喧嘩したって、君が好き! [2]


ディーヴァは口早に紫乃との関係やいつどこで出会ったかをダンテに話した。
ダンテは最初の一言を聞いただけで、すでに警戒は解いている。

どう考えても悪魔ではないと判断したからだ。
仮にもし悪魔だったとしても、素手でひねり上げることが出来そうなほど貧弱であろう。

殺されてはいやだと、一生懸命になって説明している間、ダンテはディーヴァをじっくりと観察していた。

自分の物とよく似た銀糸に薄いグリーンを混ぜたような変わった色の長い髪の毛に、エメラルドの大きな瞳を持っている。
とても背の低い少女だ。
そして真夏だと言うのに真冬の格好をしている。
見てるだけで暑そうだ。

そして話の中に年齢の単語が入っていた。
16歳だそうだ。

16歳にしてここアメリカでこの身長とは…
ちっさいな、まだまだがきんちょか…
だが、胸はでかい。
胸だけで言えば紫乃よりもあるかもしれない。
胸でかロリっ子というやつであろう。

見た目は紫乃に及ばないかもしれないが確かにかわいらしい少女だ。
だが、自分はそれに惹かれたわけではなさそうだ。

どちらかというと自分の中の悪魔が反応している。
そもそもロリに惹かれていたとなれば、今度こそ本気で犯罪である。

ある程度情報がわかったところでダンテは笑いをこぼした。

「紫乃も俺からしたら十分小さいが、お前はさらにちみっこいな」

「なっ!一言余計!…あたしダンテさんには敬語やめる。だって敬う必要性を感じないんだもん」

「で、どこから来たんだ?」

ディーヴァは他の世界の若いダンテと暮らしている話を目の前のダンテに話した。

並行世界、というやつである。
だがダンテは並行世界について深く考えなかった。

魔界があって、悪魔がいて。
おまけに天使がいる世界だ、そういうことがあったって何も不思議じゃない。

「ふぅ、それにしても暑いねー」

ディーヴァは服をパタパタさせながら滲んできた汗を乾かそうとした。

「そんな格好してるからだろ、ここで脱いでもかまわねーぜ」

ダンテはにやにやした顔を隠そうともしなかった。
紫乃だけを特別視しているので別に何とも思わないが、見られるものは見た方が楽しい。
それがディーヴァだったらきっと眼福にあたいするだろう。

「そうだね、セーターは脱ごうっと」

だが脱いだ下を見てダンテは少しがっかりした。
ディーヴァが下に着ていたのは長袖のTシャツだったのだ。

だがセーターを脱いだことで、また最初に感じた違和感が広がった。

まただ。
また妙な感じがする。
ダンテは悪魔というよりむしろ神聖な感じだということにようやく気がついた。

「お前、もしかして天使か?」

「え、何でわかったの」

セーターをたたみながらきょとんとした表情を返す。

「美味そうな感じがしたからな。あ、でも取って食ったりしねぇから安心しろ」

俺の食指が動くのは紫乃だけだぜ…
ダンテはそう追加すると紫乃をベッド上で食す瞬間を思いだし、笑った。

「でも天使の力は魅力的だな、ちょっとばかし欲しいもんだ」

ダンテはディーヴァが天使ということで、少しばかりその力を欲しいとは思った。

「え、ダンテさんもダンテだからあげたいけど、それはちょっと…紫乃さんに言いつけちゃうよ」

「冗談だ、言われたら困る」

「紫乃さんの方が力とか魔力じゃなくて、普段の主導権強そうだもんね!そもそもあまり天使の力は使えないよ、何かあると翼が出ちゃうくらいかな」

その言葉にダンテは目をキラキラと輝かせてディーヴァに懇願した。
翼で思いだされるのは紫乃の魔人化した姿だ。
あれも天使のようで綺麗だったが、目の前の本物の天使はどうだろう。
違いを比べてみたくなった。

