光輝★騎士たちのスターライトフェスティバル-3

この間というか、買物についてはいろいろあったので、くわしくここに残さないでおく。面倒だし。俺は荷物いっぱい掲げてたから、下駄箱で大戦闘を起こしつつ、ナルくんとレオに先に行ってもらった。拾っても拾っても溢れる荷物に嫌気を覚えながら、なんとか戻るとスタジオの空気はちょっと変だったので、すーちゃんにきいてみて、なんとなくは理解した。まぁそうだよな。知ってる。頷きながら荷物を広げていると、あらかた荷物交換…じゃないや、プレゼント交換が始まってたらしい。

「はい、文哉。俺からは、あみぐるみ。それから毛糸の帽子と手袋。」
「ありがと!額に入れて飾るね!」
「文哉、使えって言ってんの。」
「わかった、使う。使うから、首締めないで!死ぬ、死ぬ!!」

俺の好きな色で編まれたものが嬉しくて、頬を当てる。嬉しくてとろけるんじゃない?なんてナルくんが言うけど、正解です。嬉しそうにしてたら手袋の上に、シルバーアクセサリーが乗った。視線を上げると俺から。と言わんばかりに手をひらひらさせていた。あとでつけるね。と返事をしてると、すーちゃんが似合うと思ってネクタイをくれた。黒に、オレンジと薄い青のポイント刺繍がついたネクタイが嬉しくて、すーちゃんに抱きついた。ナルくんからは美味しいお店のおやつ。もっと太れとのことらしい。これでもちょっと増えたんだけどねー。レオからは楽譜。前に歌ったもののアレンジと新曲。俺はもらったものたちを改めて抱きしめて、俺からはね。と買ってきたものを広げた。

「俺からはね。全員でお揃いのボールペン。刻印付き。レオには変えのボールペン三本セット!あ、みんなが卒業式のときのお祝いは、この万年筆だからね。」

ほら、俺達、おんなじなものって、ユニット服ぐらいしか共通のものないしさ。これぐらい、一緒のもの持ちたいなって思ったんだ。ちゃんと、ユニットロゴもいれてもらって。いつか、スーツ着てみんな胸ポケットにこれを刺してると嬉しいなー。なんて。出過ぎた願いかもしれないけれど、そうだといいな。と思ってしまったんだ。レオがいて、セナがいて、りっちゃんとナルくんとすーちゃんが居てさ。そんな未来が愛おしいって思ってしまったんだ。

「いつか、みんなでこれ持って、撮影したいな。」
「平和な願いだねぇ。文哉らしいっていうか。」
「あんまり、こういうこともしたことないから、舞い上がってるだけなんだけど。」

一人づつに渡して、お礼を言われるのがくすぐったい。もどかしさも覚えるけれど、嬉しさのほうが多くて、俺は小さくクリスマスを祝う言葉がこぼれ出た。

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【スタフェス】当日、俺は交渉と裏方と折衝を繰り返していた。いろいろとやって満足の行く結論になったので、ふうと息を吐いたら、レオが俺のところに飛び込んできた。

「れ、レオ!?」
「そろそろそっちも終わっただろ!一旦集まろう。」
「ん、了解。こっちもいま終わったところだよ」

とりあえずレオを確保して、手をつなぎながらついでに成分を摂取しておく。今日は大戦争だから、ある程度とってないと俺が潰れてしまう。

「文哉、戦争は得意か?」
「あのボロボロ結果を見てるレオが言う?」

ドリフェス史上最低点は今だ記録を超えられてない、まぁあっても失格とか棄権とかがいるぐらいなだけで。まぁ、あれは俺のソロなだけだし、しらね。今日は片っ端から食いつくいていいからな。とレオもいうので、俺は好き勝手させてもらうつもりだ。

