スカウト!薔薇の庭園で。と俺-1

ガーデンテラスの端っこで花の植え替えや薔薇の剪定を行う。『Knights』は先日の【DDD】でペナルティを喰らったので、俺たちは毎日コツコツと慈善事業で落ちた名誉を上げる活動のためにボランティアに精を出す。本を読みたいとか思いながら、俺は端っこに植えられたパンジーやポピーのために栄養剤をぶっこむ。加減?知らん。

「きゃあん、薔薇の花がとっても綺麗ね。ね?文哉ちゃん。」
「そうだねぇ……」

多少メンタルブレイク中の俺なので、花が綺麗!なんて言われても別にそうも思わない。最近はボランティアやライブ以外の仕事ばかりなので、大々的に動けてないのがフラストレーションがたまっているのだろうと俺は思う。そう思いながら、手近な花を植え替えていると、俺の肩をとんとんと誰かが叩いた。だるい感じの声で振り返れば、転校生がジャージ姿で頭を下げていた。

「転校生ちゃん。今日一緒に校内アルバイトで作業ですって。」
「そう…好きにすれば。」
「もう!文哉ちゃん!もうちょっと何か言う事あるでしょう?」
「……?鳴上くんをよろしく。」

駄目だこりゃ。と言われ、転校生ちゃんはこっちでアタシと一緒に作業しましょう。と言って鳴上くんが転校生を引っ張って行ったので俺はそれを見送ってから作業の手を再度続ける。…土いじりってちょっと最近やってなかったな。って思う。情操教育番組でやった事あったけれど、ほぼほぼここをこうして。なんて指示だけ貰ってたけれども。あ。ミミズ。スコップで表に出てきたみみずを2度3度突いてから遠くに投げる。いや、遊んでるわけにいかないんでね。さっさと色々手を動かして進めていく。手元の花を別のところに植え替えて根っこに土をなじませるようにしておく。後ろはキャッキャとはしゃぐ声がしてるけれどもまぁ、鳴上くんだし手は動かしているだろう。俺は俺で与えられた仕事をしながらコラムについて考える。レオを探して、レオに帰って来いっていうメッセージをどこにねじ込むかと考えていたら、後ろから痛ッなんて聞こえた。手早く軍手をとって、近くのテーブルに置いてあった治療用の道具箱を持って寄っていく。

「ゴミ袋を掴んだ拍子に手に薔薇の棘が刺さった?やだ、大変!」
「消毒液と絆創膏。」
「文哉ちゃん、ありがとう!ちゃんと手当てしなくあ。消毒液で傷口を洗うからジッとしててね。」

道具箱から包帯まで取り出しながら消毒は鳴上くんが行う。この程度なら包帯はいらないわよ。そういうので、持ってたものを片付けて俺はさっさと元の作業に戻る。あるていどがっつり植え替えをおわらせていく。いろいろな花の種類を見ながら、あれやこれやとしつつ最後に水やりを行っていく。黙々と作業をしていくと時間はあっという間に過ぎていく。一通り水をまき終わって、ホースを片付けていると切り上げましょう。なんて鳴上くんの声が聞こえる。

「文哉ちゃんもありがとう。丁寧な仕事をしたって評価されろう。これですこしでも『Knights』のイメージアップに貢献できてるといいんだけど。一緒に仕事したのが文哉ちゃんと転校生ちゃんでよかったわァ。女の子同士だと楽しいだけじゃなくって仕事もはかどるわね。」
「鳴上くん、道具貸して。片付けてくるよ。」

あら。そう?ありがとう。どういたしまして。軽いやり取りをして使った道具やごみを手早く所定の場所に捨てて戻ると、鳴上くんは転校生に最近は連日ボランティア活動をして、リーダー代行までしてるから忙しくても仕方ないだろう。コラムやらで俺が抜けてるのが問題なわけなんだけれども。リーダー代行の手を緩めても俺が全部やっちゃうんだけれども、全部は働きすぎだからと書類以外は全部鳴上くんに持っていかれたのも記憶に新しい。

「ねえ、転校生ちゃんアタシの気分転換に付き合ってもらえる?そこで突っ立って聞いてる文哉ちゃんも一緒にね。」
「なに?」
「いいから、気分転換に付き合ってよ。文哉ちゃん。」

家でのコラムが、と口に出したが文哉ちゃんの事だから仕事に多少の余裕を持ってるんでしょ?…否定はしませんけど、肯定したくない。けれど、もう有無を言わさない雰囲気だしてるので、仕方ない。行くか。はいはい。帰宅したら仕事します。俺のスケジュールが脳内で書き換えていく中、鳴上くんと転校生が二人であれやこれやと話を進める。買い物は別で、他の方向で気分転換をするらしい。報告や片付けをして、三人で帰ることになった。女の子二人ぐらい守ってよね!と言うので、修正も抵抗も面倒なので甘んじることにしたが、翌日2年A組とゲーム研究部に行くのは俺は聞いてないです。っていうか、まぁ、思うんだけど。俺居る?

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