反逆 王の騎行ともしもの道を通る俺。-1

attention!
この話は、反逆 王の奇行と俺。とは違う進行になっており、
文哉が『Knights』の参加メンバーとして入り、人数合わせのために『ナイトキラーズ』に蓮巳敬人が加入しているIFルートになっています。
悪しからずご了承ください。
(なお、本編途中にはうっかり文哉が『ナイトキラーズ』に入ろうとしているという書いてる本人がうっかり間違えて書いてしまった部分を切り取り要素として残っております。


-------------キリトリセン-----------

レオが学院に戻ってきたと聞くけれども、会えたのは指折り数えるほど。ぐちゃぐちゃだった俺の内心も落ち着きを見せたかとも思ったのだが、やはりそうではないらしく、レオとあってないなー。と思うことがしばしば。どこか心がまだ欠けたようにも感じる。誰かの言伝でレオが申請したライブが行われたりする。そんな中でもレオは居ない。どこか自分の体の半分を持っていかれた気持ちだ。

「ちょっと文哉?なにボサッとしてるの。くまくん起こすの手伝って!」
「あぁ、うん。わかったよ。」

読みかけの本を閉じて入口で寝転がる朔間くんを動かす。ごろりと寝転がして俺も部屋に入る。後ろから視線を浴びて、振り返るとセナが俺を見ていた。俺はそのまま何かあったかと投げかけると、セナは上から下へと視線を動かしながら口を開いた。

「なに?『王さま』帰ってきてから、元に戻るかと思ってたけど。」
「…俺?」
「まだ、完全じゃないって感じ?」
「そうだね。ここにレオがいないしねぇ…」

ここにレオがいないならそれはきっと『Knights』に似た何かである。俺の気持ちのように、どこか決定打になるようなものだけが一つ足りてないものだと思っている。そっか。なんて返事が返ってきて俺から朔間くんに意識を移動させだした。どうやらミーティングを行いたいらしい。
それで起こそうとするセナと寝ようとする朔間くんのバトルが始まる。後ろをゆっくり歩いていた鳴上くんと朱桜くんが入口に立ってため息を混ぜる。そんなふたりを尻目に俺は袖まである手袋を外す。夏も終わるこの時期でもグローブは蒸れてかゆくなりそうなので脱ぐに限る。
もそもそと脱いで着替えていたら、転校生がいるんだから脱ぐなとセナが怒りながら、朔間くんの布団の中に引きずり込まれて怒っている。どこにおこっているのかわからないけれど、俺は気にせずとりあえず下だけはスラックスに履き替える。一応死角だから問題はないはずだけど…。
聞こえてくる会話に耳を傾けながら着替えをすまして着衣していた衣装をハンガーにかけていると、あのバカ殿。またいつ行方をくらませるかわかんないんだから。なんて聞こえて息が止まる。
また、いつか。そのいつかっていつだろう。今日?明日?そこで俺の思考がから回る気がする。頭のどこかが殴られたような感じがしてぐらぐらする。
ちゃんと立ててるかもわからないほどのめまいも感じながらかろうじて踏ん張り立つ。どれだけ時間がたったかもわからないけれど、俺の様子を見て鳴上くんが俺に声をかけた。さっきから何も聞こえないけど大丈夫?と俺によって来る。多分今ひどい顔色してるんじゃないかなっていうのは鳴上君の声色からも理解はできる。

「いったん座りなよ。水分とって落ち着きなよ。顔色悪いけど。」
「ちょっと休んだらきっと大丈夫だよ。」
「文哉の大丈夫程信用ならないものはないよ。」
「……ちょっとだけ休むよ。」

それだけ言葉を吐き出せば、転校生が気を回して俺に水を渡してくる。遠慮なく受け取って俺はいつもの席に腰を落ち着ける。さっき聞いたのは現実じゃないと自分に言い聞かせながら、冷静になれと自分に叱咤する。近くで聞こえる音が水の中にいるようにぼやけて聞こえる。言葉が音として認識されて、聞き取りがうまくいかない。ちゃんと息が据えてるかも怪しくなってきた気がする、喉なってないよな。なんて思いながら自分の息を確認する。過呼吸に陥ってないのでそっと胸を撫で下ろしていると、声が聞こえた。

「話は全て聞かせてもらったぞ!いいやゴメン嘘ついたっ!後半からしか聞いてなかった!でも安心しろっ、おまえらがしゃべっていた内容のすべては妄想で埋めるから。」
「……レオ…?」
「おぉっ。文哉顔色がよくないな!待って理由は妄想する!」

