俺と跳進!夜明けを告げる維新ライブ 1 





どうも最近は平和だ。置いていかれて、死刑宣告をされて凡そ一月ちょい。あいつらからは連絡もないし、向こうの事務所からも連絡は来ない。あいつら、漸く本気を出すのかな、とかぼんやりよく考える。まぁ、うちのユニットについてだからそんなに、ゴタゴタを表に出したくないし、どうせ味方もなにもない。自由に振る舞っておく事の出来る一年をどうするかと思慮して一日を費やすことが多い。そうして今日も放課後のSHLが終わる。放課後にリハビリでもいくかな、とか考えてると、三毛縞が俺の机を叩いた。

「ゆらぎさん、俺と一緒に御輿を担いでくれ。」
「何を?担げって?」
「御輿。」

俺の足悪いことを知っててそれをいうか?と睨むと、そのあたりは言葉の綾だな!正確には、今度のライブをやるから振り付けを考えて欲しいと三毛縞が言い直す。俺は一瞬考えてから、校外?と聞くと、ゆらぎさんが気にするだろうから、校外のライブのをお願いしようと思っているぞお。と満面の笑み。企画書ある?って聞くと、どうもメンバーを集めてからにしようと思って入るらしいし、わりと急ぎらしい。人数が集まりきらなかったりしたら、ゆらぎさんにも出て欲しい。というか、出ても問題ないような構成になるとは思うんだな!と笑っている。

「まぁ、校外なら『ユニット』の制限にひっかかりはしないから、ぜんぜん構わないけど、俺活動費そこまで持ってないぞ。」

あるけど。これは、いつかの時ように避けておきたい。そんなことは黙っておく、どうせ知ったってどうすることも出来ないだろう。寧ろ支払う方だと思っているんだけどなぁ。と言われる。まぁ、そうだろうねぇ。君の依頼なんだからね。特段目立ってなにもスケジュールrがないので、俺は、物理的に御輿を担がせるなよ。と言えば、三毛縞は勿論、激しいことはさせるつもりはない。と言い切った。

「じゃあ、いいよ。ぜんぜん、仕事が有るのは良いことだもんな。」
「よし、じゃあ話をつけにいくぞ!ゆらぎさん、俺の背中に乗ってくれ。」

杖は自分で持つけど引っ掻けたらごめんな。と謝りつつ俺は鞄をもって三毛縞の背中に乗る。いつもよく乗りなれてるけど、三毛縞のスピードって早いんだよ。とか思って乗ると、フルスピードかっていうぐらいに走り出した。怖いって!三毛縞!!っていうか、どこに行くんだ?叫ぶように問いかけると2年の教室だという。お前何しに行くんだ!?っていうか、メンバー集めか。そうかそうだよな。なんか暴走してたら止めようと決めるが、俺は三毛縞がどう動くかなんて知らないので、ちょっと様子見になるだろうなぁ!とか思っていると急に足を止めた。鼻を強打した。痛いっての。

「ははは!失礼しまあああああす」

万歳三唱!思った通りまだ教室に居残っていたなあ、あんずさん!ママだよお〜。きょうも元気な顔が見られてとっても嬉しい!
もう三毛縞の暴走は始まっているようだ。三毛縞の向こう側に転校生と明星、氷鷹と神崎がそこできょとんとした顔でいるのが見えた。どうやらこの辺りは三毛縞と初対面らしく、勝手に腕をつかんで握手をしつつ、愛娘が!と言っているが、お前の心臓を俺は疑うよ。メンタル鋼鉄かよ、タングステンかよ。って思ってしまう。ついでに大好きちゃん。とか言ってるのだから、俺は聞きながら目の前の男の正気さを確認したくなる。SUN値大丈夫?ちょっと心配してると、どうやら三毛縞の狙いは、転校生であるみたいだ。

「ちょっと、この子を借りていい?ゆらぎさんを交えて相談したいことがあるんだよなあ!わりと急ぎの案件だから、返事を待たずに乱暴に運ぶぞお!よっこいよおおお!」

三毛縞の掛け声と同時に視界に転校生が見えた。ん?と思った瞬間に、さあ行こう!あんずさん!と言うや否や、三毛縞は今しがた入ってきた出入口目掛けて駆け出した。転校生なんか、びびって声すら出てない。人間パニックになったら声でねえよな。と慣れた俺は思うのがだ、お前男一人と女一人抱えてるのにスピード落ちねえってなんだよ!!あまりの早さに俺もちょっと遅れて悲鳴が出た。後ろで叫び出した。お前らも理解遅れるよな、わかる。俺もそうだから!お前早い!と杖で叩くがびくともしねえの。なんだよ、ほんとお前人間か?ってなるけど、生きてるもんな、そうだよな。俺は黙って揺さぶられてるけれど、転校生は完全にフリーズしてる。大丈夫かー?ってやると、なんか後でとんでもない気がするので、俺は黙って三毛縞の背中にぴったりと張り付いておく。

「まて〜!転校生を返せっ、ミケジママダラ!」
「待てと言われて待つ馬鹿はいないし、返せと言われて返しちゃうのは単なるお利口さんだなあ!そんなんじゃ面白くないだろう『Tricktstar』!」

そこまで言われて、もしかして三毛縞の集めようとしてる中に、明星が含まれてるんじゃないかと悟る。こいつどこまっで計算なんだかわかんなくて俺はとりあえず落とされないように必死になる。俺は杖を落とさないようにして、三毛縞に当たらないように気を付けつつ、ぴったりと張り付き直す。三毛縞にひかかって転んだら、とんでもない大惨事になるだろうから、俺も必死だ。

「君たちになら理解できると思うんだよなあ。いまだ遊びたい盛りであるこどもの君たちなら!祭だ祭だああ、楽しもう!」
「ええい、わけのわからんことを!何なんだ、本当に。転校生をどうするつもりだ!」

二年を怒らせんな、とか思いながらも三毛縞はまだ余裕があるようで、『ママ』って呼んでほしい!とか言う。そうして、漸くフリーズが溶けた転校生が、俺目線があって思ったよりちかかったのか、暴れる。運びにくい!と言いつつも、三毛縞は余裕で笑ってる。俺、いまさら後悔しだした。なんで、三毛縞の背中にのったんだろうな、場所押さえといて捕まえてきてくれたら良かったんじゃん。って気がついたのは、三毛縞が二階から飛び降りる3秒前。
俺と転校生の絶叫ハーモニーだけが学院に響く。やっぱりお前人間じゃねえ!!!ていうか、死ぬ!まじ!



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