「翼か。見て見たいな、ちょっと出してみろよ」

「ダンテさんそりゃむりです」

「いいじゃねーか、減るもんじゃないだろ」

「無理なものは無理なの!いっつもいつのまにか出てるんだから」

食い下がるダンテにピシャリと言い放つ。
ダンテは口をとがらせて文句をたれた。

「ケチなやつめ…あとそのダンテ『さん』ってのこそばゆいから敬語を外した時みたくやめろ」

「あたしも違和感を感じるけど、ダンテ『さん』で我慢して欲しい、区別しづらいから…」

「ダンテって成長するとこんなにたくましいんだなぁ」

しみじみとディーヴァが頷きながらつぶやく。

「ちょっと二の腕とかドキドキするね、紫乃さんの気持ちが少しわかる気がする」

「惚れんなよ?」

ダンテが口角を上げて笑いかける。
そんな仕草もかっこよくてさまになっているが、ディーヴァは真顔で対応した。

「いえ、それはないです。それにおひげはないほうがいいんじゃない?おひげあってもいいか紫乃さんに聞いたの?」

「聞いてないが、紫乃ならどんな俺も愛してくれるぜ。出会った時もすでにこうだったし」

「ならいいけど…」

ディーヴァの小さいころのことだ。
亡くなった父親は毎日ひげなんか1つもなく、頬ずりされても全然痛くなかったのを子供ながら覚えている。

「それに剃るのめんどくさい」

「それが本当の理由ね」

ダンテの追加した言葉にずっこけたディーヴァは、小さいころのことをさらに思い出した。
今度はディーヴァがダンテに懇願する番だ。

「ねぇねぇ、二の腕に掴まるから持ち上げてみてよ。小さいころよくパパにやってもらってたんだあ…」

「それはディーヴァのところの俺が成長したらやってもらえばいい」

「あ、そうか!そうだね、いつかやってもらおうっと」

よかったな、若い俺。
この嬢ちゃんはこれからもずっとお前と一緒にいてくれるとよ。
ダンテはディーヴァと暮らしているという、若き自分に心の中で話しかけた。

「まぁつまりダンテさんはパパみたいな感じするってこと。だから絶対惚れないの」

「パ…パパ?」

ディーヴァからの予想だにしない言葉に目を白黒させる。
歳の離れた兄と思われているとばかり思っていたダンテにとってこれはちょっとショックだった。

「そうだな、俺から見てもお前は小さいし、自分の子供のように見えるぞ」

パパみたいと言われた仕返しに言い返してやったが、冗談じゃなくディーヴァは自分の娘のように思えてきた。
いつかは紫乃との子供が欲しいと、そう思った。

「あたし、自分の世界のダンテと喧嘩してここに来たって言ったけど、ダンテさんも喧嘩したんだよね?」

「いや、喧嘩って言うか紫乃が怒って俺を置いて出て行ったっていうか…」

「じゃぁダンテさんは怒ってないってこと?」

「もともと怒ってないぞ」

「…紫乃さんが怒ってるだけ?」

ディーヴァはよくわからないので喧嘩の発端を聞くことにした。

ダンテは思った。
ディーヴァは、少し違うが紫乃と共通する部分を多数持っている。
だからこそ、愚痴や、紫乃が何を思ってるのか等本人に聞くのが恐いことを躊躇なく聞けるだろう、と。
ダンテはディーヴァに話した。


喧嘩の内容を聞いたディーヴァは立ち上がってダンテに指をつきだした。

ずびし!
「そんなのぐうたらなダンテさんが悪い!」

紫乃だったらきっとそこまではっきり言わないでやんわりと言うかもしれない。
ここが紫乃とディーヴァの違いでもある。

「はっきり言われるとさすがにへこむな。俺、どうしたらいいかわかるか?」

「そうだね、早く謝って反省したらいいんじゃない?だってそれしかないでしょ」

助言をあおぐが、予想通りの答えしか返ってこなかった。
物でご機嫌取りをすることなども考えていたがそれは不正解なのだろう。
紫乃と似たところのあるディーヴァの言い分はきっと正しい。

「それだといつもと同じだ…それに俺は基本的に人に何か命じられるのは嫌いだし、それとなく仕向けられるのも嫌いなんだよな。とたんにやる気をなくす。ディーヴァんとこはどうだ、違うか?」

「多分同じ。けど、だったらなおさら怒られないように普段から気をつけないとダメだよ」

「でも怒ってるときの紫乃もかわいいんだよなー思いだすだけで勃つ」

「ハイハイごちそうさまですね!」

今頃はディーヴァの世界で紫乃も同じことを言っているのだが、やはりこちらの世界でも同じことを言っていた。
ディーヴァはあきれてそれしか言えなかった。

「ダンテ、今のまま成長したらこうなるのか…あたしが上手くやらないと…」

げんなりした様子でディーヴァがつぶやくと、聞こえていたらしいダンテが笑みを浮かべる。

「ん?俺みたいな素敵なおじさまになったら嬉しいだろ?」

「いや、ちょっと幻滅しちゃうかも…今の若いダンテの年齢だったらまだ許されるかもしれないけど」

ダンテは若い自分とディーヴァの喧嘩内容を聞いてやることにした。
自分が相談するばかりでは悪いだろう。

「ディーヴァは若い俺と何を喧嘩したんだ」

その瞬間、ディーヴァの目の色が変わった。
それは優しいおっとりとした目から、怒気をはらんだ目の色だ。

「そうそう!聞いてほしいの!ダンテったらひどすぎるの!」

そこからディーヴァのマシンガントークが始まった。
めちゃめちゃ怒っているようで下手に口をはさめない。
よっぽどカンにさわったのだろうと推測する。

そして喧嘩のことだけではなく、ディーヴァはたまにはちゃめちゃな行動するダンテに怒っているようでもあった。
自分は今でもはちゃめちゃな行動をしているので何も言えない。
ダンテはディーヴァの気が済むまで決してしゃべらなかった。

