-完全下校時刻とナルくんと俺。

セナハウスで書き物をしていると最終下校時刻をかるーくすぎていた。てへーっとか思いつつこっそり帰ろう。と帰り支度をしていると、ナルくんが入ってきたナルくん?と問いかければ、ここに電気がついてたから来ちゃった!とのことらしい。なに書いてたの?と聞かれたので、こんどのライブに向けてのコラムーと返事をしつつ書くものを片っ端からカバンに詰め込む。

「慌てなくていいわよ。警備さんには言ってるから。」
「その口実で職員室に行ってきた訳だ。」

ばれちゃったかーと嬉しそうに言うのだから、この後輩サイコパス。ナルくん、ご飯は?と問えば、食べそびれてるの。と言うので、帰りしなに食べてかえろ。と声をかける。文哉ちゃんの選ぶお店センスがいいのよね。と言われてあんがとあんがと。と適当に返事して最後にカバンのなかに原稿用紙を突っ込む。文哉ちゃんノートパソコンとか使わないの?なんて言われて、まぁそうだわな。と一人思う。紙はかさばる。たくさん書けばもっと重たくなる。そう手順だけでシステマティックに考えると、工数は増えているのだ。間に人を挟むほど言葉は歪み形を変えていくだろうと俺はいつも思うが。

「そうだねぇ。非常時にでも書けるとか?」

家で作業するときは長編ものだからパソコンで管理してるけど。コラムや小さな記事については原稿用紙もそんなに使うほどでもないので、こうしてる。

「非常時って、いつも非常みたいなのに?。」
「常なんてないよ。あるのは目にも見えないほどのゆっくりとした流れだ。…なんていう台詞あったな。」

なにのやつだっけ?俺の書いた奴か?と首を捻るが心当たりはない。じゃあどっかの台詞か?と思うが、その前後の流れもはっきり覚えてない。なんだっけなぁ。と思いつつ首をかしげるが本当に心当たりがない。俺健忘症?とか思ったけど、そういうときもあるわよ。とナルくんに言われたので思考を遮られた。うーん。と唸っても仕方ないし俺のおなかが鳴るので、諦めて俺はカバンを背負い、ナルくんの前を通る。

「ナルくん。お腹空いたから帰ろー?早く食べなきゃ断食タイムに入っちゃうー。」
「大きな子どもみたいねー文哉ちゃん。」
「レオパパとセナママの間でしか笑えない子だからね。最近妹ナルと弟りっちゃんとすーちゃんがいるから、世界は広がってるよね。」
「ならもっと、対外的なやりとりも泉ちゃんに似ないでほしいわ。」

もう無意識レベルでやってるからなかなかな治らないよね。まー親を見て育ちますからねぇ、と笑ってやると、王様も泉ちゃんも文哉ちゃんと同い年じゃない。と言われる。まぁ、そなんだけどね。なんかノリあるじゃん。というとナルくんは納得する。またお腹がなったので、俺はナルくんを早く歩けとせっついて、ご飯やさんに急ぐのだった。

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