第6話 地下実験室


 フォルトゥナ城二階。
 蔵書室を出たダンテ達は資料展示室を通り、光の広間二階に出た。ここは青い封印装置のおかげで結界が張られており、簡単に広間一階へ下りたり、反対側へ行けなくなっている。
 おそらく封印装置に衝撃を与えれば結界は解除されるのだろうが、ダンテは敢えて結界を解こうとはしなかった。彼曰く、「あの坊やが追ってきているだろうから、坊やに解除させればいい」とのこと。
 何事も経験が大事だとか言って、ダンテは自ら手を加えることはしなかった。
 ──怠惰という言葉は、この男のために存在するようなものである。

『ゲート』を使って二階の向こう側へ行こうと試みたのだが、結界があるせいでそれは不可能だった。そのため、二階の向こう側へ行くためにわざわざ一旦外に出て、武闘場を上から眺めるように造られた屋外の回廊を通らなければならない。

 外に出るということは、吹雪いていて寒いということ。城内は意外と寒さがなかったので、外気との温度差に紫乃は思わず自身の身体を抱きすくめるように両腕を交差させる。
 幸いなことに屋外には結界がないので、反対側には『ゲート』を使って移動することが出来た。

 すぐに屋内に入って広間二階の扉を通り、少し長めの暗い廊下を進めば、修練の塔の二階へと出た。二階部分の足場は壁際にわずかしかなく、空中にはいくつかの青白い光が明滅している。その光を利用して空中を進んで行けということなのだろうか。

「うわ……いくら親父の城だったとはいえ、この造りはないわ……」

 流石のダンテもこの部屋の構造は理解しがたいようだ。
 ちょうど向かって右手の先にある足場には、何やら人一人分もの高さのある大きな機械らしきものが鎮座し、広間にあった封印結界がそばに設置されている。それらのさらに向こう側に見えるのは、豪奢な彫りが施された大きな扉。

「ねえ、あの扉の向こうに何かあるかも」

「面白いもんがあればいいんだがな」

 蔵書室の本は何が書いてあるかわからなかったし、資料展示室にも興味が引かれるものはなかった。今度こそ何か面白そうなものがあれば良いのにとダンテが愚痴をもらした時、階下で悪魔の気配が生まれた。
 視線を下に向ければ、一階部分でスケアクロウやフロストが何体も発生しているではないか。

「悪魔どもも俺が退屈してるのがわかったのか?」

 現れる悪魔はどれも雑魚ばかりでつまらないと漏らしていたダンテは、背負ったリベリオンの柄に手をかける。いくら退屈でも、目の前で悪魔が現れたからには倒さなければならない。

「これは一旦下で相手をしなくちゃいけないね」

 二階ではまともな足場が少なく、悪魔も飛行能力がないので上には来ることが出来ない。かといって放置しておくわけにもいかないので、紫乃は右手首のブレスレットに意識を向けた。
 ダンタリオンはかつて母モリアンの魔具であったが、今は紫乃が使用している。普段はブレスレットで、武器の形状を思い浮かべれば瞬時にその武器へと変化するのだ。
 今回紫乃が思い浮かべた武器は、

「む……いつもの刀ではないのか」

 マハが、ブレスレットから武器へと変わったダンタリオンを見て呟いた。
 それは、長い柄の先に湾曲した幅の広い刃物が付けられた武器──薙刀であった。マハはもちろん、ダンテも目にしたことがない武器に興味津々で、まじまじと薙刀になったダンタリオンを見つめてきた。

「へえ、その形は初めてだな」

「柄が長いから狭い場所では使えないけど、ここは大丈夫そうだしね」

 紫乃はそう言うと、ダンテより一足先に階下で蠢いている悪魔の群れへと飛び降りた。初めて見る形の武器に、ダンテはどうやって戦うのだろうとしばらく二階で様子を見ることにした。