「常識外れなことばっかり!お金に汚いし!変態さんだし!この間なんか避けられるはずの攻撃をわざと受けて楽しそうに笑ってたのよ?人の気もしらないで…どう思う?」

突然ふられびっくりするが、ダンテは笑って答えた。

「そりゃ、人生には刺激が必要だからだろ?なんとなく相手の攻撃を受けてみたくなる時が俺達はあるんだよ、すぐ治るしな」

「治るからいいですって?」

「ま、気にすんな」

「帰ったらその辺についてもダンテに厳しく言わないと!あー、言わないきゃいかないことが多くてホントいやになるわ」

諭そうとしたダンテだったが、何故か火に油を注ぐ結果になってしまった。
これでは更に若い自分は説教を受けてしまうだろう。

すまん、若い俺…

でもディーヴァの話や様子から察する若いダンテの心が見えた。
心底惚れているからこそ、その言動をしてしまうのだろう。
2人ともまだまだ青くて若いと純粋に思った。

ダンテはディーヴァにかまをかけてみることにした。

「ディーヴァ、そこまで怒ってるってことはもう若い俺のことは嫌いか?嫌いなら高校にだって男はいるだろう、乗り換えたらどうだ。お前ならすぐひっかけられる」

「…嫌いなわけないよ。それにあたしはダンテじゃないとやだ。ダンテが好きなの。恥ずかしいけど、今1人じゃあまり眠れないの。ダンテ以外となんて一緒に眠りたくないわ」

「うーん、若い俺愛されてるねぇ…」

ダンテは若い自分が心底愛されている事実がわかり、自分のことのように嬉しかった。
まぁ、違う世界なだけで結局自分だが。

「そう言えば聞いてなかったがお前のとこの俺は今いくつだ」

「んー、確か19、だね」

俺と同じくらいの歳になるまでずっと一緒にいたとする。
ざっと15年後くらいか。

「ハハッ一緒にいるうちにあのはちゃめちゃな言動にも慣れてくるぞ」

ダンテはディーヴァの低い頭に手を置いて、ぐしゃぐしゃと頭をなでた。

自分の世界のダンテにされる物とは違い、本気で子供とみなしたその撫で方にむすっとする。
ディーヴァはダンテの手をどかして抗議した。

「あたしそこまで子供じゃないんだけど…」

「未成年なんざ、まだまだガキだ。ふーむ、俺達に子供がいたらこんな感じか…」

「子供にしては大きすぎでしょ!あたし16よ!」

「おっとそうだったなすまんすまん」

風船のように頬を膨らませるディーヴァを横目に、ダンテは考えた。

ディーヴァのこの様子だとまださせてもらってないのか
若い俺、かわいそうにな。
19って言ったら好きな女がいたら早く手をつけたい年頃だろうに、毎日一緒に寝てるだと…
俺が19だったら考えつかねーぜ

というか、そんな飢えた狼状態のところに紫乃がいるのか?

ダンテは紫乃が取られるかもしれないとちょっと考えた。
何せ、自分が19のころは少しばかりはしゃいでいた時期もあるのだ。

それでもダンテは一応大人なためか、子供なディーヴァの手前、決して言葉にはしなかった。

しかし、若い俺がでかくしてやったわけでもないだろうに、背の割にはディーヴァの乳はでかい。
もしかしたら今後まだまだでかくなるのかもしれない。
特に今後は若い自分も揉むのだろうし。

ってことはだ、紫乃も俺が可愛がってやればさらにでかくなるか!?
これは楽しみが出て来たぜ…

ディーヴァの胸元をじっと見つめながら思いを馳せた。
その視線に気がついたディーヴァは自分を守るように自身を抱きしめた。

「人のおっぱい見てなにニヤニヤしてるんですか、気持ち悪い!セクハラよ!」

「ちょっと待った、誰がお前みたいなガキの胸を見るか!俺はお前の胸見ることで紫乃の胸を連想しただけだ。俺が揉めば紫乃の胸ももっとでかくなるんだ、ってな感じにな」

「結局見てるんじゃないの、しかも思考が変態すぎ!」

「だから見てたのは紫乃の胸だって!それに気持ち悪いとかやめてくれよ、なんだか娘に言われてる気分だぜ。紫乃はもっとこう、優しくオブラートに包んだ表現で慎ましくだな…」

「えー。結局はダンテなんだからちょっとくらい言ったっていいと思うの」

にっこり笑顔でナイフのセリフを吐くディーヴァに、ダンテの心はズタズタになった。
毎回大きな仕事の度に心臓を一突きされていることも多いが、それとは違った意味でかなり痛い。

「歳を重ねて俺は色々とガラスのハートになったんだぞ。お前の毒舌、胸にぐさーっと刺さるぜ」

「うーん、きっとダンテの影響でこうなったんだよ」

紫乃からちょっぴり聞いていたダンテ。
おしゃべりで人の話を聞かず、皮肉や横やりを入れずにはいられない性格。
そして余裕を見せていたかと思うと、たまにこどもっぽい。
うん、こうやって話していてわかった気がする。

