俺と疲労と金色の風・励ましのウイッシングライブ。 8e 





音が止まる。浮いていた気持ちが地面に足を付いた。一つだけの拍手だが、あんまりうまいこと聞こえない。はしゃぎすぎたなぁ、と思いつつパタパタと水色が走りこんでくる。なんか言ってるのをうんうんと頷いて着替えるために俺は歩き出したのだが、何か言ってるのを聞き取れずそのまま歩いてると、悲鳴みたいなのが聞こえて足の痛みが走って水の感じがする。ステージ奥の噴水の中に落ちたらしい、顔を出すと参加した面々やあんずが心配した顔が見えた。
ハハッと笑って影片の手を借りて噴水から出る。ライブが楽しすぎて全力だしたと言い訳して、池から出るとおい来い。三毛縞連れて来いと言われて三毛縞に担がれて余所に連れてかれる。ちょっとあるけるよー!と抵抗しつつ明星たちとすれ違う。

「青い先輩のお兄さん!俺たち仕事ちゃんとしてきたよー!」
「おーわかったー!またこんどその報告は聞くが、あんまり俺が働いてたっていうなよー!アイツ気にするからなー」

何言ってるか全然分かってないけど、たぶんこれ、ばれてる。そう予感がする。寒気と震えが止まらない。きっとこれはこれから起こることは何となくわかっている。

「三毛縞―もうこのまま内科連れてって―。たぶんそっちのが早いと思うよ?」
「ゆらぎさん?何を言ってるんだ?」
「俺達が行こうとしてるのは整形外科だぞ?ソロの途中から片足引きずってただろ、気づいてないのか?」

整形外科という単語だけ聞こえたので、え?今朝汗まみれで寝て今ずっと熱でてるのばれてんじゃないの?と言うと三毛縞と蓮巳のはぁ!?という声が聞こえた。ばれてなかったのかよ。頭の血が一気に下りて体温が下がった気がする。ほらーげんきー!!!!とアピールするが、体温だけはごまかせはしない。俺は問答無用で内科に叩き込まれて点滴を受けて、泥のように眠って睡眠をとるのであった。
点滴終わりですよ。と美人のお姉さんに起こされて、体がかなり軽いことを知る。…やっぱつかれてたんだね。と窓を見ると夕暮れが終わり夜が始まろうとしている。うわぁ。なんて声が漏れた。

「ゆらぎくん。起きましたね。」
「…つ、つむぎ…くん。」
「昨日の昼からご飯食べてないのと、睡眠不足と、敬人くんに聞きました。」

……そんなに食べてなかったっけ?守沢にご飯を渡した記憶があるので、正直まともなご飯はもっと前なんだが。お医者さんのところに行ったらゆらぎくん、意識朦朧とあんずちゃんには言うな。ってずっと繰り返してたといいますし、本人の耳には届かない様にしてると、敬人くんが言ってましたよ。

「俺、怒ってるからね」
「つむぎくん!!」
「二週間もまともに帰ってこなくて、久々に携帯に連絡があったと思ったらゆらぎくんじゃなくて斑くんですし。」
「ごめん。踊ってたら全部忘れてた。電車も時間も俺の体調も。」

どうしていってくれないんですか。というか、ゆらぎくんもほどほどにしてください、というか凹んでください。ゆらぎくん踊るたびに熱出したりしてるんですから、遠足前の小学生ですか?…ちょっと蓮巳の説教は詰められてあれだけど、つむぎの説教はもっとなんかこう、メンタルに来るよな。正論すぎて何も言い返せないというか、ごもっともです。っていうか。

「敬人くんから聞きましたけど、ソロを一回作ると楽しそうに踊るっていうのがやっぱりゆらぎくんのすごいところですよね」

そのソロまさか、タップやら膝を酷使するような踊りかたしてないですよね?とかもう俺を全部察してるというかもうばれてるので、っていうか見てたっていうから、おいこらつむぎくん!?ってなったのが今回の話だったりするんだけど「ゆらぎくん聞いてますか?」聞いてるよ!ビックリするからこのあたりまで割って入ってくると思わなかったよ。勿論このあと、再度つむぎくんと蓮巳、三毛縞に怒られ、夏目に殴られ、天祥院にくどくど遠回りに言われ、最後に斎宮にどやされるんだから理不尽。特に斎宮。っていうかなんで俺お前に怒られるの?あぁ、影片が心配してた?あの野郎、黙ってろって言ったのに…。っていうか、俺がこんだけになんのも生徒会の仕事いっぱい来るからで。ライブに関してはほぼほぼ俺は振りとフォーメーションしかしてないぞ?っていうかその後にいっぱい生徒会が仕事持ってきたからだろうが。ちょっと理不尽!俺悲しい。そして終わったから休暇!として俺もあんずものびのびお休みをもらったのだが、周りがボロボロだったので急いで復帰して俺は何食わぬ顔であんずの仕事の9割を奪って徐々に返していったら、三毛縞が笑顔で凄んできた。んーもっと凄み方やばいやつ一杯いるから屁でもない。休んだのは休んだしー。朔間や天祥院みたいなやつとやり相成れてるしー。朔間跡継ぎ候補なんてべつにーって感じで俺はいるので、三毛縞がべったりぎみに心配してたけどさ。仕事は返すの。俺もそろそろやりたいことについて本気で動いてきたいからな。




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