俺とリフレクション!ミラーライブ 2 





授業中に空き教室の予約や楽曲の整理を行っていると、携帯に連絡が入った。放課後時間があるときに連絡をください。そう書かれてたのでさっさと電話を入れる。連絡も今来たところだったので問題ないだろう。

「え?青葉先輩!?早くないですか?」
「今見たところだし俺もそろそろ忙しくなるからさぁ。早めに案件片付けたいんだよ。」
「俺たち今度『ミラーライブ』にエントリーしようかと思って。」
「あ、マジ?」

俺もつむぎくんと一緒に出ようと思ってたんだよ。そう伝えると、げっ。と聞こえた。どうやら俺に声をかけたのはその目的であったようだ。俺は一緒でよければやるか?と問いかけた。青葉先輩とかぁ。確かに似てますもんね。一年年上のご兄弟はオレとゆうたくんみたいにピッタリですもんね。電話口の連絡でいろいろと話をして、二人がいいなら。と俺たちがしばらくいる予定の防音レッスン場に来るといいよ。も伝えて切った。
必要な荷物だとかをもって計画票をもって俺は予約をしていた防音レッスン場に向けて杖をついて歩くと夏目が俺を待ってたかのように立ってた。俺と目が合うと

「ゆらぎにいさん。踊るノ?」
「そうだよ。どうした?つむぎくんが馬鹿なことでもいってたのか?」
「まぁネ。メンバーが参加するから会わせたイ。だって。」
「へぇ…。夏の終わりに会ったきりだからって、つむぎくんは変なとこ強引になったねぇ。」

昼前の休み時間に教室に来ていきなり許可をもぎ取っていった。一連の流れを聞くと、なんだか逆にこちらがごめん。と頭を下げる。うちの弟が。いや血は繋がってないんだけど。

「まぁ頑張ってきてヨ。」
「俺を誰だと思ってんだよ。『一閥』様だってーの。」
「じゃあ期待して優勝してきてよネ。あれの優勝景品はライブ企画してくれるみたいだシ」
「まじ!?」

え?そんなところを読んでなかったノ?そういわれて。俺は笑ってごまかした。あいつらの名前しか見てなかったし。そういうこともすべて無視してた。俺は適当にしてるのをごまかしてるのをばれないようにしつつ、嘘を嘘で塗り固めていく。俺は夏目の追跡を振り切るように練習があるからっていってその場を離れた。防音レッスン場前で葵の兄弟とつむぎくんが立っていた。
俺に気づいてか葵たちはあいさつの声を投げてくる。いいって、とか簡単に挨拶を交わして部屋の中に誘導する。

「一緒にレッスンするだけだから、基本的に隣と合わせるとか調整の意識を付けるだけだから人が多いほどやりやすいんだよ。もっと人が欲しいけどなぁ。」
「『Switch』にも声かけましょうか?」
「んー今夏目機嫌悪そうだからいいや。とりあえず柔軟から始めようぜ。『Diana』式でいい?葵たちも。」

『Diana』式はひたすら踊る柔軟になるんだけど。とりあえず俺が踊るからそれについてきてよ、それが俺たちの準備体操だから。といいつつ俺たちはさっさと着替えて音源をかける。ケルトのゆっくりめの曲を流しながら体の隅々まで伸ばすように踊る。効果の高いのは過去数年ずっとこれなので実績はけっこう叩きだしてるので問題はない。俺が踊りだすと葵たちも慣れたように踊りだすので、向こうも意欲はたっぷりで俺はうれしい。

「とても激しいじゃないですかゆらぎ先輩!」
「え?普通じゃねぇ?」
「うん、普通じゃないですよ。ゆらぎくん。」
「そう?でもライブは生ものだからこれ以上にも化けるよ?」

経験上の話をすると葵たちは固まったけど、俺は別に普通だし。場慣れはしてるから、あとはもっと更なる体力だな。とか考えながら俺は学校の授業でかかるような楽曲をかけ流す。葵たちも知ってる曲なようでリズムに合わせて頭を軽く振っている。ゆっくりエフェクトを変えてベースだけを鳴らし、メトロノームのねじを回しだす。久々の練習に胸躍らせて口を開く。

「さぁじゃあ練習をはじめっか。お前たちは活きのそろった振りが売りだけど、もっと精査にやってくぞ。」
「え?この状況でやるんですか?」
「そうだよ?」

葵兄弟たちに一瞬困惑が生まれたんだろう、微妙な空気が一瞬生まれたので俺は割り込むように言葉を放つ。縦のパフォーマンスを考えるならこの練習が一番だよ。相手を見ながら観察し踊るのが一番手っ取り早いレッスンだし、二人ともピルエットはできるか?と問いかける。あんまり練習したことがないと言う。

「ならちょうどいいしやろうぜ。しっかりした踊りはしっかりした練習したものにしか身につかねぇからな。」
「青葉先輩?何をするんですか?」
「んーちょっと準備するから、つむぎくん説明していて。」

つむぎくんに、縦を合わせる理由を一つ一つ砕き、最終的には『Diana』の話を持ち出して、今回のライブのメインは鑑写しのようなそっくりのパフォーマンスを主としているのと、『apollo』が『Diana』のメンバーがほぼそちらで今回は動くこと。そしてその『Diana』は過去夢ノ咲のトップを走ったこともあるユニットだとつむぎくんが言うのはいいけど、俺のファンつむぎくんなのでちょっと怖いです。熱が。

「こんこんと説得するのはいいけど、熱はいりすぎだから!」
「ですけど、ゆらぎくん。」
「一年びびらすなっつーの。」

丸めた企画書でつむぎくんの頭をぽこりと叩く。音のわりに痛くないので、いい歯止めになったし葵たちは不思議そうな顔をしている。おい、熱のわりに伝わってないみたいだぞ?…いいけどさ。

「まぁこの熱の入れようで伝わってないなら、一回体験してみるか。じゃ、ピルエット5分。二拍一周。な。」
「ご、五分!?ですか。」
「うん、一人が指摘役だから、最終的に合計一人15分、一回つむぎくん指摘やってよ。」

両脇に葵くんを並べて、つむぎくんの号令で俺たちの基本練習が始まる。平然と踊りだして最初のしばらくは説明を兼ねて俺もしゃべる。ある程度、失敗したらどうなるかの実演もしておく、つむぎくんの指摘があったら返事をして姿勢やリズムを整える。それだけのやることだ。

「ゆうたくん、肩が斜め向いてますよ〜。ゆらぎくん、すこし高くなってます〜」

はーい。と返事をしながら言われたので高さを調整しつつ、ぐるぐる回る。一本目が終わるころに、腰を抑えながらのゆうたと姿勢のおかしいひなたがいた。俺たちで残りの10分やってしまうか。とつむぎくんに提案すると、しかたないですねぇ。と苦笑されたけど、いいんだよ。俺だから。そして1年に休憩を兼ねて指摘役をお願いしておれはただ淡々とピルエットで10分どころか15分ずっと回ってた。無論1年にビビられた。縦周りはだめだけど!横なら全然いいの。




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