だから紫乃さんは好きになったのかなぁ、とディーヴァは思う。
だが、ディーヴァのみたてではプラス、セクハラ魔人を追加しないとと思った。

「紫乃さんとはどうやって知り合ったの?半魔コミュニティでもあるの?」

ディーヴァは紫乃との出会いを聞いた。
実は紫乃本人から聞こうとは思っていたのだが、詳しく聞いていなかったのだ。

いい機会なのでこうなったらダンテさんから聞いちゃおう。

「そんなコミュニティあったら嬉しいけど、ないぞ。最初、紫乃は日本からマンモンって悪魔を探してアメリカにきたんだ、あの便利な力でな」

「うん、ほんと便利だよね。あたしなんかスラム街通らないで学校行けたらいいのにっていつも思うもん」

「そこで俺達は出会った。初めて紫乃を見た時は俺ってロリコンなのかと思った」

「うわぁホントだ、ロリコン!」

ディーヴァが顔を引きつらせながら言った。
ダンテとの距離を空けるのも忘れない。

「まぁ聞けよ。でも23歳と聞いて自分が正常だったから安心した」

じゅうぶんロリコンの気はあると思ったがこれ以上言ってはかわいそうだと思い、ディーヴァは心の中にしまっておくことにした。

「風呂上がりのあいつを見た時なんかはネグリジェ姿が色っぽいのなんのって、思わず勃ちそうになっちまった。恥ずかしがる紫乃、かわいかったなぁ。あ、今もすんげぇかわいいぞ」

「それは知ってる。ダンテさんの話する時の紫乃さん、すっごくかわいいもん。ね、さっきからたまに出てくる『勃つ』ってなぁに?」

「………知りたいのか」

ディーヴァの言葉に話どころか体すらぴたりと静止した。

「え、なになに?知りたい」

「帰ったら若い俺に聞いてみるといい。きっと喜んで教えてくれるぞ」

真顔だったが、その直後ニヤニヤした表情になる。
その顔はダンテがいつも良からぬことを考えている時にするものと同じだった。

「…そのニヤニヤフェイスでなんとなくわかったからいいや」

「ちっ、つまんねぇな」

「はいはい続き聞かせてよ、いつ好きになったのとかさ」

「ああ。思えばもうその時には紫乃に堕ちてたんだろうって思うよ」

「早いねー」

ディーヴァのところのダンテも人のことは言えない。
なにせ一目ぼれである。

「これでも、初めは家政婦として雇ってたんだぜ」

「雇ってた…じゃあ給料制??いいなぁ…」

ダンテが提示したその額にディーヴァは驚いて椅子から転げ落ちそうになった。
かなりの額である。

「えええー!あたしなんか無償なのに。あ、別にお金欲しいわけじゃないけどさ」

「ああ、あの頃は無一文同然だったからな。そっちの俺がお前と会えてよかったぜ」

「紫乃さんにお給料渡してるってことは借金ゼロってことなんだよね」

「いや、実は…」

「え゛…まだあるの?」

悪魔はきっちり退治してくるのだが、その度にどこか破壊してしまうことが多いらしい。
公共物を破損させたりすると報酬金もマイナスになることがあるとのことだ。

紫乃に家計簿をつけることを提案しようと心に決めた。


「あと紫乃がスラム街のゴロツキに襲われて撃たれたことがあってな、そのあとはあんまり覚えてない」

とにかく紫乃が大切でたまらないんだ、とダンテは語った。

「相手が悪魔だったら遠慮なんかしないでぶっ飛ばしてたのにな、人間が相手じゃどうしようもないぜ」

「手討ちにしただけなんだね」

「半殺しであとは忠告してやっただけさ」

「うちのダンテだったら、半殺しじゃすまないかもしれない。あ、別に自意識過剰とかじゃなくて…」

わたわたわた。
そんな擬音がつきそうなくらい慌てて訂正するディーヴァにおかしそうにダンテは笑った。

「ハハハッそうならないように、スラム街を歩く時は気をつけとけよ」

「うん」

「それと…いつも紫乃はひざ下丈の服ばっかだったんだが、ひざ上の服を着た紫乃を見た時は思わず襲いそうになった」

「襲っ!?」

「スカートからのびる生足ってやっぱイイよな…」

「やらしい…」

軽蔑するような冷たい目を受けてもダンテは平然と続けた。

「男なんてみんなそんなもんだろ?でもそん時が初キスだ」

「へー、早くキス出来てよかったね」

「お前は?初キスはいつだ」

突然話をふられてあわてる。
ディーヴァの中に勝手にキスされたらしいとの記憶が甦った。

「あたしのことは気にしないでいいの!」

「娘の初キスくらい親だったら知っておかないとな」

「ダンテはあたしの父親なんかじゃなぁい!!それに娘の初キスまで知りたいってどんだけ過保護な親なの?」

爆発するようにディーヴァは言いきった。
少し息切れもしている。

暑さと息切れにハフハフしながらディーヴァが話す。

「はぁ…そいえば紫乃さん結構薄着だったけど大丈夫かなぁ…」

「お前んとこは真冬だっけか。確かに心配だがなんとかなるだろう、お前のとこのダンテは優しいんだろ?」

「うん、すっごく優しいよ。きっとあたしのひざかけあたり貸してるんじゃないかな」

ディーヴァは結構フェミニストなダンテを思いだしていた。
はちゃめちゃでガサツに見えるが、女子供にはとても優しいのだ。

「ところでマンモンはどうなったの」

「ん?最近しとめたぜ」

「よかった…」

「おかげで紫乃はもうあいつに悩まされる心配はなくなったわけだ。だが、確実にしとめるために紫乃は囮になっておびき寄せたんだ。心配するこっちの身にもなれってんだよ…あの時ばかりは心臓が止まるかと思った」