 まず紫乃がターゲットに決めたのは、すぐ近くにいるスケアクロウだ。長い柄はリーチに長けており、そのため、刀のように相手の懐に飛び込む必要はない。少し踏み込んで薙刀を振れば、スケアクロウのズダ袋に傷を付けることが出来た。
 スケアクロウも、ただ斬られ役に徹することはせず、紫乃に大きな鎌に似た刃物を振り下ろす。だが、スケアクロウよりも数段素早い動きの紫乃にはあっさりと回避されてしまった。紫乃は回避の動作を利用して薙刀で斬れば、スケアクロウの動きが鈍った。
 あと一撃──というところで、他のスケアクロウが跳びかかって邪魔をしてきた。

「もう、割り込んできちゃ駄目じゃない」

 少し拗ねた様子で不満を漏らすと、紫乃は割り込んだスケアクロウを無視し、瀕死のスケアクロウへ跳躍する。そいつが紫乃を見失ってキョロキョロと周囲を見回し、すぐに頭上にいると気付いて見上げて跳び退こうとしたが、遅かった。
 薙刀の湾曲しつつも切れ味の鋭い刃が、スケアクロウの脳天を直撃したのだ。

「まずは一体」

 ズダ袋から黒い霧を噴出していくのを確認した紫乃は、無事最初の一体を仕留めたことに小さく笑む。

「すげぇな、まるで踊ってるみたいだ」

 10秒もかけずに悪魔を倒した紫乃にダンテは賞賛の拍手を送ると、隣で同じく階下を見下ろしていたマハも頷いた。

「うむ。流石は我が主、鮮やかであった」

「それじゃ、俺も一緒に踊るとするか」

 そう言うと、ダンテとマハも悪魔の群れの中へ飛び降り、紫乃と共に悪魔と踊ることにした。

 * * *

 ネロは城内の探索を続けていたが、依然として赤の男と東洋人の女の行方は掴めなかった。
 一度教団本部に戻った方が良いかもしれない。
 そう考えていると、奇妙な通路を発見した。このフォルトゥナ城には過去に何度か訪れたことはあるが、こんな通路を見かけた記憶がない。
 中世の建築物にはおよそ似つかわしくない近代的な造り。それも何十年も前からあるものではなく、わりと最近のものらしかった。先に進むかどうか逡巡したのち、ネロは進むことを決めた。

 人目を避けるような通路を通り、いくつかの部屋を抜けると、さらに奇妙な空間が広がっていた。
 まるで、何かの実験施設のような──
 円形の空間を仕切る壁の一部はガラス張りになっており、その向こう側の部屋には机や椅子がある。しかし、それ以上に目を引いたのは巨大な試験管に似たものの中にある代物だった。
 刃が真っ二つに折れた刀。初めて目にしたにもかかわらず、ネロはその刀に対して何故か懐かしさを感じた。同時に右腕が疼く。

「……来たか」

 見知らぬ男の声が空間内に響いた。機械を通したような少しくぐもった声に一瞬眉をひそめたが、それが部屋上部のスピーカーから発せられたものだとすぐに気付く。
 声の主がガラス張りの向こうの部屋の奥から姿を現した。魔剣教団の法衣に身を包んだ男は随分と大柄で、いかつい外見には似つかわしくない曲がった背中。モノクルをかけたその人物を、ネロは知らなかった。

「あんたは誰だ?」

「私の名はアグナス……仕事柄、人にはあまり顔をし、し、知られていないがね。だが、私の名前くらいは、き、聞いたことがあるだろう?」

 ネロは記憶の糸を手繰り寄せ、アグナスという名を引っ張り出した。記憶が正しければ、技術局を統括している人物だ。カリバーンやレッドクイーンに搭載されているイクシードの基本システムを構築したと聞いている。

