?『Ra*bits』と言えば、光ちゃんの所属している『ユニット』よねェ、と言われて俺は頭の中に件の『Ra*bits』のメンバーを思い浮かべる。ナルくんの言う光ちゃん、が誰かわからないが、ちょっと頭の足りない子というのは居た気がする。

「振り仮名うてばいいじゃん。」
「大丈夫でしょ〜。『Ra*bits』のは〜くんが賢いから。」
「そのは〜くんがいるならいいんじゃない?最低限だけうっとけば。」
「絶対ふ〜ちゃんは〜くんわかってないよね?」

あの子とは、たまに紅茶部で一緒に勉強するんだけど一年生の学習内容で抜けてるところとか、俺に教えてくれるぐらいだもん。待て待てりっちゃん。ツッコミが炸裂しそうだった。なんとか飲み込むと、ナルくんが一年生に勉強を教わらないでよ。なんてたしなめられてる。俺はナルくんとりっちゃんの話を耳に傾けながら、セナにするめを催促して、一本を差し出された隙をついて、反対側の手で持っているポッドを略奪して、満足に続きを書き始める。

「あのう、私の疑問が放置されてるのですけど。先ほどからみなさん何の作業をしてらっしゃるのでしょう?」
「『謎解き』の問題作成。」
「『謎解き』とは、いったい?」
「えぇ?セナ、すーちゃんに説明してないの?」

いくら『Knights』が個人主義とはいってもねェ、『報告・連絡・相談』はちゃんとしなきゃ駄目でしょ?うん、「ほうれんそう」は大事、血の材料になる。セッちゃんやりすぎかも、あんまり『謎解き』が簡単すぎても困るけど途中で【ミステリーステージ】が止まっちゃったら最悪じゃん?今回はライブ対決じゃなくてさ『Knights』と『Ra*bits』の合同ライブみたいなもんでしょ?
ほうれんそうはたぶん違うこと思ってるなそして、いいぞもっとやって。言ってやって。心の中で応援しながら、俺は次の問題になりそうな手がかりをひねり出していく。

「ん〜。そこまでよその『ユニット』に気ィ遣いたくないんだけどねぇ?いつも偉そうな、なずにゃんをギャフンと言わせるチャンスだしぃ」
「セナの変なスイッチ入ったねぇ。かわいそ『Ra*bits』」
「泉ちゃんの『そういうところ』はどうかと思うわ。そんなに、ちっちゃい子に意地悪するのが楽しいのォ?」

うん、チョ〜楽しい。満面の笑みのセナに俺は珍しく『Ra*bits』に憐みを覚えた。後でヒント与えに行くかなぁ。面倒だな。ナルくんかりっちゃんにでも働いてもらおうか。うんうん。俺は予定を決めながら、問題を繰り広げていく。これのイベント終わったら、俺のコラムに書いてやろう。とか思う。

「あぁ、すーちゃん。ここに座りなよ、説明するから。」
「ちょっと文哉、説明よりも問題作って。」
「俺説明するから、セナ考えといて。今のところ全部俺じゃん。」

ほらほら、次の日の分よろしく。そう言い聞かせて俺の隣にすーちゃんが腰を下ろす。んー何から説明する?名前?名前は【ミステリーステージ】、特殊なドリフェス形式。ちなみに『S3』な。一週間続くライブで、基本的に俺たちが謎を出して『Ra*bits』が謎を解く。解けたら、『Ra*bits』のステージになるの。で、今俺とセナが必死に俺らのライブを長くするために必死に考えてるの。まーちょっとすーちゃんかんーナルくんにでも働いてもらうから、覚悟してねー。

「今ので全然わかりませんよ!」
「もう、いいやナルくん補足よろしくー。」

ナルくんに、もっとしっかり説明してあげて。って言われて俺は細かくかいつまんで解説するのだった。

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