「紫乃さんもずいぶんかけに出たね。あたしだったら恐くて出来ないかも」

「お前は向こうの俺に全力で守ってもらえばいいだろ、戦う必要はないぞ。とにかく、紫乃を守れて良かった」

心底ほっとしたような表情を見せるダンテに、ディーヴァの心も温かくなった。
紫乃さん、ダンテさんに愛されてるね…
ほんとうに良かった。

だがその後に続く言葉に、ディーヴァの顔はみるみる赤くなった。

「その夜が初夜だったんだぜ」

「しょッッ!!」

「あ。すまん…お前にはまだ早かったか、悪い悪い」

全然悪いと思っている感じがしない。
ディーヴァも初夜の意味くらいはしっているが、その言葉の意味を想像するのはまだ早い。
想像しただけで赤くなってどうしようもなくなる。
まだ、もっとストレートな単語を聞いていたほうがましだ。

赤くなって初々しい何もしらぬディーヴァにダンテは目を細めると、いらぬ知識を植え付けようとした。
他に誰もいないため止めるものがいないのである。

「少しは知識として持ってたほうがいいんじゃないか?」

「そういう話いらないよー」

「でもお前もいつか通る道だぞ?」

「まだ早いよっ!」

「俺なんかはな、まず紫乃のスカートの中に手をだな…」

「ぎゃー!!わーわーわー!きーこーえーなーいー!