「そうだな。でも、そんなお偉いさんがこんな場所で何してんだ?」

「……こんな場所、だと? く、くくく口を慎め若造が!」

 ネロの言葉が気に障ったのか、アグナスはネロを指差して怒鳴る。どんな理由で怒ったのかがわからないので、ネロはただ肩を竦めるしかなかった。

「ふん……噂通りの生意気な小僧だ」

「おい、この部屋は何なんだよ! 教団が管理してる場所なのか?」

「それは教えられんな」

「秘密の場所ってことか? だったら詮索するつもりはないが、教皇を殺した奴が来たかどうかだけ教えてくれ」

 そいつを追うのが仕事なんでね、とネロがアグナスに話しかける。
 見たところ、この空間にはネロが入った入り口以外に、ここに出入り出来るようなところはない。ガラスの向こうの部屋は何処かに繋がっているのだろうが、アグナスがいる以上、向こう側に赤の男がいる可能性は低いだろう。それなら、来た道を引き返して別の場所を捜すべきか。

「ここを見られた以上、貴様を生かしておくわけにはいかない」

 秘密の場所を見たら罰せられるという戒律なんてあっただろうか、と教団の教えをネロは思い出そうとする。だが、信じてもいない教団の戒律なんて頭に入っているわけがない。
 ネロはすぐに思案を切り捨てた。

「じゃあ、ししし死刑ってことか?」

 アグナスの喋り方を真似して挑発すれば、アグナスは顔をしかめ、スイッチのような何かを取り出した。そのボタンが押された直後、ネロのいる空間の壁の各所から何かが素早く飛び出す。
 一見すれば剣であった。しかし、空中に飛び出したその剣はすぐに形を変え、鳥に似た姿になる。

「悪魔かよ……」

 どう見ても動物には見えないそれを、アグナスはグラディウスと呼んだ。

「魔界に棲む爬虫類を剣と交配させて生み出した生物だ。べ、ベースとなったのはなかなかの名剣でね。人間くらいは簡単に、り、両断するぞ」

 聞きもしない薀蓄を語るアグナスに、ネロは辟易した。自分の知識をひけらかすこの手のタイプの人間は好きではないのだ。
 襲いかかるグラディウスをブルーローズで撃ち落せば、鳥から剣の姿に戻って床に突き刺さった。死んだのかと思ったが、すぐに鳥の姿になって再び飛び始める。

「こんなものを作ってどうするんだよ。教団騎士にでもしようってのか?」

「貴様が知る必要はない。恨むなら、ク、クレドを恨みたまえ……貴様にダンテと紫乃の追跡を命じた奴が悪いのだ」

「ダンテ? 紫乃は……あいつか」

 初めて耳にする名前に、ネロの脳裏に赤が浮かぶ。教皇を殺害し、紫乃とかいう東洋人の女と一緒にいたあの赤いコートの男。

「何であんたが奴らの名前を知ってるんだ?」

 アグナスに答えを求めるも、彼は手にしているメモに何かを書き込んでいるようで、ネロの問いに答えようとはしなかった。
 実験台扱いのようで気に入らないネロは、飛んでくるグラディウスを右腕で掴む。異形の腕を晒しても、アグナスは何も反応しなかった。どうやらメモを取ることに夢中で気付いていないらしい。
 グロリアの前では右腕は隠していたが、アグナスが悪魔と関わりを持っていると判明した今ならば、隠す必要もない。そう判断し、ネロは掴んだグラディウスを思いきりガラスに投げ付けた。

「うおっ!?」

 ガラスを破壊しようとするネロの攻撃に怯んだアグナスが短い悲鳴を上げる。
 このガラスはサイクロプス級の悪魔の腕力を基準に設定してあるだの、破壊は無理だの叫ぶが、ネロは構わずグラディウスを投げ付けた。
 数体目のグラディウスを投げ付けた時、ガラスに小さな亀裂が入ったのをネロは見逃さなかった。右手を握り締め、ガラスに跳びかかって右腕を大きく振りかぶる。
 サイクロプス級が何だ。そんなものは計算上の数値でしかない。
 ネロが渾身の力でガラスを殴りつければ、まるで蜘蛛の巣が張ったような亀裂が入り、透明な壁はもろくも崩れ去った。崩壊の衝撃に転倒したアグナスの喉元に、ネロはレッドクイーンを突き付ける。