「征くぞ、『Knights』、三下どもを蹴散らしに。」
「『王さま』すーぐ演説する。」
「いいだろ?このほうが気分が盛り上がるし、リッツ今回の作戦は?」

ばっちり考えたよ。というので、初っ端から出しゃばるとのことだ。まぁ言いたいことはよくわかるよ。慣れる前に奪えということになるのだろう。まぁ、俺達は基本待ちの動作を好まないからなぁ。各々がいろいろ言うので、まぁいつもの通りの感じになるだろうと俺は結論付ける。とりあえず、寒いので温かいものでももらってこようかと考えるけど、これ以上水分取りすぎるのもよろしくないので、持ってきたカイロを振って自分の体内の大きな血管を温めるようにしていると、俺のカイロに気づいたのかレオが飛び込んできた。またか。いいけど、ありがたいけど。って思ったら思った以上にレオが冷たくて、悲鳴が溢れる。まじ、寒いのも暑いのもだめなのでなんとかしてほしい。まぁライブが始まったらこの寒いのも全部忘れるんだけどさ。
そうして、見事に10連勝を繰り広げて、後半のいろいろな対策をとっておく。りっちゃんはおれが信用ならないのかと、訝しげな目をくれてくれるがあれば便利。のために骨折ってんの。

「文哉、ちゃんと休んで。あんたまだ休憩してないでしょ?」
「これが、息抜きだからいいよー。休みは。いい気分転換だし。」
「見事にワーカホリック入っちゃってるわねぇ。」
「だめ、そろそろ雑魚が軒並み退場して、っ強敵が立ちふさがってくる頃だし、サポートだからなんだからって毎回全力出してるでしょ?」
「エーダシテナイヨー」

めちゃくちゃ睨まれた。反省のフリはするけど、何もしないぞ。今日は一日限りのお祭りだし、全員フル出場と【D.D.D】へ参加できなかった恨みをぶつけてるんだから!そう主張したら、セナが引いた。あの謹慎マジで辛かったんだからな!俺は参加してなかったのに巻き添え食らったし!
日頃の恨みのごとく発散してないか?とレオがこぼすけど、そうです。俺はあの頃外で仕事してたのに恨んでるんですー!!

「毎回一発目に出てるんだから、体力とか」
「なんのためのレア度だっての。俺のソロ」
「次はどうするの、凛月ちゃん。ある程度点数は稼いだし、うっかり事故死しないように引っ込んで戦局を見守るって手はあるけど、体力温存しときたいし、文哉ちゃんの。」
「俺のか」

みんなでカラカラ笑いながら、世の中の思考について、考える。ある程度の学院のファン割合と、思考の方向を見定めて、手近な紙にアウトプットしていく。耳もフルに働かせて、りっちゃんもある程度考え直したい。けど、念には念を入れたいと言うので、一旦休憩にしようとレオが言う。お前も休め。と言われたので、速攻でセナの背中に飛びついた。怒られたけど、俺には一番の特効薬なんですー。
セナ成分を補給して、レオに飛びつく。今日はいい日だなー。嬉しいなーと思しつつ、衣装越しに感じる熱を体感して、顔がにやける。気持ち悪い?なんのことかな。俺は昔は天使のような顔で、万人受けしてたんだぞ?それが数年で変わるかっての。

「文哉、頑張れるか?」
「ん。よし、補給完了。」
「アドレナリン出まくってるかしてか、目が怖いって。」
「一回、ちょっとエネルギー補給してくるー」

食べすぎないでね!とセナに言われたけど、適当に返事をして、通路に立っている『Valkyrie』の二年の横を通り抜ける。チビと細身で良かったということに多少感謝して、売店に向かって急いでいると、携帯に連絡が入る。『Valkyrie』の様子を見るために、移動するから数カ所ピックアップして。そんな返事に、俺は思考をすぐに走らせて講堂から程遠い場所をいくつか上げて返信する。グラウンドに俺達は向かうから間今挙げたところ寄り道してから来て。なんて返事がすぐにきたので俺はさっさとグラウンドに移動した。
寒いけど、いるわけないかー。と思いつつグラウンドに到着すると、隅の方にセナが立ってるのが見えた。軽く手を振られたので、俺は転ばないように気をつけながらそちらに急ぐ。

「ほんっと、馬鹿につける薬はないよねぇ?」
「そんな薬を開発してくれとも、処方してくれとも頼んでないのだよ。だいたい僕は馬鹿じゃない、いくら君でも暴言を履くと許さないからね」
「体調悪いなら黙ってここで埋めてやろうか?」
「あんたが話すとややこしいから黙って。」
「はい。」

喧嘩腰になってたが、黙れと言われたら黙るしかないんだけど。レオも煽るのだけど、レオはいいの!?なんで俺だけなの!?いつでも飛びかかれる準備をいたけど、文哉手貸して!と言われたら、嫌いでも斎宮を背負わなければいけない。けっ。