「お前ほんとおもしろいな!紫乃と同じくらいからかいがいがある」

耳をふさいで騒ぎ出すディーヴァにダンテは今度こそ大笑いした。

***************

ひとしきり笑ったあと、ダンテは突然真面目な顔をした。

「なあ、紫乃は俺がこんなにぐうたらしててやっぱり怒ってると思うか」

「そりゃ、怒ってるだろうけど…あたしだったら怒りながらダンテのお尻をぶったたいちゃうかもしれないね」

そりゃこえーわ。
ダンテは鬼の形相のディーヴァに後ろからケツを叩かれる姿を想像して身震いした。

「正直、紫乃は俺がいつもちょっかい出したりいきなりキスするの、どう思ってるんだろうな」

「うーん、あたしは紫乃さんじゃないからわかんない」

だよな。
そう思って落ち込んだが、ディーヴァの追加の一言で落ち込んだ気分も浮上した。

「でも本気でいやがってなかったら、そこまでいやじゃないとおもうよ」

「そうか!やっぱり嬉しがってるのか!!」

途端にぱあっ!と明るい表情になったダンテは飛び上がりそうなほど嬉しがった。

「いやいやいや、あたしの主観だから。参考にはしないでね?」

ひゃっほう!baby,yeah!
そう叫んで踊りだすダンテを見たディーヴァは心の中で紫乃に謝罪した。

ごめん紫乃さん…余計なこと言っちゃったかも。

喜びの舞を繰り広げたあと、ダンテは定位置に座りながら一呼吸おいた。

「ふう、そういやのど乾いたな、なんか飲むか?」

言われて気がつく。
そういえばここにきてから何も飲んでいなかった。
この暑さの中何も水分を取らないままでいたら脱水症状を起こしかねない。

「確かにちょっとのど乾いたかも。お水でいいからもらっていいかな」

ダンテは冷蔵庫の中身を思い浮かべてみた。
確か、ドアポケットにミネラルウォーターが入っていたと思う。
先日、紫乃と一緒に買い物に出かけた時に箱買いしたものだ。

「水か…冷蔵庫に入ってるはず。ディーヴァ、キッチンに冷蔵庫あるから水と言わず好きなもん飲めよ」

「え、ダンテさんとこの冷蔵庫でしょ、あたしが開けて大丈夫?」

「紫乃がそれぐらいで怒ると思うか?かまわんさ。あ、ついでにビールとってくれよ」

「わかった。でも昼間からお酒…どうしようもないなこの人」

ディーヴァはキッチンに向かいながら小さく呟いた。

キッチンは紫乃の手によって使いやすく綺麗に掃除されていた。
学生生活も送っている自分とは違って毎日掃除しているようだった。

「ん?」

そこでテーブルの上に置かれたレシピ本が目につく。
日本語で書かれているようで興味がわいた。
ディーヴァは難しい漢字は読めないが、日本語はそこそこできるのである。

「あとで紫乃さんに教えてもらおうかな…」

レシピ本にはところどころふせんが付けてあり、ダンテに美味しい料理を作る紫乃の姿が頭に浮かぶ。
ぱらりとページを捲りながらディーヴァは笑みをこぼした。

大きな冷蔵庫を開けると一画が酒に占領されていた。
その量にげんなりする。
そして一番目につく場所にそれは置いてあった。

「あ、やっぱりここのダンテもアレ好きなんだ」

苺と生クリームのパックが冷気に包まれて使用される時を今か今かと待っている。
ディーヴァはクスクス笑うと水を取り、ダンテのお目当ての物を探した。

「ダンテさーん、いろいろ種類あるんだけどー!」

冷蔵庫から顔だけをのぞかせ、事務所にいるダンテに大声で呼びかける。
返事はすぐに返ってきた。

「紫乃が持ってきたやつなんだが、日本語で書いてあるやつくれー!日本語わかるかー?」

「あたし日本語わかるから大丈夫だよー!あ、これかな」


ディーヴァはよく冷えた水を、ダンテはキンキンに冷えたビールを飲んだ。

「ふー冷たくておいしい!生き返る〜…って、一気飲み?」

ダンテは日本のビールのCMよろしく、缶のまま一気飲みした。

「ぷはー美味ぇ!」

アメリカではビールは冷やさないのが一般的な飲みかたであるが、日本のビールは冷やした方がおいしいと紫乃に教えられた。
それ以来、日本産のビールを飲む時はキンキンに冷やしている。

「日本じゃ冷たく冷やしたビールをジョッキに入れて仕事上がりや風呂上がりにグイっとやるみたいだぜ」

「今お仕事どころかお風呂上がりでもないんだけど」

「今日の俺はだらだらするのが仕事だ。酒のんだら腹減ってきたな…お前も俺を相手に生活してるならアレ、作れるだろ?」

「アレって?」

ダンテはニッと笑って「アレだよアレ」と、言う。

「合言葉は苺だ」

苺。
その言葉だけでなんの事だかよくわかる。
というより、『アレ』と言われた時点でなんとなくだがわかっていた。
ダンテ=ピザがストロベリーサンデーだからだ。

「ああ、アレだね。いいけど勝手に食材まで使っていいの?」

「なくなったらあとで紫乃といくらでも買い物行くさ」

「そっか。じゃぁちょっとキッチンおかりしまーす」

ディーヴァは再度キッチンへ戻ると、ストロベリーサンデーの準備を始めた。

***************

「はい、出来た」

「ずいぶん早いな」

コミックを読んで待っていたダンテが振り向くと、そこにはおぼんを持ったディーヴァが立っていた。
そしておぼんの上の物を渡される。

「おお美味そう…って一口サイズ!?」

そのストロベリーサンデーはスプーンの上に一口分だけで構成されていた。

「変わった盛り付けだな、こんなの見たことねぇ…」

スプーンの上だけで見事にストロベリーサンデーが再現されている。
サイズ的には小人用だ。
ダンテはほぉー…と感嘆の声をもらした。

「もちろん、もっとあるんだろ?」

「いえ、これだけです」

ディーヴァの言葉に二度見ならぬ、三度見する。

「はぁ!どうせ作るならたくさん作れよ!意地悪だなお前」

にっこりと有無を言わせない笑顔でダンテの言葉を切り捨てる。

「ちゃんとしたのは紫乃さんに作ってもらってよ、まだまだ苺も生クリームも残ってるからさ」

「ちっ、まぁそうだな。紫乃のはなんてったって俺への溢れんばかりの愛が詰まってるからな」

ダンテはその一口分のストロベリーサンデーをぱくりと口に含んだ。
量は少ないが味は美味い、もちろん紫乃の味には負けるが。

「そういうこと。あたしもダンテさんじゃなくダンテに作ってあげたいもん」

ダンテの喜ぶ顔が見たい。
そう呟くと、ディーヴァは自分の世界のダンテを思い浮かべて目を伏せた。

「あたし、紫乃さんが『ゲート』をつなげたらすぐに戻るね。あたしも悪かったから…ダンテに謝りたい。許してくれるかわかんないけど」

「大丈夫さ、相手は若い俺だろ?ならお前しか見てない。きっと今頃はディーヴァ!!って叫んでるぜ」

ぽんぽんとディーヴァをなでるその手つきは本当に親のようで安心する。
ディーヴァは頭に置かれた手を今度はどけなかった。


そのころの若いダンテは、ディーヴァの予想通りだった。
しばらく温まった部屋で談笑しながら過ごしていたのだが、突然ダンテが呟いたのだ。

「ディーヴァに会いたい…」

「そうね、私もダンテに会いたくなってきたしもう夕食の時間だし、そろそろ帰ろうかしら」

紫乃は時計を確認して立ち上がり、座りっぱなしで凝り固まった筋肉をのばした。
そして自分の世界へと『ゲート』をつないだ。

***************

紫乃の物と思わしき『ゲート』が出現し、部屋内を明るく照らした。

「お。うちのお姫様のお帰りのようだな」

「ですねー」

のほほんと構えるダンテとディーヴァの前に『ゲート』の扉が開く。
だが飛び出してきたのは紫乃ではなかった。
紫乃より先に飛び出して来たのは赤い風だった。
ディーヴァの世界の若いダンテだ。

