初興行 祝宴のフォーチュンライブと俺-5e

あれよあれよとぶっつけ本番。
一通り練習したけど、ぶっつけ本番はやっぱり心臓に悪いよな。まぁ、レオのぶっつけ新曲には慣れてるけど。それとこれは別だよね。この間の【ミステリーステージ】や俺の仕事でいろいろしんどいけど、ここさえ踏ん張っておけばなんとかなる。でいままでやってきたので、なんとかなるだろう。っていうか、イテッテッテテテエ。

「ちょっとくまくん!テンション抑えてっ動きが大きすぎるせいで、文哉に飾りの紐?袖?っていうかどっちもビシバシあたってるんだけど、顔に。!」
「当ててるの」
「おい、りっちゃん!そういうちっちゃい嫌がらせはやめてよ。とりあえず、セナは下がってていいよ。匂いダメでしょ。俺は慣れてるから別に問題ないし、むしろ好きだからいいよーほら、場所変わろ。」
「もしかして、セッちゃんお酒の匂いきらい?」

そのままセナと立ち位置を変えて、とりあえず吐かないでね。と念を押しておく。屋台骨は崩れないからねー崩さないからねー。と先日のセナの言葉を借りつつ、俺はにやっと笑って、動きを増やす。レオも加わって似たような事言うと、セナは「よりにもよってあんたが、俺に対してそんなことを言っちゃうわけ?チョ〜うざぁい!」とかいいだして、俺は中央でパフォーマンスしてるので、そっちに駆け寄るタイミングもないステージで掴みかかるようなら、タイミング見て二人ともドロップキックかましてやるとか物騒な事を考えつつ、ナルくんと一緒に弾けてみる。大丈夫そうねとナルくんから耳打ちがあってそっちを見てみると、なんか仲直りしてる。あとで、セナ介抱コースと言ってやるとナルくんが頼んだわね。とクスクス笑って、二人を注意しにナルくんが離れてった。ちらりとすーちゃんを見ると、きびきびとして動いている。さすが武家の子なれてるね。とかおもいつつ、そういえばお茶やってるって言ってたっけと思い出す。黒髪黒目の俺は、着たときに大絶賛を貰ったので、似合ってるのだろうね。わかんないけど。とりあえずレオが飛び出しかけてるので俺が諌めつつ調整役を勤める。
俺たち『Knights』で残り何回ライブができるんだろうな。と考えるとちょっと寂しくなるから、あと何回もある。と考えるべきなんだろうなとか思いながら歌っていると、またりっちゃんから袖攻撃されて、あとでちょっと釘差しておこう。ハンムラビに則っておこう。と決めつつ、俺は急成長した末の子の背中を見て微笑ましく、見つめる。

「な、文哉。楽しんでるか」
「うん、レオもセナもいるからね!りっちゃんもすーちゃんもナルくんもいるからもっと楽しいよ!」

ほら、すーちゃんたちも手を繋いでるし俺たちも繋ごう!セナも混ぜてさ!そうやって問いかけると、子どもみたいな笑顔でレオは大きく頷いて、レオの反対側にセナを迎えて、レオとセナのとなりにそれぞれりっちゃんとナルくんをいれて、幸せな気持ちになりながら【招福宴】のライブをつつがなく終わらせて、『Switch』の二年の子に笑うんだネ。とか言われつつ俺は次の現場に足を急げたのだった。

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