…聞きたかったレオの声がうれしくて、ちょっと泣きそうになった。変わらない笑顔でこちらを見ている。さっきまで聞き取れてなかったのも嘘みたいに全部ぶっ飛んでいるのだから恐ろしい。レオは俺から離れて、そのまま歩きながら朔間くんに挨拶をしたりしてセナの前で止まる。

「ちょっとぉ『王さま』急に出てきたと思ったら、何なわけ。チョ〜うるさい!もうライブも終わったんだし、今さら顔を出されても困るんだけどねぇ?」
「おぉセナ、相変わらず小姑のように口うるさいな!なのに最後まで『Knights』にとどまって守り抜いたんだよなっ、偉い!ツンデレだな!」

嬉しそうにセナと話をしてるのが、見れてうれしい。この間しゃべってるのを見たところなのに、それが遠い昔のように錯覚する。懐かしい昔が心の中で光り輝いてあの頃と同じように笑ってる姿が懐かしさで、泣きそうになる。

「Leader!今さらのこのこと、姿を見せて!今までどこで何をやっていたのですかっ、無責任にもほどがあります!いえ、今はそれよりも!せっかく、こうして顔を突き合わせたのです!不肖、この朱桜司が一言だけでも、あなたの『やりくち』に物申します。」


そのまま癇癪が起こしたように、朱桜くんがレオに突っかかる。今までもそういうことがあった気がするが、本人に言うのはひどく珍しい気がする。それにもある程度分かっていたのかレオは楽にして答えていく。文哉以外の『Knights』のみんなが不満たらたらだってさ。カラカラ笑って俺のほうを見る。なので、俺は、自分の思っていることを口にする。

「俺は、レオが帰ってくるまでここを守ってるつもりだったから。」

レオとセナが二人で笑っていれる場所がここだったから。それだけで、俺に他の理由はない。

「また『新入り』などと!いいかげん、私の名前を覚えてくださいよ〜!?」
「っても。おれ、お前のことよく知らないもん。だからおまえの。ってか今の『Knights』の力量を見定めるために、毎日のようにライブをしてもらったわけだけど。」

おまえ新入り。やる気あんの?とくに今日はひどかったなぁ。見てらんなかったぞ正直。おまえ、自分が他のみんなの足を引っ張ってる自覚ある?特に文哉が振り回されてたぞ?おれに文句をつける前に、よぉく考えて見ろよ。誰がいちばん『Knights』の看板に泥を塗っているのかってさ?
そう言いながらレオは朱桜くんにつっかかるので、俺は止めるために立ち上がる。

「あえて言おう、おれの『Knights』の看板にさ。しばらく夢ノ咲学院を離れてるうちにこの体たらくだもんなぁ。ちょっと帰ってきたことに後悔しそうになったよ。おまえら、おれがいないと何もできないわけ?」
「…ごめん、レオ。」
「ちょっと文哉が謝ることなんてないよ。『王さま』何言ってるの!?」
「誰のせいで私が集中を乱されたと思っているのですか?」

朱桜くんを掴んで動かないようにしておく。それでも前に出ようとするので俺も必死である。

「落ち着きなってば、かさくん。こいつに文句を言っても徒労だよ。ほんとに。ひとの話を聞くつもりがないからさぁ。ストレスためるだけ損だからねぇ?」
「で、でも!瀬名先輩っ、私すごく悔しいです!言い返せないのが歯がゆいですし!保村先輩にご迷惑をかけていただなんて」
「俺はそういうのが仕事だからいいんだけど。」
「よくないから、文哉ちゃん一言言わないの。司ちゃん一年生なんだし、まだ未熟なのは仕方ないわァ」

頷く鳴上くんに甘やかすな。とレオが吠える。そして未来を考えようと言い出した。そういう時に限って、なにかいい予感はしない。力いっぱい握ってたためか手が冷たく感じる。背中がすっと冷えている気がする。

「ここに再び、おれの王国を築きあげようっ」
「レオ…何言ってるのさ?」
「どういうことですか?Leader、わかる言葉で説明してください。」
「んっとな、まだ本決まりじゃないんだけど……来週あたりに【デュエル】をするから。今準備してもらってるところ。」

そこからすぐに線で結びついた。【デュエル】自体は聞いたことがあるけれども、戦って取り潰すようなイベントだったと記憶している。どこと、なんていうのは答えがすぐに出た。脳みそが空気が足りてないのか頭がくらくらする。