「ディーヴァ、オレが悪かった!!」

「ダンテ!?」

ディーヴァを目に入れるやいなや、ダンテは彼女を強く強く抱きしめた。
その肩越しに自分と同じ赤いコートの男が目に入る。

ああ、これが未来のオレか。
ディーヴァを抱きしめながらそんなことを考える。

「って、ひげの生えたおっさんんん!?」

「よう、元気か。『俺』」

片手をあげてフレンドリーにあいさつするひげを生やした自分を見て、ダンテは今まで紫乃から話を聞いて知っていたにもかかわらず、混乱した。
その後ディーヴァがセーターを脱いで下のTシャツ姿になっているのに気がついて半狂乱になった。

「ディーヴァ、おっさんなオレになんもされてねーか?セーター脱いで何してた?まさかこのおっさんを好きになったり…」

「しないです!服脱いだのは暑いから!」

クスクス。
その時背後から柔らかな笑いが聞こえてきた。
閉じていく『ゲート』をバックに、紫乃とマハも戻ってきたのだ。

「ディーヴァちゃんのところのダンテ、まるで猪みたいだったわ」

「…確かにな」

「紫乃さんとネコさん!?」

ディーヴァが驚いたような声を発し紫乃達と会話しようとすると、ダンテが「オレだけ見てろ」と、言うかのように更にむぎゅむぎゅと抱きしめてきて話せなかった。
紫乃はそれを見て更に笑った。
笑う紫乃のそばに歩みより、こちらの世界のダンテはゆっくりと紫乃の肩に手を置いた。

「おかえり紫乃」

「ただいま、ダンテ」

「…その、すまなかった。癖だからなんとも言えないが、なるべくちゃんとするようにするから許してくれるか」

「うん。私も何度もしつこく言ってごめんなさい、ほんとうあれじゃ母親よね」

「あれは言葉のあやで、母親だとか思ってないからな」

「わかってるわ」

こちらのダンテと紫乃も優しく抱きしめ合った。
マハは興味なさそうに、こちらの世界に戻ったとたん、散歩へ行ってしまった。

しばらく両カップルともそうしていたが、紫乃とダンテが離れても、若いカップル同士は離れなかった。
というより、ダンテが離さないのだ。

「ダンテ苦しい、内臓でちゃう」

ディーヴァがそうもらしてもなんのその。
二度と離すもんかとでも言うようにその腕に閉じ込め続けている。
見かねた紫乃は苦笑して助太刀に介入した。

「そろそろ放してあげたら?」

「いやだ」

「ディーヴァちゃん死んじゃうわよ?」

その言葉にしぶしぶと言った表情でダンテはディーヴァを解放した。

「…悪い、ディーヴァ。今のこともだけど、オレの言ったことも」

「いいの。あたしもちょっと言い過ぎちゃった。あんなこと言ってごめんね」

「若い二人は一件落着ね」

「オレ達もだけどな」

「ええ」

お互いがお互いのパートナーを笑い合う。
ディーヴァとその世界のダンテは紫乃達に向き直り、日本式にペコリと頭を下げた。

「お騒がせしちゃってごめんなさい、ありがとう」

「悪い…」

紫乃とこっちのダンテもそれにならって頭を下げる。

「こっちも同じだったんだからおあいこだ」

「そう。こちらこそごめんね、ありがとう」


ぐーきゅるるる。
そこで盛大に4人の腹の虫が大合唱をした。

「「「「あ」」」」

ダンテ達は隠そうとはしなかったが、あとの2人は女性だ。
少し気恥ずかしそうな表情で目を虚空へ彷徨わせた。

「えへへ、お腹空いちゃった…」

「オレも…さっき紫乃にストサンつくってもらったけど、腹ペコだ」

「俺の方もディーヴァにストサンもらったが、すんごくちっさかったし、腹減ったな」

「私も…ねぇ、ディーヴァちゃん、提案があるんだけど…」

「紫乃さんも?」

以下、紫乃の世界のダンテ=髭
ディーヴァの世界のダンテ=若

ディーヴァは一度夏の服に着替えるため、紫乃に作ってもらった『ゲート』をくぐって戻ってきた。
その手には何やら手荷物が抱えられている。

2人は紫乃の世界で夕食を共にすることにしたのだ。
そういう訳で一度戻った。

皆お腹を空かせていて限られた時間しかないが、夕食作りがスタートした。

「紫乃さん、すごくかわいい!似合ってる!」

まな板や包丁、鍋等を用意して待っていた紫乃はもうすでにエプロンをつけて待っていた。
紫乃の身につけるエプロンは白で、肩と前掛け部分にフリルがあしらわれておりとても女性的だった。
紫乃にぴったり、よく似合うエプロンだ。

「そういうディーヴァちゃんもかわいいわよ」

ディーヴァの身に付けたエプロンは女の子らしいピンク色でそれを背中側で結ぶタイプのものだった。
結ぶと大きなリボンになるようで、まるでリボンで出来たしっぽのように揺れていた。

