俺とデコレート・深紅のショコラフェス 





俺、青葉ゆらぎは疲弊していた。
ショコラフェスが目前と迫っている最近はどこのユニットも参加する様子で、夢ノ咲は活気付いていくと同時にテンションは比例して悪い方向に進んでいる。その分弟が調子良さそうで、その運気を分けて欲しいと心底願うが叶わないだろう。

調理室の一角で俺は密かに考えた。一般の人も中に入って交流できる今回のイベントだが、民族音楽特化ユニット「Diana」は入り込む隙はそんなにない。逆に町に出て配ってやろうかとも算段たてる。ユニット活動費は最近よく振り付けやらの依頼がたくさん来たので暖かいし、参加はありかもしれないと考えるが、体は一つしかない。レッスンをして自分で作ってラッピングをして。となると体力も必要となる。ハードルは高く高く上がってしまう。転校生の企画とかなら一人でもネジ込めたのだろうがS1と並ぶようなこのイベントはメンバーの貸し借りなんてできないしなぁ。と教室でゆらぎは頭を抱えた。新規新規獲得を狙ったもんじゃないし、ひっそりとボランティアの体裁で街中ライブをやる…一人でやるようなもんでもないか。思考は「どーしたもんかね。」と口から吐いた。
そろそろ卒業だし、最後に一回ぐらい舞台に立ちたいよな。とも絵姿を書く。んー。いやしかしなぁ。とうだろ、生徒会に顔も聞くが毎回ルールを無視してると最後は刈り取られてしまうしなぁ。と体は一つしかないし、デュエルなんざになったら勝ち目は薄いだろう。なんたって俺一人だからな…。なんて試行してたのは半日前だった気がする。

「ゆらぎくんや、チョコレートのテンパリングは終わったかえ?」
「あとちょっとだが腕が疲れてきたぞ!乙狩そろそろ変わって!」
「わかった、ここを。」
「任せた!」

UNDEDの準備不足で、狩りだされた。ユニット活動費から出してくれる金額はとても割のいいものだが、朔間お前今度の約束果たせよ!とがなりながらも俺は乙狩にテンパリングを交代してもらい今までの分を湯煎にかける支度をする、羽風と大神がデコレーション担当なのが解せぬ。

「お前たちから出る活動費で俺は俺のユニットのチョコレートをつくって配り歩くんだよォオオオオ!!!」

怒りの湯煎だが、ほっとけ生徒会に捕まらずに動けるのはこんなものしか思い浮かばなかったんだよ、それか校外か。
徹夜決めて校内練り歩いて、お菓子配って踊る!俺は踊りたいんだよ!!!!なんて叫びに
「その足では無理じゃろに」と朔間が言うから鼻からニンニク詰めたやろうかと本気で思う午前2時。あいつらのチョコレートを粗方仕上げて俺は俺用のチョコレートの支度を始める。俺は本番の日。入り口近くの人気のないところでひたすら歌いまくって知名度アップ作戦を三十分だけ決行して、今後のやりたいことのために動くのであった。




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