「そ、そそそそれは悪魔の力! な、何故貴様なんかがその力を!?」

「お互い様だろ。──答えろ、何で技術局が悪魔なんか作ってやがる?」

 しかし、アグナスはネロの問いには答えず、突き付けられたレッドクイーンを恐れることなく、ネロの右腕をじっと見つめる。

「……素晴らしい!」

 アグナスの表情が、驚愕から歓喜のものへと変わるのがわかった。

「何たる力……何たる神々しさ……最高だ!」

 ネロは右腕に手を伸ばそうとしてくるアグナスを警戒し、思わず後ずさる。

「人の話を聞けよ!」

 レッドクイーンをアグナスめがけて振りかぶるが、その刃はあっさりと受け止められてしまった。すぐに引き戻そうとしたのだがぴくりとも動かない。指だけで押さえ込んでいるその異様な力に、ネロは珍しくたじろいだ。

「……知りたいのなら教えてあげよう」

 囁くように言ったアグナスが、パッと指を離した。唐突に解放されたのでネロは少しよろめく。

「数年前から私は悪魔を研究中でね。それはただ悪魔のことを知るためではない。悪魔が持つ圧倒的な力を、人間のものにするための研究だ」

 アグナスの物言いは芝居がかっていたせいか、途中で言葉を詰まらせることはしなかった。

「そして、悪魔の力を手に入れた選ばれし者が、他の脆弱で哀れな人間達を導く……それこそが教皇様の唱える理想郷の姿なのだ。その楽園を実現させるために、私は日夜研究に勤しんでいるというわけさ」

「……馬鹿げてる……でも、その教皇も殺されて台無しだな」

「安心したまえ。教皇様はご存命だ……『天使』となり、復活された」

「天使?」

「悪魔の力を手にした選ばれし者、ということだ。心正しき者がその力を持てば悪魔ではないだろう?」

「だから天使ってわけか……頭イカれてるんじゃねぇか?」

 ネロは、これ以上付き合っていられないと溜息をついた。この狂人をぶちのめしてクレドに報告する必要がある。クレドなら、こんな狂った思想を許すはずがない。

「ちなみに私もその天使だ」

 そう呟いたアグナスから、強烈なエネルギーが放射された。突然の出来事にネロはその衝撃をまともに受けて怯んでしまった。よろめいたので体勢を立て直そうとしたが、翼の生えた三体の白い鎧騎士が凄まじい勢いでネロに近付き、いっせいにランスを突き立てる。

「あああっ!!」

 大きなランスは両腕と腹を貫通し、抵抗する暇もなくネロは壁に縫い付けられた。

「がはっ……」

 ネロの口から血が溢れ出す。
 鎧騎士はアグナスの背後へ移動し、整列する。そんな三体を見たアグナスは満足そうに笑み、頷く。

「これも研究の賜物でね。美しいだろう? 見たまえ、この白銀に輝く鎧を!」

 見たまえと言われても、ランスによって深手を負わされたネロの意識は朦朧とし、視界もぼやけてきている。だから顔を上げることすらままならないというのに、アグナスはそんなネロの反応がないことが気に入らないのか、腹に突き立てられたランスの柄を掴んで乱暴に揺すった。