互いに褒め合う2人は仲のよい姉妹のように抱きしめ合った。

「んーやっぱ綺麗どころが2人そろうとイイな。俺はディーヴァより断然紫乃だけどな」

「オレは紫乃も綺麗だと思うけど、やっぱりディーヴァが好きだ。ていうか…」

「ああ」

「「同性、うらやましすぎる」」

ダンテ達はドアの陰からこっそりと様子を覗き、呟いた。
でも、中に入ることはしなかった。

実は先ほどまで若は今か今かと待ちきれない様子でディーヴァのそばをうろついていたのだ。
髭もそわそわだったが、若のような明らかな妨害行為はせず、キッチンで茶のおかわりを汲みにくるなどたまに様子をみにきた。
だが結局、しまいには「邪魔です」と、2人ともキッチンから追い出されてしまったのだ。

紫乃が冷蔵庫から取り出した食材と、ディーヴァが持ってきた食材を並べながら、2人は会話する。

「夏は新鮮な夏野菜が安くてにはいっていいよね!あたし夏野菜のカポナータとかチーズ焼きが大好きなんだ」

「うんうん、わかるわかる。冬もじゃがいもがほくほくしてて安いし、お魚も油がのっておいしいわ」

「やっぱり食材は旬の物に限るよねー」

「ねー」

女性同士な上に、2人とも料理するのが大好きなのだ。
だからだろうか、会話はぽんぽんと弾んで尽きることはなかった。

「あっちからたくさん持ってきたからじゃがいもと玉ねぎ使って?」

「夏に旬の冬野菜が手に入るなんてすごく嬉しいわ、ありがとう」

「じゃあ、私も夏野菜、よかったらもらってって」

「いいの?」

「お互い様でしょ?たくさんストックあるから遠慮せずどうぞ」

「ありがとう!やっぱりトマトは必須だよね!」

「そうね、お互いトマト味の大好きな人がいるもの」

ディーヴァは大量のトマトやズッキーニなどを貰って大喜びだ。
これでフレッシュなピザを作ってあげられる。
紫乃ももらった冬野菜で今後何を作ろうかと、大好きな彼を思った。

お互い、思うことは同じである。

「さて、早くつくりましょうか。私はおかずに日本のものを作るわ。うーん、肉じゃがとからあげあたり作ろうかしら…でも主食はご飯じゃなくてパエリアにしましょう」

「時間、間に合うかなぁ…」

「大丈夫、すぐ出来るよう朝の内に下ごしらえはしてあったの、しかもつごうよくたくさんね」

「そっか、ならあたしはサラダとビシソワーズスープ、あとカポナータとかでいいかな、自分で作ったドレッシングとかも持って来たんだ〜」

「わあ、美味しそう!」

***************

「ディーヴァちゃん、ちょっと!」

もうすぐ出来上がると言う頃になって、紫乃がディーヴァをそばに呼んだ。

「食べて見てくれる?出汁巻き卵なんだけど、日本風の味付けにしたの」

「わ、和食の定番だね!おいしそう…あたし祖母が日本人だけどまだ日本に行ったことないんだぁ」

遠い東国を思い浮かべディーヴァは目を細めた。
いつか行きたい、そうもらしながら。

「そうだったの…」

「うん。本場の和食はじめて、嬉しいなぁ…」

「口開けて?」

ディーヴァが口を開けると、ほどよく冷まされた出汁巻き卵が差し出された。
ふわりとしているのに噛みしめると味がじゅわっと口いっぱいに広がる。

「どう?」

「うん、おいしい♪」

ディーヴァは「バッチグー!」と指で丸を描いて見せた。

「それはよかった、作ったかいがあるわ。ダンテ達にはつまみ食いしたことナイショね?」

「ここに置いてあったレシピ本の料理も教えてほしかったけど、今の出汁巻き卵もすごくおいしかった。紫乃さん、今度料理教えてくれる?」

「もちろん」

ふふふ、と2人は笑いあった。
和食洋食と、たくさんそろったが、きっと足りないだろう。

「さて、あと一品二品つくりましょうか」

「そうだね、よく食べるのが2人もいるんだし。じゃあ…」

「「あとは何て言ってもピザとストロベリーサンデー!」」

例えけんかをしたって、戻る場所はいつも『君』のとなり。
やっぱり大好きなのは『君』だけなんです。


▼管理人より
『ぱらのいあ』管理人、望月闇姫様よりコラボ企画としての夢小説を頂きました。
うちの子が、他の方の書かれた文字列になって動いてるううう!
凄く嬉しくて、ダンテに負けず劣らず悶えました。

セクハラ魔人の髭が大活躍です。
ディーヴァちゃんにもセクハラしちゃってますね。
背は低いけど胸が大きく可愛いので、髭が一人でお楽しみに。
えろーい(・∀・)
でもそんなえろい髭が大好きです!

それに、うちの連載の内容をふんだんに盛り込んでくださっていました。
とても詳しく書かれていて感激です…!

また、マハが若にかぶりついているシーンも大好きです。
ダンテだからこそ力加減を気にせず思いきりかぶりつけるんだろうなぁ(笑

闇姫様、素敵なコラボ夢を書いて頂き、ありがとうございました!



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