Happy Halloween!


※事務所に来て初めてのハロウィン


事務所にやってきて初めてのハロウィンがやってきた。ハロウィン自体は知っていたがフォルトゥナではこういう行事はなかったため、レディとトリッシュに教えてもらいながら準備を進めて、無事今日を迎えた。
事務所の壁はかぼちゃやコウモリのリースで飾りつけられ、ハロウィンらしいオレンジの布がひかれたテーブルにはハロウィンにちなんだかぼちゃの料理が並べられている。

「まだかなあ、ダンテさん…」

ソファに座り、そわそわとしながらリアラは2階を見上げる。
ハロウィンということで、リアラは魔女の格好をしていた。肩の露出したワンピースは普段ならリアラが着ない膨らみのあるスカートで、袖と裾には青いチュールがあしらわれてており、動くたびにふわふわと揺れる。

(うう…何だか恥ずかしくなってきた…)

帽子を引っ張り、顔を隠したリアラの耳に、階段を下りる音が届いた。
リアラは顔をあげる。

「「あ…」」

お互いの姿を見て、二人は動きを止めた。
ダンテは普段の赤いコートではなく、黒いシャツを着ていた。黒いジーンズを履き、全身真っ黒な中で、頭についた薄い灰色の猫耳が目についた。ご丁寧に尻尾までついており、ゆらゆらと揺れている。そして、なぜか首には赤い首輪が。
お互いに無言の中、先に口を開いたのはダンテだった。

「…あー、っと…悪い、遅くなった」

「あ、い、いえ…」

ふるふると首を振るリアラを見つめ、ダンテはぽつりと溢す。

「…かわいいな。レディ達が選んでくれたのか?」

「!…は、はい…」

フッ、と優しい笑みを向けられ、リアラは真っ赤になりながら必死に頷く。

「そうか。よく似合ってる」

「あ、ありがとうございます…。ダンテさんのも、二人が選んだやつ、ですか?」

「みたいだな。気が利いてるんだか、利いてないんだか…」

困ったように頭を掻くダンテを見つめながら、リアラは言う。

「似合ってる、と思いますよ」

「…そうか。ありがとな」

リアラの言葉に笑みを浮かべると、「じゃあさっそく、」とダンテはリアラに近寄る。

「リアラ、trick or treat」

「あ、はい。ケーキ用意してますよ」

けど、ご飯食べてからにしてくださいね、というリアラに、ダンテは肩を竦める。

「用意がいいな」

「一緒に食べようと思って用意しただけですよ。いたずら防止用じゃありません」

そう言うと、少しためらいつつ、リアラは言った。

「…trick or treat、ダンテさん」

ダンテは目を瞬かせると、ニヤリと笑って答える。

「あいにく菓子は持ってないんだ。ならいたずら、だな?」

ダンテの言葉にリアラはパチパチと目を瞬かせると、うーん、と考えこむ。そして何か思いついたらしく、ソファから立ち上がる。

「ちょっと待っててくださいね」

そう言うと、リアラは2階への階段をかけ上がり、自室に入る。数分もしない内に戻ってくると、ダンテの前で立ち止まった。

「じっとしててくださいね」

リアラは爪先立ちになると、ダンテの髪に何かを差した。そして、ダンテを見つめると、ふわりと微笑む。

「やっぱり赤が似合いますね。ふふ、かわいい」

彼女の言葉に内心首を傾げ、ダンテは自分の髪に触れる。すると、手が何かに触れた。形からしてヘアピンらしい。
彼女の『いたずら』に、ダンテは目を瞬かせる。

「…これがいたずらか?」

「いたずらに、なってなかったですか?」

こてり、とリアラは首を傾げる。いたずらって、どこまでがいたずらかわからなくて、と続ける彼女に、ダンテは苦笑する。きっと真面目な彼女は、いたずらなどしたことがないのだろう。

「いや…かわいいいたずらだな」

自分の言葉に再び顔を赤く染めたリアラの頬を撫でてやると、彼女の手をひいた。

「メシが冷めちまうな。これ以上冷める前に食うか」

「…うん」

頷くと、リアラはダンテの手をぎゅっと握り、呟く。

「今日は、隣で食べてもいいですか…?」

彼女のかわいらしいお願いに、ダンテはフッと笑みを溢し、ああ、と頷いた。


▼管理人より
『雪の雫』輝月雪菜様よりWeb拍手のフリー小説を頂きました。
ほのぼのしつつもニヤニヤしました。
リアラちゃん、可愛いのう可愛いのう!
控えめな甘えたさんがたまりません。

雪菜様、どうもありがとうございました!

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