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ランダムで選ばれた二人とうちの子一人の小話。三毛弟=登良編。(全部で五人分。)
友也とゆうた。
友也がクラスの提出物を頼まれたので、ノートを回収して職員室まで運んでいく。ノートが思った以上に高くなってしまったこともあって、視界の半分以上を占めている。重くはないのだが視界を占めている以上足元が見えにくいので、一段一段しっかりと確認を行いながら階段をゆっくりと降りていた。ワンフロアを降りたところで後ろから声がかかった。振り替えるとノートの山から見行った姿をみつけた。
「友くん?」
「ひなたか?」
「ううん、ゆうただよ。」
手伝おうか?と声をかけてくれたので、半分持ってもらうことをお願いするとと二つ返事で了承が出た。それを聞いて、友也はホッとして半分を渡す。ノートに占領されていた視界が障害物なくよく見える。ありがとな、と声をかけて二人はゆっくり階段を降りていく。確認しながら歩くのと、見てもらって歩くのとでは、安心度が違う。最初から誰か一人についてきてもらったら良かったな。なんて脳裏をよぎった。心配性なメンバーは友也が教室を出るときにしつこいくらいにといかけてきたから、断ったことに心苦しくなった。
「友也、やっぱり大丈夫?」
「あ、登良くん。やっほ。」
「ゆうた?」
「うん、そう。今、手伝うところだったんだ。」
じとり。登良の緑の目が、友也を恨めしげに見つめる。要らないと断ったのにやっぱりいるんだ と、言っているように見えた。登良は友也とゆうたを見つめてから、三人で持った方が早いよね?と問答無用と言わんばかりに友也とゆうたからすこしづつ貰って三等分にしながら、三人は他愛もない話をしながら、職員室へと向かうのだった。
友也と北斗。
「お前、三毛縞斑の弟だって言ってたな……」
「はい、そうです。なんでしょうか?」
「いや、大変だな。」
「もしかして、あれが何かしましたか?」
職員室の帰り道。登良は、北斗と出会った。目線があって、二人の足が止まってしまったから、今の会話になった。変な沈黙が降り落ちて、登良はどうしようかと考える。離れようと考えるがどうやって切り出すのがいいのだろうか。巡り巡って走って逃げ去りたくなったとき、二人に声をかける姿が一つあった。
「北斗先輩!登良に何してるんですか!」
「友也か?」
「登良大丈夫か?」
「……考えすぎて気持ち悪い。」
「いつもの部屋に創がいるから、そっちに行ってこい。」
「ん。」
そっと友也の背中に隠れて離れようとしたが北斗が呼び止める。先程よりも真っ青になっているので、北斗は登良と目の高さを合わせて鞄から荷物を出す。
「胃が痛いなら、さんしょう汁やキャベツがいいとおばあちゃんが言ってから、それを食べるといい。」
「……北斗先輩?」
「友也、もう無r……」
友也の叫び声が廊下中に響き渡った。
斑と光。
後の兄が怖くて登良は逃げ出した。隠れ先を探せども、いいところがみつからない。人の気配に敏い兄を隠れて負けることなんてほぼないことを知っているので、頼りになりそうな人を走りながら探していた。
「あ、登良ちん!」
「光!!助けて!!」
「えぇっ!?」
登良が半泣きになりながら、光にすがる様に後ろに隠れる。状況の把握できない光が後ろの登良が震えているのをどうしたんだぜ?と声をかけていると、兄斑が追いついてきた。あ、三毛ちゃん先輩!と光が嬉しそうに跳ねるので、登良もつられて跳ね上がる形になった。
「あ、登良ちん。ごめん。」
「おやあ、登良さん。そこにいたのかあ?」
「帰ってくださいっ、貴方なんて知りません!!」
「きみのお兄さんだぞお!」
「俺に兄はいませんっ!」
首が螺子キレてしまうのではないかと言うほど首を振る登良と、状況のわからない光、そこに必死に捕まる登良とカラカラ笑っている斑。この現状を把握したくて光は登良に話を聞くが、兄が女装を強要する登良と、制服が汚れてるから着替えようと促す斑の主張であった。
「…俺、難しいことわかんないんだぜ。登良ちゃん、がんばれ!」
「そうだなあ!光さん、世の中兄の言うことの方が正しいんだぞお!」
「それは絶対にない!」
声を大にして叫ぶと、思ったよりも大きな声だったのだろう。光も斑も一瞬ひるんだので、登良は光に一言詫びてから、颯爽と逃げ出した。後ろで大きな声がしたけれど、それでもかまってられない登良は一目散に別の校舎へと駆けだしたのであった。
桃李と忍。
翠から頼まれごとをしたので、登良は荷物を持って隣のクラスにやってきた。
「桃李、忍いる?」
「忍?忍ならあそこだよ。珍しいね。何の荷物?」
「漫画。翠に頼まれたの。しのぶ〜みどりから〜」
登良が声をかけると、忍が気づいたようでこちらにやってきた。すこし小走りで走って来るので慌てなくていいよ。とだけ伝えると、忍は尚も急いだ。
「何用でござるか?」
「これ、翠から頼まれたの。次は忍だって?」
「かたじけないでござる〜!前の巻はいいところだったんでござるよ!」
「次の巻は読み終わるまで待ってね。」
漫画?と桃李は首を傾げるので。そうだよ。翠と漫画の貸し借りをしてたらそこに忍も借りたいと言うから一連の漫画ロンタリングが始まったという。桃李、マンガ読むの?と問いかければ、桃李は少し悩んでから断った。
「そっか。また思ったら言ってね。」
「うん、何時かそういう日が来たらね」
つーんと横を向いてしまったので、登良はそっか。と声をかけるだけして、忍に持っていた本を渡す。二人でちょっと話をしていると、桃李が入りたそうにこちらをみているので、どんな本を読んでるのかと桃李に投げたが、反応を見て桃李は本を読まない。という所に落ち着いてしまったので、登良はそっと話題を変えたのだった。
宗と創。
「斎宮先輩…」
創が移動教室の帰り道に、斎宮と出会ってしまった。先日のライブでの悪行とも言えるあの行動が脳裏に浮かんだ。どうしようと思っても、あの時の恐怖が脳裏をかすめて足が震えた。
「仁兎のところの。どうしたのかね?」
心配そうに、彼はこちらを見ててを伸ばす。抱き上げられる仲間の光景を思い出して、もしかして自分もそうなるのじゃないかと、思っていると、なにしてるんですか。と創と斎宮の間に誰かが入った。暖かい茶色の髪をゆるやかに結んだ少年だった。
「創に何か用ですか。」
「三毛縞の弟…。」
「そうですけども、何か?」
いつもよりも強張った声を聞いて、登良が緊張していることを知る。彼も苦手だと明言していたのを思い出して、創は登良の肩を揺すった。
「創に手を出さないでください。」
「僕がいつ手を出そうとしたというのかい?」
「前に、初めて一緒にドリフェスをした時、俺たちを変態のような目で見て。」
「待ちたまえ。僕は愛らしいものを汚すつもりなんてない。神様から与えられた美しいものを汚すつもりなんて。」
斎宮が肩を掴もうとした瞬間、登良は斎宮を睨みながら声を張り上げて「創にも、俺にも触らないでください。」と言うと斎宮は一瞬ひるんだ。その隙をついて、創逃げよう。と腕を掴んで逃げ出した。話を聞くと、たまたま創と斎宮が出会った場面を見ていたらしく、慌てて駆けこんだと聞くが、何もされてないのを創が主張すると登良は酷く安心した顔をした。
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