「ぐあぁぁ!」

 腹を中から掻き回され、激しい痛みが全身を駆け巡った。

「まだ話は終わってないぞ。お前が聞きたいと言ったんだろう?」

 アグナスはぐったりと俯くネロの顔を覗き込む。

「この鎧は、私が偶然手に入れたとある破片を培養して生み出した物でね。それはあの伝説の、く、く、黒い天使の鎧だよ!」

 ネロが何も口を挟まず静かに話を聞いていることにアグナスはさらに機嫌を良くしたのか、嬉々とした表情で続ける。

「あろうことか、このフォルトゥナの浜辺に打ち上げられていたのだ……あ、あの、閻魔刀と共にね!」

 部屋の中央に置かれている巨大な試験管のような物体を、アグナスは指差した。中には真っ二つに折れた刀が浮かんでいる。

「私は神に感謝したよ……伝説の魔剣の一振りと、伝説の悪魔が身に着けていた鎧の破片、その二つが同時に我らの元に運ばれたのだ!」

 それからもアグナスは声高に話を続けた。

 これこそは神の意思だ、自分に成り代わり世を統べよと仰っておられる。魔界から悪魔を呼び出し、その無数の魂を核にすることで動く忠実無比な神の兵隊。これはまさに白い天使──ビアンコ・アンジェロだ。

 アグナスの語る鎧兵士の理屈や神云々の話なんてどうでも良かったが、ただ一つ、ネロの腑に落ちない点があった。

「……悪魔を……呼び出した、だと? あの妙な板は、お前が……」

 フェルムの丘とフォルトゥナ城で見かけた巨大な黒い板を、ネロは思い出した。悪魔の這い出てくる穴を生み出すそれを作り出したのがアグナスだと、直感的に感じていた。

「ああ、地獄門だな」

「……地獄門?」

 聞き覚えのある単語だった。魔剣士スパーダがかつて封じた、魔界と人間界を繋ぐ存在。
 現在のフォルトゥナでは聖碑と呼ばれているあの黒い板が魔界と繋がっていたのだと、スパーダが封じたのだと……そんな御伽噺が、ここフォルトゥナでは信じられている。

「あれはオリジナルを元に私が設計した、い、いわば小地獄門だ。り、り、理論はかなり早い段階で解明していたのだが、なかなか出力が安定しなくてね……しかし、強力な、ま、魔具を動力にすることで解決したよ」

 いい出来だろう、とアグナスは自慢げに胸を張った。

 地獄門、小地獄門、悪魔を呼び出す、理想郷、白い天使、黒い天使、閻魔刀、神。
 朦朧とする意識の中で、ネロはたった今アグナスが発した言葉を反芻する。しかし、痛みと薄れゆく意識のせいで上手く理解出来ない。

「……わかるように喋れ」

「ふん……ゆっくりと眠りたまえ」

 アグナスは鼻を鳴らすと、もう一度ネロの腹のランスをぐいと捻る。もはや痛覚が麻痺したのか痛みは感じず、声も出ない。それでも身体は反応して仰け反ってしまった。

「だが、喜びたまえ。私の次の研究材料は君に決めたよ。その腕を入念に、し、し、調べるとしよう」

「……断る」

 誰がお前のモルモットになってやるものか、とでも言いたげなネロは、口の中に溜まった血をペッとアグナスの顔に向けて飛ばした。
 なるほど、『扱いにくいはみだし者』の噂は伊達ではない。何とも憎たらしい小僧だろう。やはりクレド同様に気に入らない奴だ、とアグナスは憎々しげに顔を歪める。

「つ、つつつ、連れて行け!」

 アグナスが命じると、鎧騎士はネロにゆっくりと近付いた。


 ネロの脳裏に、一ヶ月前の出来事が再生された。
 教団からの任務を遂行している時、キリエに悪魔が襲い掛かった。彼女を傷付ける者は誰であろうと許さない。ネロは何度もキリエの名前を叫んだ。

 力が欲しい。
 大切な存在を守るために。
 あるいは、自分自身を守るために。
 だから力が欲しい。
 俺は守らなくてはいけないのだ。
 力を手に入れて、俺の大切な人や、その人が大切に思っている全てを守るのだ。

 そう誓ったのに──

「……キリエ……」

 ネロが小さく呟くと、まるでそれが合図であるかのように彼の心臓は止まった。


2013/12/15

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