「【デュエル】なんてまた勝手に決めてっ、私たちは連日のLiveでへとへとなのですよっ?どうかしてます。」
「そこは踏ん張れよ。若いんだからさぁ?」

呆れて首を振りながらも、戦場に例えて物事を話したがその霊感がよかったのだろうと楽譜を書き始める。鳴上くんが叱ってノートを取り上げる。

「ん、んん〜、ともあれまぁ。もう【デュエル】の準備は始まっちゃってるから、今更『やっぱナシで』とも言えないんだわ。ごめんな。」
「えぇっ、『ごめん』とか」言われてもねぇ……」

困惑した空気が部屋を包む。そんな空気を割ったのは俺だった。ようやく思考がまともに動いて口が開いたからだ。レオ。やめよう。俺は誰とも戦いたくない。そう言えども、レオは不敵に笑って俺を見た。

「文哉は察しがいいなぁ!誰とも戦いたくないならおれと一緒に行こう。」
「…レオ?」
「ちょっと、どういうこと?どこの『ユニット』に宣戦布告するの?」
「セナ。レオは、『Knights』に手袋投げようとしてるよ。」
「はぁ?」

今回はちょっと特殊な【デュエル】を考えてる。とレオは言って【デュエル】じゃなくて【ジャッジメント】を開催するといい開いた。どうがどうちがうのかは、よくわからない。けれども、わかるのは、レオが【Knights】と戦おうとしている。ということだけで、どうやって場を整えるのかはよくわからない。

「げっ、あれをやるの?嫌だなぁ【ジャッジメント】って遺恨を引きずってゴタゴタするんだよねぇ……?」
「な、何ですかそれは?内部粛清?【Judgment】とは…一体…?」

朱桜くんの迷いを晴らすように説明が行われている。そんななかで考えるのは、俺の身の振り方だ。恐らく、セナとレオはそれぞれ違う側に立つだろう。俺はどうしたらいいんだろう。レオの居場所のために守っていた場所を壊すレオと守るセナ。相反する立場になるのだから、俺はどうしていいのか、わからずに二人を見比べるように視線をさまよわせる。

----ここから没部分----

「おれはまだ不安定だから、文哉をもらっていくぞ!さいあく、おれと文哉とで出場するから。いいだろ?な?」
「……レオが俺を求めてくれるならいくよ。ごめんね、セナ。」
「謝られる覚えもないけどぉ。」
「【ジャッジメント】は、基本的に【デュエル】と同じだ。互いにコマを奪い合う決闘だ。短期でも敵を全員、うち滅ぼせば。おれの勝ちってことになるなぁ。」

胸を張るレオに、セナが調子に乗るな。というけれども、ブランクの長いレオと俺とでライブに立つ。のが、なんだか不思議だなぁ。って思いながら、細かい話を詰めるぞ!なんて言いながらレオが転校生を呼びつける。

「仲間同士で、争うのですか?何の意味があるのですかLeader?保村先輩」
「さぁ、俺に言われても…でも、困ったら連絡をくれたら助け船は出せると思うよ。」
「でも…」

困惑する朱桜くんに縋られても、俺はどうすることもできずに何も言えなくなる。

(エクルさんはここで文哉くんが『Knights』の先鋒として戦うルートの話を書くのだと思い出しました)

------ここまで-----

「おれたち『Knights』は騎士団だ。そういう戦う集団はむしろ『内部の敵』を粛正することも多い。」
「…内部の敵はレオで、俺たちが討伐する図式?…でいいんだよね。」
「あぁ。おれが気に食わないんだろ。新入り、男の子なんだしさ。きゃあきゃあ口げんかしていても仕方ないじゃん。殴り逢ってどっちが上でどっちが下かを決めるんだよ。」

おれは夢ノ咲学院の校則に従い、『臨時ユニット』っていう制度を利用しててきとうに『ユニット』を結成する。その『ユニット』と、『Knights』で勝負するんだよ。だからさ、文哉が欲しいんだ。来ないか?とレオが俺に手を差し出す。久々に会ったレオだ。そんなレオに求められているのがうれしくてその手を掴もうとしたら、セナに止められた。

「文哉は、うちでずっと『王さま』の帰りを待ってたんだから、だめ。まだ帰ってきてないわけなんだし。文哉の戦力が欲しいの。だから、『王さま』に文哉を渡さない。」
「ちぇー。なら、仕方ないな!文哉とも喧嘩したことなかったし。」

楽しみだな。とレオが笑う。まるで俺と正反対の表情をしていて、最悪俺一人で出るから。と笑っている。不完全なのに、どうしてそういえるのかがよくわからなくて俺は目線を落とす。勝ったらレオが帰ってくる。それだけがうれしいけれども、でもそうしてレオを縛り上げていいのだろうかと考えてしまう。

「ほら、細かな話をしよう。」

そうなんで笑っていれるのかが俺にはよくわからないまま、話が過ぎる。


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