「レオとセナが言うからやってるだけだからな」
「あいかわらず口が減らない。万人受けするような顔をしてるのに、もったいないほどの口が悪い。」
「はい、実際万人受けしてましたー。論破。」
「うるさいなぁ、静かにできけないわけ、あんたたち?特に文哉。喧嘩を売らない。ごめん、斎宮。うちのバカ殿は雪が積もってると、無駄にテンション上がるし、犬は俺とバカ殿が揃うとテンション上がるから。」

セナがそうやって謝罪するけれど、それに対して斎宮がどうこういうから手を滑らして落としてやろうかとも思ったら、結構レオと思考がシンクロしてたのか、レオのほうが首飛ばすぞ。とひどかった。
黙れと言われたのを思い出して、黙って斎宮を運ぶことに専念する。セナが、斎宮に説教をしてるが、その説教の内容がレオにも被弾してると宣言してるが、どうもレオにも言ってるらしい。途中で、一度セナが、れおくん。と呼んだ。その声色がひどく懐かしくって俺が足を止めてしまう。

「おっ、昔の呼び方だ。俺の知らない新しい『Knights』でさ、見たことない表情ばかりしてるから、おれたちの思い出全部忘れちゃったんだと思ってたよ。」
「忘れないよ。あんたじゃあるまいし。」

あの頃が懐かしいなぁ。とか思っていると、涙が一つ落ちた。見られるとやばいと思って目をこすったがときすでに遅い。目をこすんないの。とセナに怒られた。ほら、こっちむきな!と言われて俺は足を止めて、斎宮はレオ一人で担ぐことになって、たったたったと走っていく。

「なに、なんで泣いてるの」
「セナがレオを昔の名前で呼ぶのが嬉しくて。」
「……文哉。」

いつもと違うトーンに思考が空回りをおこす。俺の混乱とよそに泣き止んだね。偉い。と言わんばかりにセナが俺の頭を撫でて、小言をこぼす。「あんたも、いい加減に自覚しなよ。一番傷つきやすいんだからさ。俺達も生きてる限り傷は治るんだから。自分も愛してあげなよ。」なんて言われたが、いまいちピンとこないまま返事を返す頃には、待てって言ってるでしょ!とレオを叱り飛ばして走っている。俺はその後を追いかけた。歩きにくいぬかるみと衣装に気をつけながら走ると、レオがへばってきたのかすぐに追いついた。変わってと言われたので俺が背負って、階段を二段飛ばしながら、手芸部部室に突っ込んで、衣装に着替えさせてステージに走る。…対アイドル科については、塩対応で高名な俺がこんなことしてるんだから明日はもっと雪降るだろうね。とかおもいつつ、再び一足遅れて舞台袖に立つと、『Knights』は俺以外揃っていた。

「アイドルなんだろ。こっから立ってけよ。お前ンとこの子に見つかったらうるさそうだし。」
「わかった。」

ほらさっさといけ。と追い払うように斎宮宗を進ませる。衣装に袖を通した途端背筋がシャンとしてるあたり、ちゃんとしてるよねぇ。レオたちと合流したら、斎宮が舞台袖で言葉に代えがたい表情をしていた。苦悶にも見えるし、懐かしい姿にも見える。おそらくは、舞台袖にいる2つの姿があるからだろう。あんまりよくは知らないけど、あぁあやってみると、仁兎はここにいたんだろうな。と推察はする。

「保村。すまない、世話になったね。」
「俺はセナとレオのためにやってるから。」
「そうか、それでも感謝する。」
「勝手にして、救われるのだって勝手に救われてるんだから。俺には関係ない。」

きっぱり言い捨てるのは、自分でも覚えがあるからだ。レオとセナが揃っている今が奇跡で、俺は今この瞬間も救われるのだから、間違いない。嬉しそうに歌う斎宮を見てると、なんだか胸が苦しくなった。俺も、あぁいうふうに見えてるのかな。
さっきのセナの呼び方も、ひっかかってもどかしさが生まれる。

「文哉。行くよ。」
「うん、わかったよ。セナ。」

この先がどんな未来でも、この一瞬一瞬すべてが宝物だ。
さっきの一声も、こうしておせっかい焼いてる今も。

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